先週、彼女と電話をしていたときに、こんな話をした。
「最近、○○って人から何回も告白されてるの」
「まじかwやるじゃんwお前、意外とモテるんだな」
「うるさいw友達のパーティで会った人だからあまりないがしろにできないんだけど」
「まぁ、友達は大事だからね。友達を大事にしない奴はクズだと昔カカシ先生が・・・」
「それで、私彼氏いるからムリって何回も言ってるんだけど」
「まぁ、そう言わないなら俺がお前と別れるね」
「そしたら、なんで彼氏と一緒にいないって言われたの」
「は?」
「毎日メールして、毎日会ってないなら彼氏に大事にされてないだろって」
「痛いとこをついてくるな・・・」
「『俺の方が大事にできる』っていうの」
「ふーん、それで、お前は大事にしてくれる非モテのところに行きたいのか?行きたいなら好きに行けば」
「違う!何言ってるの!私は別れたくないよ。そうやって言われたってだけの話だよ」
「その人暇なのかな・・・。毎日会うって高校生の価値観だぞ・・・。でも、大事にしてくれるっていいねw」
「ヒデヨシ君は、土日何やってるかわからないし、他にたくさん女いるんじゃないかと疑ってるよw」
「いやいやいや、俺は浮気"は"しないってば。心はいつもここにある。」
「なにそれー」
「お前は他の女に全く相手にされない非モテが好きなのか?そうじゃねぇだろ」
「いやだけどさ・・・・浮気はダメだよ」
「浮気"は"しないってばwじっちゃんの名にかけて」
昔から色んな人と付き合ってきたんだけど、彼女に対して、
「俺の方が大事にできるから」
と言って口説く奴はすごくたくさんいる。
俺はその話を聞くたびに、
「たしかにそうだ!」
と頷かざるをえない。
しかし、問題なのは、女の子に
「俺の方が大事にできるから、彼氏と別れて俺と付き合って」
と言っても、たいていはうまくいかないということだ。
女は、自分だけを大事にすると言って、口説いてくるような男に魅力を感じないということは、何度も何度も証明されてきた。
大事にしないであろう彼氏から離れられないのだ。
だから、彼氏から女を奪い取ろうとするときは、彼氏を否定して「俺の方が大事にできる」と必死にアピールするのではなく、
ふんふんと話を聞いて、
「いやでも、男は辛いんよ、彼氏の気持ちはわかるよ。でも、それはちょっとひどいかもしれないね」
「だってさーひどいじゃんー。ヒデヨシってさー」
みたいに、女のほうから彼氏の悪口を言わせるようにしなければならない。
彼氏を否定するのは口説く男の仕事ではなく、彼女の仕事なのだ。
そして、その心の隙間に、自分の魅力を挟み込んでいく。
必死でアピールするのではなく、さりげなく。
「彼氏がなかなか会ってくれないんだよね。土日何やってるかわからないし」
「彼氏さんもきっと、忙しいんだよ。仕事頑張ってるっていいことじゃん!
ただ・・・もし、自分に彼女ができたら、忙しい合間でも連絡いれるようにはしたいなって思うけどね」
みたいに。
それで、つい最近、またこの話題になった。
「あのお前を口説きまくってる非モテそうな人はどうなったの?(Facebook確認したけど、服がダサい不細工だった)」
「しつこく電話きてるよ」
「まじかwなんて言われてんの?」
「『彼氏と話がしたい』って言われた」
「は?」
「『彼氏に話して、俺の方が大事にできることを説明して、別れてもらう』って言ってた」
「それは・・・面白い」
「『面白い』じゃないよ!馬鹿じゃないのって断っといたよ!」
「いや、少し話してみたい気もするな」
なんて会話をしていたんだけど、AFC(平均的な欲求不満男)ここに極まれりだ。
巷では日々モテなくて鬱憤がたまっている男をAFCと呼ぶ。
「彼氏に電話して別れるように忠告する」
これは本当にすごいことだと思う。
お前は昭和の父親か!
と突っ込まずにはいられない。
なぜそこでお前が出てくるんだ...
空気を読まないというか、なんというか、自爆テロのような行為だ。
というか、そこまでされると、「ナメすぎやろこのガキめ...」と。
ちょっと怒りにも似た感情が沸いてきた。
この非常識な非モテを説教してやろうかと思った。
お前のやっていることがいかに非モテでダサいことかを証明し、屈辱を与えてやろうかとも思った。
しかし。
一度深呼吸して冷静に考えると、そんなことをしても意味がないなと。
怒りを飲み込み、「これはブログのネタになるだろう」と考えると。スーッと落ち着いてきた。
ブログは精神安定剤のような効果もある。
文字にすると、起こったことを客観的に見ることができて、冷静に考察することができる。
そもそもAFCに仕掛けられたこのゲームは、乗ったら負けなのである。
なぜか?
俺に得することが一つもないからだ。
AFCである彼と醜く罵り合う俺を見て、彼女はどう思うだろうか?
「あ、この人、意外とちっぽけなんちゃうん?」
である。
彼女の中の相対的な価値は下がってしまう。
また、彼女を巡って争うようなことをすると、彼女の相対的な価値が上がってしまうことになる。
「あ、この人達、私を巡って争ってる」
と。
そもそも、突っかかってきている男にいちいち目くじらを立てて怒るのもダサい。
ダサい男に絡まれて、それに対して同じ土俵に立って言い合いをするのは、同じくらいダサいことなのだ。
女の人と付き合う上で絶対に大事なのは、常に男が追われるような立場にあることだ。
それを「相対的な価値が上の状態」という。
彼女との立ち位置においては、常に男が上になっていなければならない。
これは別に、男の方が偉いとか言いたいわけではない。
女性が追われる側、あるいは、男が軽んじられる側になると、浮気されたり振られたりして、結局長続きしないからだ。
これはこれまでの経験から間違いなく言えることである。
だから、AFCに仕掛けられた自爆テロのようなこのゲームは、乗ってはいけないギャンブルだった。
俺は手元に配られたカードを一度拾い、手札を見て考察し、そしてカードを捨てた。
「てかね、そんなに口説いてくる奴をブロックしない意味がわからん。
俺はそういう彼女は嫌だよ。
今すぐブロックするか、できないなら別れるよ」
「嫌だ、ブロックするから、別れるって言わないで」
ゲームは終わった。
AFCと、一度も相まみえることなく。
戦わずして勝つのが優れた将の戦略だ。
今回の件を女性の立場から考えてみると面白い。
「他の男に口説かれている」
というのをほのめかすのは、恋愛においてとても強力な戦略になると思った。
男は石器時代からの習性のためか、
「手に入れた獲物を取られる」
ということをものすごく嫌がる。
他の男に口説かれている自分の女のことは、なんとしても守ろうという気持ちになる。
それはすなわち、女にとっては、「大切にされる」ということに他ならないだろう。
そして、「口説かれる」ということ自体は、女は何も悪いことをしていないわけだから、
口説かれたことを話すのは非常に有効な恋愛戦略と言える。
だいたいの人は、他の人が欲しがるものを欲しがるんだから、「その女性に価値のあること」を証明する手段にもなる。
ただし、非モテな彼氏に対してその戦略を使ってしまうと、逆上して怒り狂う可能性もあるので、使いどろこを見極める必要はあるだろう。
フラフラしてるダメ系の彼氏には絶対有効だと思うので、彼氏に愛されてないと感じている女性にはぜひ試してみてほしい。
残念なのは、このブログには女性読者がいないことなのだが...。