書評『できれば服にお金と時間を使いたくないひとのための一生使える服選びの法則』



「できれば服にお金と時間を使いたくないひとのための一生使える服選びの法則」という本を読みました。

この本は、普通のビジネスマンが「誰からも好感を持たれるような自然体の服装」を目指すために必要な知識を体系的にまとめた本です。

著者である大山旬さんは、大人の着こなしに重要なのは「センス」ではなく「必要最低限の知識」だと言います。

必要最低限の知識とは、「シンプルなトップス」「シンプルなボトムス」そして「長く使える上質な小物」を選ぶための知識のことです。
大人のファッションはこれだけでいい。華やかじゃなくてもいい。

オシャレキングに夢を見る

俺の高校から大学くらいのときに、「オシャレキング」というのが流行りました。
ChokiChokiという雑誌の初期の頃に組まれた特集です。

原宿や表参道のオシャレな美容師を中心とした、オシャレキング集団。
その中で抜群の存在感を示していたのがキング・奈良裕也です。
www.fashionsnap.com


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写真引用元:http://smartlog.jp/12403

写真を見るとわかると思いますが、センスの塊のような人です。
奈良くんがカッコよすぎて、大学の時は神のように崇拝しておりました。


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写真引用元:http://smartlog.jp/12403

あんな風にオシャレになりたいと思い、バイトした金となけなしの奨学金をほとんど服にぶっ込んでました。
deviceやらyaponskiiみたいな単語だけ覚えてます。店の名前だったっけ?


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写真引用元:http://zozo.jp/_news/1139/1139.html

ChokiChokiを始めとしたファッション雑誌を読みまくり、服をひたすら買いまくる。
ホント、大学2年から3年くらいは毎月10万円くらい服に費やしたと思います。


が、社会人になった今、残っている服は、ゼロです。
今、あの時着ていた服と似たような服を着る可能性も、ゼロです。


個性的な服の寿命は短い。
そして年を取るにつれて、着続けるのが難しくなってしまう。


本当にセンスの良い人じゃないと、ずっと個性的ではいられない。
だって、センスが無いと、自分の年齢やスタイルにピッタリと合う服装を、自分で考えることができないんだもん。

当たり前だけど、雑誌は俺のために作られているわけじゃなかった。



ファッションで個性を出すのは難しい


個性的なスタイルには華があります。

でも、元々服のセンスがない俺が、オシャレキングを追いかけるのはやっぱり難しかった(笑)

