読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

俺の遺言を聴いてほしい

これは俺の遺言だ。

クラブで出会った子と銀座でランチデートしてきた。

「お昼でもいいですか」

というLINEの返信が来た時は、即座にブロックしようと考えた。

昼をアポに打診してくる時点で食いつきがなく、金と時間の無駄遣いになると思ったからだ。
LINEの表示名をスワイプしかけて、思いとどまった。

・・・待てよ。

いつもどおりにしかできないのなら、いつもどおりの結果しか手に入れることはできない。
無駄に意識が高まる。


いつもやらないランチデートの攻略ができれば、休日をさらに有効活用することができる。

たとえば、

・食い付きがない子をランチに、夜はいけそうな子とのデートを入れる。

・夜はリア友、昼はナンパした子

・昼、夜で2回ともチャンスを伺う

など、企んでニヤニヤしていた。

金がなくなりそうだ。


とりあえず、ランチデートの練習の意味も込めて、「お昼で」のアポを了承した。


そして、ランチの場所は全く馴染みのない駅・銀座だった。

どこに何があるかわからない。

慣れない昼デートに加え、慣れない銀座、世代が違う年下の女性。
不利な要素はたくさんあった。

しかし、困難に立ち向かうときこそ、成長できるときと信じた。

ちなみに案件は、クラブに行った時に番ゲした案件だ。
声をかけては何度も放流した子だった。

クラブで見たときは可愛かったと記憶している。

一週間近く、適当なメールを重ね、アポ当日を迎えた。
真っ昼間に現れた彼女は、思っていたよりは可愛くなかったが、決してブスではなかった。

デートの定石通り、常に彼女の悪いところだけを見つめ続けた。
気持ちで負けないためだ。

完璧な文章が存在しないように、完璧な女など存在しない。

必ず悪いところはある。
目の前にいるのが絶世の美女だとか、二度と会えない完璧な女とか思うと、まともな会話ができなくなる。

だからアポの時は、秘密裏に、悪いところを探し続ける必要がある。


さて、ランチに予約した店は銀座の個室だ。


昼から軽くビールを飲み、話を進める。
よく喋る子だった。

こういう子は、ふんふん話を聞いていれば信頼関係が形成できるからこちらとしては気が楽だ。

仕事の話をしたり、学校の話を聞いていた。
ときどき、軽くイジるのを忘れずに、彼女に喋らせつつも、主導権は自分が持つようにした。
イメージは、控えめだけど場をコントロールするテレビの司会者のようなものだ。

元カレの話が出てから、過去の恋愛の話を聞き出してきた。
この過去の恋愛遍歴を聞き出すのは、デートの定石の一つだと言える。

過去を否定しないように、決して過去の男に嫉妬などしないように。

余裕な表情で、過去の話をふんふんと聞く。
彼女の元カレはどうやらすごい人(ぶっちゃけマジですごい人)だったが、彼女を口説くために一切の嫉妬心などはなかった。

笑いながら話を聞いた。

むしろ、彼女よりも元カレに本気で興味があって、その話を聞いていたのがある意味、いいネグになったようだ。

彼女が

「面白いメールがあるんです~」


なんて言った。このチャンスを逃さなかった。

「え、見たいwこっちからじゃ見づらいから隣に行っていい?」


これは個室だからこそできることだった。

ルーティーン「横並び」

横並びはアポの鉄則だ。
個室で横並びになったら、だいたいキス以上までいける。
最初は正面、後から隣に行くときは、90%以上の確率でキスはできると考えていい。

やっぱり、個室を予約するのがアポ攻略のポイントだと再確認することができた。

うまい店も、フレンチも、イタリアンも必要ない。

横並びであること。
あるいは、個室であること。

それがアポ時の店の予約の鉄則である。
今後も守っていきたい。


横に並んで、メールを見ながら肩を合わせた。
彼女の頭がこちらに傾く。

明らかに甘えていた。

ケータイを見ながら笑う。
時刻は昼の13時。

真っ昼間のランチで、横並びで肩を触れ合う二人。

相手もノリノリだった。

店員が来そうでビクビクしていたのは俺の方だった。


「場所、違うところ行こっか」


店に入って、90分足らずでキスをして、外に出た。
外の光は眩しかった。
太陽が目に染みた。

手をつなぎながら歩く。
健全な散歩のように見えるが、これからやることは決して健全ではなかった。

事前に現地入りして調べたホテルに向かう。

カラオケを挟むつもりはなかった。

が、なんということでしょう。
銀座にはホテルがないのだ。

タクシーの運転手に頼み、

「二人で行けるホテルがある場所に連れて行って」

というと、なぜか新橋で降ろされた。

そこから情けなくも色々と検索してみたら、レンタルルームというのがあった。

TSUTAYAの近くまでいって、レンタルルームを見つけると、いかにも怪しそうな空気が・・・。

ここで、するのか・・・。

いや、それは・・・無理や・・・!

結局、新橋駅の周りを散歩してお別れした。

何が何だかわからないけれど、下心があるデートで銀座に行くのは無謀なんだな、と思った。