俺の遺言を聴いてほしい

これは俺の遺言だ。

銀座300barでナンパした子と後日アポるも、ボーイフレンドクラッシャーに失敗。




透明感のある女の子だった。
薄汚れた沼みたいな300barに咲く一輪の花のような子だった。

「仕事何してんの?(年収いくら?)」

という目で人を値踏みする中の下の女の相手に疲弊し、トイレに行くときに彼女を見つけた。

「めっちゃ疲れた顔してんねw」

「人多すぎて疲れるー。平日なのにすごいね」

「ね、俺も初めて来たけど、こんなんなってると思わなかった」

なんて調子で3分くらい立ち話をした。

「疲れたからそろそろ帰ろうと思うんだけど」

「なんか楽しいからまた話したいよね。どうしたら、また連絡できるかな?」

「えーなんか慣れてるー」

「LINE交換しよっか」

「いいけど」

とLINEを交換してから、毎日メールをしてきた。

途中メールをスルーするとあっちから、何度もメールを送ってくるような子で、会う前から勝利の予感がしていた。

「メールで仕上げる」

というのはこういうことか、と感慨深くなったものだ。
ただひとつの懸念点は、この子に彼氏がいることだった。

それでも、サクサクっとアポが決まり、女って簡単に浮気するものなんだな、と思った。

彼氏に気付かれることなく秘密裏に浮気をして、彼氏が気付く頃にはもう、次の男に乗り換えているのだ。

突然振られた彼氏は、なぜ自分が振られたのかわからず、困惑する。
女は絶対に本当の理由を明かさない。他の男に抱かれて好きになったからそっちに行きます、なんてことは言わない。

もっともらしい理由をつけて、別れを告げる。
何が真実かはわからぬまま、目の前から女は消えていく。


人はつくづく、魅力でしか縛れないのだ。
そして、魅力的であるには、追わせないといけない。
自分から追ってはいけない。来るものは選び、去るものは追わずにいるのが、勝てる男の姿勢だと俺は思う。


スムーズにアポが決まる中でも、メールの中でどこか嫌な予感を隠しきれなかった。

彼女からは、「自分の意志を持っていないタイプ」に共通する依存性の気質を感じた。

アポ当日、店の予約を忘れたため、適当に空いている店を予約した。
ホテル高層階にあるバーだ。

ビール1杯1500円もした。
ボッタクリとも言える値段で、しかも出てくるおつまみはクソもうまくなかった。
というか、どちらかと言うと、まずかった。
普通の居酒屋の方がよっぽどいいじゃないか、と何度も思った。
しかし、そんなことはこれっぽっちも顔に出さず、女の子の話をフンフンと聞いていた。

彼氏がいる子がアポに来る場合、ほとんどは何かしらの不満を抱えている。
そこで彼氏以上の価値を提示すればコロッとひっくり返るものだが、下手なアポをすると、逆に彼氏への愛を再認識する結果に終わる。

女にとっては、どっちにしても良いことだ。
アポった男が魅力的なら乗り換えればいいし、魅力的じゃないなら、彼氏がやっぱり一番とわかることだろう。

彼氏の話を普通に聞く。
俺は基本的に彼氏を肯定する。
こっちが肯定すると、女のほうが勝手に彼氏を否定し始める。
俺が否定する必要はない。

彼のこんなところがダメで、こんなんだから、結婚は考えられない。
エピソードを話し出すと止まらない。

自分が付き合ってる彼氏をこんなにクソミソに言っているが、そのクソを選んだのも自分だということに気付いていないのだろうか?

俺は特に彼を否定することもなく、話を聞く。
彼氏も大変なんだよ、彼の事情があるんだよ、一度好きになったんだから頑張ってみなよ、と。

1時間ほど飲んだところでお会計をする。
普通に2万くらいした。


クソたけーーーー。


今思えば、この会計が「焦り」を生んだ気がする。

・・・元を取らねば、と。

店を出て、ハンドテスト。
あっちは「ダメだよ」と言いつつも、クリア。

そのまま何気ない顔をして、歩いて行く。

もう少し飲も!
で、タクシーからの自宅へ。

自宅に入ってワインを入れて、乾杯をする。
お酒のペースが早い。いけるか?いけそうだ。

横に座って、軽く肩を寄せる。

「ダメだよ」

と、言わるときは、押して、引く。

グダが激しい時は、雰囲気を壊し気味で引く。

「それなら、もういいよ。
男として魅力を感じないなら、もう触れない」

と言う。

「嫌じゃないけど」

のタイミングで木須。

そのまま押し引きしながら、そのままベッドに連れて行き、牌、92までも。

これはイケるやつや、と思ったところで、息子、まったく反応せず。
俺の息子は相手の補助なしでは立ち上がることはできない。
薬を処方してもダメ。
相手が頑張ってくれることが、必須条件なのだ。

「してくれる?」

と頼んだところで、相手が我に返る。

「やっぱりダメだよ」

息子、反応せず。

立って、立ってよ!クララ!

「彼氏じゃないとダメなの」

と、服を何も着ていない女が言った。
息子は黙っていた。

俺も黙った。

「・・・大丈夫、俺に口説かれて、それでも浮気しなかったんだから、これからずっと彼を大事にできるよ」

「私、本当に馬鹿だ。本当にダメ彼氏なんだけど、彼じゃないとダメなんだ」

と悲しそうにいった。俺の息子も悲しそうに下を向いていた。

脱ぎ捨てられたパンツだけが、俺のリアルだった。

その後は服を着て、なんだかんだお互いわかり合ったみたいに、楽しく話した。
やはり肌と肌を触れ合わせることで、お互いの理解は深まるものだ。

バーで話した時よりも、よっぽど楽しかった。

そのまま駅に送り届け、「元気でな」と別れを告げた。
彼女はどこか名残惜しそうな顔をしていたが、俺は迷うこと無く踵を返し、二度と振り返ることはなかった。

彼氏と幸せにな。

Good Luck。


家に帰って、2回抜いた。