お金もかかるし、買った服は組み合わせが難しい。歳を取ると、どんどん昔着ていた服が似合わなくなってくる。


雑誌に載ってる組み合わせ以外だと、買ったアイテムが浮いて見えてしまう。

せっかく5万のジャケット買ったのに、着こなし方わかんねぇよ!難しいんだよ!
なんてこともありました。


俺はオシャレキングみたいにはなれなかったんですよね。


で、やっと気付いたんですけど、シンプルでよかったんです。
シンプルで上質なものを、長く着る。

シンプルなものであれば、組み合わせにも困らない。
歳をとっても着ることができる。

個性あるオシャレじゃないけど、誰にも減点されない服装こそが「大人のオシャレ」なんだと思うようになりました。


そんな大人のオシャレについて紹介しているのが「できれば服にお金と時間を使いたくないひとのための一生使える服選びの法則」です。

軽く本の内容を見ていきましょう。


大人のファッションとは


大人の普通のファッションを実現させるために必要なことは、

  • ベーシックであること
  • 自然であること
  • 清潔感があること
  • シンプルであること

の4つの要素を兼ね備えていることだと言います。


4つの要素を備えるためには、

  • 無地で
  • 余計な装飾がなく
  • 単色で
  • サイズが身体にフィットしている


服を選ぶことが大切です。

正直言うと、通勤時間に見かけるサラリーマンの8割はダサいオッサンだと思ってるんですが、彼らがなぜダサく見えるかというと、ダボダボの服を着るからです。

彼らがダサいというか、ダボダボのスーツがダサい。


動きやすくて、肩が凝らないように、大きめの服を買ってしまう気持ちはよくわかります。
でもダボダボの服はやめましょう。


服選びの7割はサイズで決まる


というのが本で主張されていることです。

必ず試着して、綺麗なシルエットで着れる服を選ぶこと。

大学生だったらちょっとダボッとした格好してもいいかもしれないですが、大人になったらジャストサイズで、細身の服を着こなすことが推奨されています。

俺も社会人なりたての頃は、肩凝るのがすごく嫌で、ゆとりのあるサイズの服を着てたんですが、本当にダサかった。

シンプルな服を着るなら、サイズ感が命になります。楽さを追い求める気持ちをグッと抑えてジャストサイズの服を着るようになったのは最近の話です。


シンプルで上質な服を着るとなると、高い服を買って、ずっと着ることをイメージするかもしれません。
でも、この本ではユニクロやGAPを有効活用することが勧められています。


特に、ユニクロのジーンズやニットは非常にクオリティが高い。
上手に取り入れることで全体の出費を抑えることができます。


たとえば最近、ユニクロの「スリムフィット」シリーズのパンツを買ったんですけど、シルエットがすごく綺麗だったんですよ。

パンツはいいブランドの店で買ったら15,000円くらいするんですけど、ユニクロだと3,000円でした。


俺は思いましたね。


服を買う時は、まずユニクロでなんとかできないかを考えよう


って。いや、本当ユニクロは侮れないです。


ジャケットやアウターなどは他人から目につきやすいので、セレクトショップ(ユナイテッドアローズなど)やスーツカンパニーで高めの価格のものを購入することが推奨されています。

実際店に行ってみて思ったんですが、スーツカンパニーも侮れないです。

なんとなくスーツをスーツカンパニーで買うとなると、しょっぱい感じがしますが、普通に細身のジャケットを買えば、普通に素材もしっかりしててカッコいいと思います。

これも新たな発見でした。


id:jacjac__jackさんからこんなブコメもいただきました。

スーツカンパニーしかり青山系列のスーツは意外としっかりしている。毛芯をきちんと使っているし、玉縁も本玉縁。細部にもきちんと手を入れていて、あの低価格は正直凄い。


さて、「できれば服にお金と時間を使いたくないひとのための一生使える服選びの法則」は、端的にいうと「無難な服装」を目指す人のために書かれています。
無難で減点されないファッションです。


目を凝らして平日の東京を歩くとわかりますが、道を歩くサラリーマンの7~8割はダサいオッサンです。
つまり、「ダサくない」だけで、上位3割に入ることができる。これは本当です。


この本は「ファッションがよくわからないまま社会人になった人が上位3割を目指すための本」です。


モテリーマン、チャラリーマンの世界は上位3割だけで構成されているので、その中で目立つのは至難の業。そこまでのレベルをこの本で到達するのは無理だと思うし、僕もどうしたらいいかわかりません。


でも上位3割に到達していればきっと、女の子から見ると確実に「合格ライン」は超えているでしょう。


オスの孔雀は美しい羽を広げてメスを魅了するといいますが、我々は人間なので、ファッションだけで女を魅了する必要はありません。

まずは無難な服で合格ラインに立って、あとは服以外の面で魅了していくのがいいんじゃないでしょうか。

そのためのヒントが、この本には詰まっているように思いました。


※Kindle版

できれば服にお金と時間を使いたくないひとのための一生使える服選びの法則

できれば服にお金と時間を使いたくないひとのための一生使える服選びの法則


※単行本

できれば服にお金と時間を使いたくないひとのための一生使える服選びの法則

できれば服にお金と時間を使いたくないひとのための一生使える服選びの法則


※以前にこんな記事も書きました。
oreno-yuigon.hatenablog.com