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俺の遺言を聴いてほしい

これは俺の遺言だ。

自分と闘った昼ストと、起死回生のオープナー「どっち?」

ネタ

「勝負は昼だ。昼のストリートを極めよう」


tanakaは顔を紅潮させて言った。


「クラブに行かない女もいる。夜にめったに出歩かない女もいる。

でも、昼に道を歩かない女なんていない」


1月某日 15時

tanakaは自転車に乗って、颯爽と現れた。
tanakaは、ナンパなんてしなくても女には困らないであろう容姿と才能を持っていた。

リアルでモテる人で、わざわざストリートにナンパしに来る人は少ない。
そんなことをしなくても女の子には困らないし、普段の生活で味わうこともない強烈な拒絶反応を受けることになる。

それでもあえて、茨の道を歩むことを選択したtanakaは、勇気と気概のある男だった。


tanakaと近くのカフェに入り、綿密に打ち合わせをした。
特に気をつけたのは、お互いの意思疎通だ。

tanakaと俺は、女の好みが全く違う。
連れ出したいのか、放流したいのか、番ゲしたいのか。

意思疎通が取れないと、お互いが不満足な結果になりかねない。


  • 放流
  • サインをくれ(ケータイを見ろ)
  • 連れ出し打診
  • 様子見


などのサインを決め、定量目標を定めた。

16時から18時の2時間で10番ゲ。

お互いに用事があったため、18時には解散しようと決めた。
ナンパにはできるだけ時間を使わず、ビジネスのために時間を使いたいとtanakaは言った。

俺は同意した。



昼の東京は、昼間とは全く違う様相を見せる。

歩いている人に、酔っ払っている人もいない。
人通りが多いし、夜に街には存在しないおじいちゃん、おばあちゃんもにこやかに街を歩いている。

いつもと違う、明るい街。

俺は勇気を出して、ひと声掛け目にチャレンジした。


「あの」

「こんにちは、ちょっと・・・」

ガンシカ。

気にしない。
次だ。


「こんにちは!」

「この街にオシャレなカフェがあるって聞いて」

並行トーク。
周りの目が気になる。
歩いている人全てに見られているような気分になった。

「あ、ありがとう」


ぎこちない雰囲気のまま、こちらから去ることになった。
tanakaはまだ、一人にも声をかけられずにいた。


「これは、自分との闘いだ」


tanakaは小さな声でつぶやいた。

冷たい冬の風が身体に染みた。
街を歩く女の子も、この風のように冷たいように思えた。


「あの子、行ってみよう」


tanaka好みの細くてスタイルのいい女性だった。


「行ってみる」


tanakaは第一歩を踏み出した。

彼は30分に渡る、自分との闘いに勝とうとしている。
女の子との勝負ではない。
自分との勝負だ。


結果、ガンシカ。


昼の街は優しいという仮説は間違っていたのだろうか?

