知っておきたいインターネットの法律やルール



ツイッターで炎上事件を見て、「明日は我が身」と恐れをなし、それから何冊か本を買って、ネットの法律や炎上の事例について色々と勉強してみました。

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今やインターネットは誰でも気軽にアクセスできますが、守らなければいけない法律についてちゃんと理解している人はそんなにいないでしょう。

僕も同じです。


なので、読んでくれた人が


法律とかよくわからないけど、この記事を一回読んでおけばとりあえず大丈夫そう


と理解できるまでを目的に記事を作成してみました。

今後のネットライフの参考にしていただけたら嬉しいです。

ネットの法律を学ぶ

インターネットは今では誰もが使ってみるにも関わらず、僕も含めて、ルールをちゃんと理解している人は少ないと思います。


なんとなく、これを守っておけばいいだろう。
なんとなく、みんなやってるから大丈夫だろう。
なんとなく、俺が罰せられることはないだろう。


という気持ちでネットに触れている人がほとんどかと。

ネットは楽しいものであると同時に、怖いものでもあります。
なぜなら、被害者になる可能性があると同時に、知らず知らずのうちに加害者にもなる得るからです。


ルールを知っておけば安心して楽しめるし、怖いことがあったときにもルールに基づいて対処できます。

どうせ一生使うインターネットなんだから、知っておくなら早い方がいい。

というわけで、勉強したことをまとめました。

読者の皆様の参考になれば嬉しいです。


一週間で色々と読みましたが、最も参考になったのはこちらの本です。


その「つぶやき」は犯罪です: 知らないとマズいネットの法律知識 (新潮新書)

その「つぶやき」は犯罪です: 知らないとマズいネットの法律知識 (新潮新書)

この記事では、主に上の本の内容から特に重要そうなトピックを選び、その上で自分なりにインターネットで調べたことをまとめています。


誰もが加害者になりえる

上にも書きましたが、法律を勉強してみてわかったのは、インターネットでは誰でも加害者になり得るということです。
被害者になる可能性があるだけではなく、加害者になってしまうということです。


個人レベルで発信するとはいえ、責任が軽減されるわけではありません。
「知らなかった。大丈夫だと思った」で許されるわけではないということです。

インターネット上の犯罪としては、名誉棄損罪、侮辱罪、信用毀損罪、業務妨害罪、著作権侵害など、様々な犯罪が成立する可能性があります。
これらは刑法をはじめとした法律で刑罰が定められており、「刑事上の責任」を発生させます。
一般的には、警察の捜査によって逮捕され、検察官に起訴されて、裁判で有罪判決を受け、懲役や禁錮、罰金などの刑が科されることになります。



その「つぶやき」は犯罪です p.18より


知らなかったでは何の言い訳にもならない、という点は、本の中で何度も強調されています。
法律の世界の格言で、「法の不知は害する」と言われているのだそうです。


親告罪

よくインターネット上では「親告罪」という言葉が使われます。名誉棄損罪、著作権法違反、侮辱罪などは「親告罪」です。

親告罪の場合は、被害者が捜査機関に対して、犯罪を申告し、処罰を求める行為(告訴)をしなければ、検察官は起訴できません。


「被害者が告訴しないから大丈夫」なのではなく、「いつのタイミングで告訴するかは被害者が決めることができる」と考えることができます。

被害者はいちいち警告などしなくても、突然告訴してもよいということです。


告訴する方法

せっかくなので、告訴の方法を調べました。
「被害届を出す」のではなく、「刑事告訴」を行うことがポイントのようです。

被害届には強制力がないため、捜査するかどうかは警察の裁量に委ねられることになります。 
一方、刑事告訴は、刑事訴訟法の定めにより法的拘束力を有するため、捜査を必ず行わなければなりません。

http://www.geocities.jp/gut_expert/inf-accuse.html

告訴する先は、

・被害者の住所地、または被害の生じた場所を管轄する警察署
・被害者の住所地、または被害の生じた場所を管轄する検察庁

となっています。


「管轄する警察署」の一覧は、こちらのサイトにありました。

都道府県警察本部のサイバー犯罪相談窓口等一覧

https://www.npa.go.jp/cyber/soudan.htm


こちらのページは警察庁の「インターネット安全・安心相談」というページです。

警察庁 インターネット安全・安心相談

http://www.npa.go.jp/cybersafety/

「オークションで落札して代金を入金したが商品が届かず、相手と連絡が取れなくなった」とか、
「ウェブページに自分の個人情報を掲載された」
「サイトに登録したところ、高額な料金を請求された」

など、インターネットでありがちなトラブルに対する相談事例・対策方法が載っています。
電車で移動中なんかに軽く眺めると面白いかもしれません。


この記事の下の方で再度、告訴の手順・方法が載っているサイトを紹介します。


侮辱罪

侮辱罪は刑法231条で定められています。
「事実を適示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する」とされています。

バカ、キモい、頭悪い、ブス、ハゲ野郎、気色悪いなど、相手を貶める発言はすべてこの対象になるようです。

名誉毀損と侮辱は似ているようで違っています。
具体的に悪口を言った場合は名誉毀損になり、漠然とバカにする場合は侮辱になります。

名誉棄損罪では3年以下の懲役又は50万円以下の罰金。
侮辱罪では1万円未満の科料または29日以下の拘留となります。

名誉毀損の方が重いですね。


なお、科料(かりょう)とは、「1000円以上1万円未満」の金銭を強制的に徴収する財産刑のことです。


著作権侵害

著作権は、音楽や文章、映像や画像ブログの記事やプログラムまで、あらゆる著作物の作者に認められる権利のことです。
著作者は、著作物のコピーや改変、類似品の政策などを許諾したり、逆に、それを禁止したり拒否したりする権利が認められています。

