センスについて考える上で、センスとは何かを定義してみます。
「センスは知識からはじまる」の著者で、くまモンのデザインを手がけた水野学さんは、
「センスのよさ」とは、数値化できない事象のよし悪しを判断し、最適化する能力
としています。
オシャレもカッコよさもかわいらしさも数値化できません。
数値化できないものを、状況に合わせて"最適化する能力"をセンスのよさと定義しています。
水野さんはセンスについてこう述べます。
センスとは、誰にでも備わった身体能力と同じです。
方法を知って、やるべきことをやり、必要な時間をかければ、誰にでも手に入るものです。
では、このセンスを身につけるにはどうしたらいいでしょうか。
その答えが、本のタイトルに集約されています。
センスは知識から始まる
水野さんはこう言い切っています。
センスとは知識の集積である。これが僕の考えです。
知識があれば、センスを身につけることができる。
センスの源は知識であると。
過去に存在していたあらゆるものを知識として蓄えておくことが、新たに売れるものを生み出すには不可欠であるといいます。
たとえば、センスがいい文章を書く人は、言葉をたくさん知っています。
最近、お笑い芸人の又吉さんが「火花」という小説を書いて話題になりましたが、言葉遣いの随所にセンスの良さが散りばめられています。
これは、彼のセンスです。
では、そのセンスの源はというと、読書によって培われたものです。
又吉さん自体が「本好き芸人」と呼ばれるほど異常な読書好きであったことは、よく語られています。
村上春樹だってずっと本を読みまくってきた人です。彼は洋書ですが。
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他にも、仕事をしていて、「新しい良いやり方」が思いつくときがあるでしょう。
これはセンスなのでしょうか。
たぶん、違います。
頭のなかにある知識の点と点が結びついて、
こんなこともできるんじゃないか?
こうしたらもっと良くなるんじゃないか?
と組み合わさることによって新しい発想は生まれます。
著者の水野さんはイノベーションについても、「知識と知識の掛け合わせである」と述べています。
新たなアウトプットの見本やヒントとなるのは、知識に他ならないのです。
だから、僕たちはひたすら勉強し続けなければいけません。
知識を元に新しい付加価値を生み出して、その対価を受け取る。
そのために、仕事に関わるものや、その他でもひたすら知識を蓄積する。
知識の蓄積が、アイデアの源です。
★ ★
さてここで、僕が「良くなりたい」と願っているセンスがあります。
ファッションセンスです。
中学のときから、オシャレな友達のファッションをパクっては
パクリのヒデヨシ
の汚名を被せられ、
大学のときは毎月パチンコで稼いだ10万円のうち、8万円くらいは服代に使ってました。
そのせいで、飯はほとんど学食か納豆でした。
金をかけたらオシャレっぽくなったとはいえ、なんとなく感覚で買っていて、オシャレの応用が効いてないことに気付いていました。
その日に店員と一緒に選んだ服の組み合わせだったらオシャレに見えるものの、それ以外の組み合わせではイマイチだったのです。
それは、俺に応用が効く「センス」がなかったからです。
で、ファッションセンスを身に付けるために、先月からやり始めたことがあります。
TSUTAYA併設のスタバに行って、ファッション雑誌をひと通り通して読むことです。
目についたものをランダムに3冊くらいピックアップし、パラパラとめくります。
めくっているうちに、
「これ、カッコイイな」
「これはイマイチなんじゃない?」
みたいのが明確になってきます。
この「いいな」「イマイチだな」と思う感覚を大切にしましょう。
それが個性です。
たくさんのサンプルを見て、「カッコイイ組み合わせ」の知識を蓄えます。
カッコイイと思った服は「なぜカッコイイと思えたのか」を考える。
僕はJOKERという雑誌の服を見ると「カッコイイな」と思うことが多いのですが、それはJOKERのファッションが上品でシンプルな大人のファッションを集めているからです。
素材のいい無地のTシャツに、細身に黒いパンツの写真を見て、カッコイイと思いました。
それは、自分の中に「大人っぽい自分になりたい」という欲求があるからです。
大学時代は
レイヤードのヒデヨシ
と呼ばれるくらいめっちゃ重ね着好きだったんですけど、今はシンプルを好みます。
で、カッコイイと思う写真の映像を、脳内にストックします。
ストックしておくことで、「こんな服が着たい」「こんな服がカッコイイ」という知識が蓄えられます。
また、モデルの体型に「なぜこの服が似合っているように見えるか」を考えることで、自分の体型に合った服の選び方の知識がストックされます。
ストックされたファッションの知識(脳内映像)を組み合わせて、
「こうやったらもっとカッコイイんじゃないか?」
とシミュレーションし、評価できるようになるのが、センスです。
いずれにせよ、そのセンスの元にあるのは知識です。
勉強して、理解して(「なぜ」を考えて)、アウトプットして、腹に落ちた知識を蓄える。
その知識を頭の中で組み合わせてシミュレーションしてみる。
で、いけそうだったら実践してみる。
その繰り返しで、センスは磨かれていくものだと思います。
ファッション以外でもきっと同じですよね。
センスは知識から始まる。
そう、「始め」は常に知識からなんです。
センスは生まれ持ったものではなく、学ぶことがセンスの始まりなんです。
勉強して、考えて、試して・・・の繰り返しですね。
話が少しだけそれますが、「努力を継続する」ってすごくすごく難しいことなので、その継続の差が、社会人のセンスの差になってくるのかもしれません。
継続して知識を吸収すること。
吸収して、考えること。
考えたことを試すこと。
この3つを(うまくいくまでひたすら)ずっと続けることが、大学受験と違って答えのない社会人での成功につながっているような気がしています。
- 作者: 水野学
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