僕はTinderで優勝できなかった

1億2千万年ぶりにTinderをインストールしてみた。

前に使ったときは、20人くらいめくったところで会社の後輩が出てきて即時アンインストールした。

会社の人々にTinderで悪さを企んでいるとバラされてしまうからだ。


今では暇な女子大生なるTinder使いが現れ、「優勝」がツイッター内で流行語になり、もはやTinderは市民権を得たとも言える。

そんなチンダーブームの最中、友人の女子数人にTinderを見せてもらったことがある。

マッチしていた男は皆、以下のような特徴を有していた。

  • 自信満々のプロフィール写真
  • Goldman Sachsみたいな、横文字のカッコいい勤務先
  • The University of Tokyo みたいな学歴


マッチする男はみんな超絶ハイスペック男だったのだ。

男の目的が何であれ、婚活女子からするとめちゃくちゃ美味しい物件に見えるだろう。


Tinderで出会った男が優勝狙いのいけ好かない奴であっても、女子は気にする必要はない。

そこからコネクションを作り、周りのいい男を芋づる式に釣り上げればいいのだ。


肉を斬らせて骨を断つ


という作戦を取れる女は強い。


しかし逆に、何も持たない男からするとTinderは地獄である。


まさに私のことだ。


私のTinderは何枚めくってもマッチしない。

親指が釣りそうになるくらいめくっても1件もマッチしない。

業務時間の全てをかけてめくってもマッチしない。

心を込めても願いを込めてもマッチしない。


イケメン・ハイスペック男からするとこんなに居心地の良いアプリはないだろうが、
ブサメン・ハゲ男からするとこんなに不愉快なアプリはない。


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イケメンはマッチング率が異常


このツイートを見てほしい。

ツイッター界屈指のイケメンである佐野恭平さんのTinderである。


マッチしすぎじゃない!?


こ、こんなにマッチするのか...?


僕の場合はこすってもこすっても火が出ないマッチみたいに、枯れに枯れたTinderだったのに...


イケメン、めくるたびにマッチしてる。

福沢諭吉は

天は人の上に人を作らず

と言った。

生まれながらの能力に差はなく、差をつけるのは学問なのだと。


しかし僕はTinderを通じて、人間は生まれながらに平等ではないことを知った。


天は人の下にも人の上にも人を作っていたのだ。


少なくともモテに関しては。


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課金によってモテの壁を取り除け


さて、持たざる者代表の私だが、下を向いて何も行動しないのでは名が廃る。

チャレンジは人生の本懐だ。

頭がハゲているのは仕方がない。

それでも勝つ方法はあるはずだ。

ハゲは頭髪が後退しているのではない。

私が前進しているのだ。


僕はTinderをハックする方法を考えていた。


持たざる者がマッチするには、とにかく数を撃つしかない。

めくってめくってめくりまくるのだ。

道でも声をかけまくれば誰かが引っかかるように、Tinderもめくりまくればきっと、世界に一つだけの花が見つかるはずだ。


とはいえ、TinderのLIKE数には限りがある。


一日120人くらいしかLIKEできない仕様になっているようだ。

まず、このLIKE上限を取り払う必要がある。


そのため必要なのは

課金

である。


以前、ソーシャルゲームにハマりまくっていた人が名言を吐いていた。


「俺は課金してアイテムを買っているんじゃない」

「俺は課金によって、時間を買っているんだ」


これである。

LIKE数を稼ぐために課金するのだ。


2,200円課金をすると、TinderのLIKE数の制限はなくなる。

僕は迷うことなく課金した。

課金することで、東京中の女に愛(=Like)を送ってやる。


ここまで開始から2時間。


次にやるべきことは、スワイプの自動化である。

マッチしないスワイプをいちいち人間の手でやるわけにはいかない。


我々にとって最も重要な資源は金ではなく時間だからだ。


LIKE数が無制限になったのであれば、次にやるべきなのは自動でカードをめくり続け、とにかく全員をLIKEしておくことなのだ。


僕は歩きながらどうやって自動化しようかと色々思案していた。

iPhoneアプリを自動で操作してLIKEボタンを押しまくるのは今の僕の技術力では難しい。

ブラウザ版のTinderがあればいくらでも自動で操作ができるはずだ。


...が、どうやらブラウザ版のTinderはないらしい。


残る手段はiPhoneをジェイルブレイクなるやり方でハックするか、
Tinderに送っているパケットを解析してスワイプしてる風のパケットを送りつけるか......

...などと色々考えながら調べていたら、なんと世界には、僕が考えもしない方法でスワイプを自動化している猛者がいた。




Amazing!


なんと、物理的な手段である。


僕はソフトウェア的にTinderをハックするのは諦め、物理的にハックする方法に乗り換えた。

ここまでで開始6時間。


家の自動ねじ回し機に割り箸を貼り付けぐるぐる回してみた。

回転が早すぎる!

そして残念なことに、割り箸でiPhoneの画面を触れても、何も反応しない。

タッチセンサーを反応させるには静電気的なものが必要なのだろうか?

割り箸に軍手をつけて見ても、うまくいかない。

軽く調べると、

「静電気を帯電しているゴムチップを先につけたペン」

みたいなものがあればいいようだ。


家にはない。詰んだ。


ここまで開始7時間。

僕は自動スワイプを諦めた。

仕方ない。

手動だ!

手の指紋が擦り切れるくらい何度もスワイプしているが、当然マッチは0件。


Tinderのバグを踏んでしまったのだろうか?


誰ともマッチしない。

非モテにとってTinderは地獄である。


それから、本を読みながらTinderをスワイプするというライフハックを思いついたのでやってみたが、まったく本に集中できないのでやめた。


だって女の子可愛いんだもん。


...それにしても。

俺は一体何をやっているんだ......。


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Tinderの画面を見て涙を流す僕


Tinder開始後、8時間経過。


マッチ数、ゼロ。



僕はTinderアカウントを削除し、Tinderのアプリも一緒に消した。

アプリを消して、何もなかったことにした。


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持たざる者にとって、Tinderは不毛すぎる。

まるで僕の頭のようだ。

不毛地帯だ。


スワイプしてもスワイプしても全くマッチしないTinderを見て、これはストリートナンパに似てるな、と思った。

声をかけても反応されないあの苦しみにそっくりだ。

だったらまだ、ストリートナンパの方が効率的だ。


反応があるから。


Tinderはまるで反応がないのだ。

無限に続く苦しみに近い。


それに僕のような旧世代の人間は、未だにネットに自分の個人情報を置くことを躊躇してしまう。

Tinderに自分の写真を置いておくのは、やはりリスクがあると考えてしまうのだ。


そんなリスクを背負ってTinderをやるよりも、ストリートナンパに出かけた方がいい。



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堂々を名前を名乗り、勤務先を書き、学歴を誇れる人にとっては、Tinderほど美味しい場所はないだろう。


僕のように冴えない見た目、低学歴の持たざる者にとっては、自動スワイプマシーンができない限り、Tinderは時間がかかりすぎる。


みんな、

「自動スワイプ君」

絶対必要だよな。


俺がいつか作るから、それまで一緒にクラブに行こうな。


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