tanakaと俺は、お互いを慰めるように、言い訳を探した。
言い訳はいくらでも浮かんできた。

でも結局、原因は自分の中にあった。
ナンパとは、自分と向き合い、自分の弱さを認め、それを克服していくプロセスなのだ。

失敗から学ぶ必要があった。
俺達は、お互いの声かけを観察することにした。


声かけ。オープンするも、和まず放流。

後ろから見ていたtanakaと話す。

「hideyoshi、俺、声かけを見てたんだけど」

「腰が引けてた。女の子に踏み込む様子が見えなかった」

俺はビビっていた。
それも、無意識のうちに。

容赦なく注がれる好奇の視線にさらされ、腰が引けていた。
相手の心を開くために声をかけているのに、自分が後ずさっていたのだ。

行為と姿勢の不一致であった。
大勢の前で声をかけることに、自分自身が恥ずかしい気持ちを捨てきれていなかった。

この羞恥心はすぐに克服するのは難しいように思えた。
自分の心を鍛えなければいけないからだ。


それなら、やり方を変えよう。
場所を少し、ひと通りの少ない場所に変えてみよう。

俺たちは少し一通りが少なく、声かけしやすい場所に移動した。
そして、頭の中で、より自然な声かけを考え続けた。


昼の声かけは、直接法よりも間接法でつなげた方がいいかもしれない。
ナンパで大切なのは、偶発性である。

ナンパをナンパたらしめず、より自然に、いつの間にか話して盛り上がっていたという雰囲気を演出する。
今までを振り返っても、それが最も成功率が高いナンパでもあった。

直球ではなく、胸元に食い込む変化球を。

歩きながら考えた末、頭の中にあった2つのオープナーが結びついた。
試してみる価値はある。


「tanaka、自転車だ」

「自転車に乗ろう」


お互いの自転車に乗り込んだ。
tanakaはオシャレなマウンテンバイク。俺の自転車はママチャリだった。

自転車は機動力が高い。
サージングの効率を上げるし、何より移動が疲れない。

自転車をゆっくりこぎながら、人通りが少なめの道を走る。

20メートル先に女性を見つけた。

さっき閃いた、新しいオープナーを試す時が来た。


相手を驚かせないように、自然な速度で自転車をこぐ。

女の子二人の横に来た時。


「あの、ちょっと聞きたいんですけど」

「え?」

「さっきから二人で決着がつかない言い争いしてまして!
ちょっと二人の意見を聞きたいな、と」

「(笑)」

「いや、ほんと俺は絶対自信あるんですけどね、
そうそう、俺達が乗ってるチャリ、どっちがカッコイイか言い争ってたんですよ」

「ちょっと女の子から見て、どっちがカッコイイか言ってほしくて!

もうね、忌憚なき意見をお願いしたい!

せーので指さして!

どっちのチャリだったら彼氏としてニケツしたいか的な!」


「えーww」


「決めた?じゃあ、せーの、で」

「こっち(指差す)」

「(選ばれなかったほうが)なんでやー!

・・・君、センス悪いわー。めっちゃセンス悪いわー」

「(選ばれたほうが勝ち誇ったように)いや、この子はこのチャリでデートしたいってことだからね。

完全に俺のチャリ出待ちしてた感あるよね」

同じオープナーを3組に試して、全てオープンした。
サインを送り合い、二組は放流。

最後の一組をカフェに連れだした。

カフェでは適度にイジり、笑わせ、時に真面目な話を織り交ぜ、楽しいひと時を過ごした。

片方の子と、次の日に、準即を決めた。
tanakaももう片方の子と準即を決めたようだ。
価値あるゴールだった。


このオープナーは、るいさん

「どっちがイケメンだと思う?」

というオープナーと、The Gameにある「意見を聞きたいんだけど」を組み合わせて、自分なりに改良したものである。

「どっちがイケメン?」

というオープナーはるいさんが発案したオープナーだ。
一度一緒にやっているときに、一発でオープンさせていて感動した。
ただ、場合によっては片方に偏ってしまう可能性もあるし、選ばれなかったら微妙にテンションが下がってしまうかもしれない(笑)

そうなると、その後のトークの広がりが少し難しくなる。

なので今回は、「どっち」の対象は「モノ(今回は自転車)」にした。


また、「意見を聞きたいんだけど」という質問をしても、
難しい判断が必要な話で、即座に意見を言えるほど普段からモノを考えている女性は少ない。


だから、なるべく相手が思考する負荷を減らすために、

「意見を聞く」際には、「XとY、どっち」という選択肢を与え、かつ、「どちらを選んでも次の会話に困らない」ものにする。


他にも、その日は俺がスニーカーを履いていて、tanakaは革靴だったので、

「どっちの靴がカッコイイか決着をつけたい」

とか聞くこともできた。

似たようなスーツを着ている二人で、

「どっちがスーツ似合うか勝負してるんだけど」

みたいな、そんな聞き方もできる。
勝負に巻き込むことによって、一緒に舞台に乗らせることができる。


「どっち?」は、かなり汎用性があり、効果が高いオープナーのように思えた。
4人で盛り上がることもできるので、コンビの連れ出しにつなげやすい。

ナンパはオープンが一番難しい。と思う。
正直、オープンして立ち止まって話すことができれば、ヤンキーギャル以外はだいたい笑わせることができる。
やっぱりオープナーは重要だ。


窮地に追い込まれたときに、偶然生まれたアイデアだったけど、意外と使えた。
机上でうなるよりも、実戦で頭を絞ることが大事だったんだろう。


今後も色々とオープナーを考えて、実践した結果を報告していきたい。