たとえば、映画やドラマを勝手にインターネット上に公開したとします。
それで金儲けをしているかしていないかは関係ありません。

昔、イケダハヤトさんというプロブロガーの方が、「著作権者の利益になるパクリもある」と発言し、

「本が売れてるからいいじゃない」

と引用だらけの記事を公開してましたが、著作権侵害に「著作者の宣伝になるかならないか」は関係ありません。


また、ブログでは「問題がある場合は連絡をください。すぐに対処します」なんて書いてあるのをよく見かけます。
ブログを書く側としては、こういう文言が「逃げ道」になるように感じるんですよね。

しかしこのような記載は、法律的にはほとんど効果がないようです。

被害者は、相手のサイトをチェックする義務もなければ、訴える前に改善を要求する義務もないからです。

事前に警告する人が多いようですが、告訴する側は警告は必要ありません。

本では、

「万引きした商品を返したからといって窃盗罪に問われることに変わりない」

と言われています。
著作権侵害は刑事事件であるため、家宅捜索を受けたり、逮捕される可能性があります。


とはいえ、インターネット上で完璧に著作権を守ってる人はあまりいません。
多くのツイッターのアイコンはどこぞのアニメのアイコンだったり、有名人だったりします。
親告罪という特性上、それらがいちいち罰せられることは考えにくいでしょうし、全ての人が厳密に守る世の中にはならないでしょう。


なので、法律のことはあらかじめ学んでおき、それに加えて、良識や常識に照らし合わせて表現方法を判断する必要がありそうです。



引用のルール

引用は無断が原則なので、「無断引用」という表現は誤りです。
正当な引用であれば、著作者の許諾は必要ありません。

正当な引用とするためには、以下の要件を満たす必要があります。

(1)自分の著作物と引用した著作物を明瞭に区分できること
(2)自身の著作物が「主」で引用した著作物が「従」であること


ネットで調べた情報では、主従の基準は単純に分量の問題ではなく、判断は裁判官に委ねられることが多いようです。
しかし、「ネットでやって良いこと悪いこと」という本では、50%が目安になると記載されていました。


「ネットでやって良いこと悪いこと」から、引用する際に守るべきルールを引用します。

1.文章の中で著作物を引用する必然性があること

2.質的にも量的にも、引用先が「主」、引用部分が「従」の関係にあること
(過去の反例では、引用に占める割合が50%以下であるとしている)

3.本文と引用部分が明らかに区別できること(「」で囲むなど。HTMLなら「BLOCKQUOTE」タグで囲む)

4.引用元が公表された著作物であること

5.出所を明示すること(著作権法第48条)



「ネットでやって良いこと悪いこと」 p.75


他人のブログの画面キャプチャを貼り付けて「出所がわかるから正当な引用だ」という主張がツイッターでありましたが、
何百文字というブログ記事をそのまま貼り付けて、自分のコメントを1行だと、主従関係は正しくありません。

「そのつぶやきは犯罪です」という本の107ページで、以下のように例えられています。

たとえば、ベストセラー小説について、最初に「私はこの本に感動した。まずその内容を読んでほしい」程度の一文を入れて、そのあとはその小説を丸ごと「引用」して、最後に「どうですか?感動したでしょう」といった内容の一文を入れた文章を発表したとします。

この場合、内容的にも分量的にも明らかに引用部分が「主」です。
こんなものを認めては、著者の権利がなくなってしまうというのはお分かりでしょう。

以下の徳丸さんの記事もわかりやすいですね。
イケダハヤトさんの記事は適法な引用だと思う・・・今のところは


また、「転載」は「引用」とは異なります。

国や地方公共団体が公表する広報資料、調査統計資料、報告書は無断転載可能です。
新聞紙や、経済・社会に関する論説も、著作者の許可なしに自由に転載してよい著作物とされているようです(著作権法第39条1項)

ただし、著作権者が「転載禁止」と意思を評している場合は、転載できません。



「著作権侵害やめてくれ」と主張するのはおかしいか

著作権侵害があったと認められる場合は、侵害行為をする人に対して差止請求をしたり、そのおそれのある者に対して、その行為をしないように予防請求をすることもできます。

これらの請求は相手に「故意または過失」がなくてもすることができます。
著作者は、著作権を侵害している人に対して「やめろ」っていう権利はあるということです。

なお、損害賠償請求は「故意または過失」があることが条件です。

プライバシーの権利

プライバシー権は、個人の私生活上の秘密や、他人に知られたくない事実をむやみに公開されない権利をいいます。
万が一、氏名、住所、メールアドレス、今ならLINE ID等の個人情報が流出した場合、「プライバシー権侵害」として、個人情報を流出させた人に対して損害賠償を請求することができます。

個人情報とは、特定の個人を識別することができる情報のことです。
上に書いた例に加え、身長、体重、電話番号、カード番号や成績、勤務先なども含まれます。

単にSNSでタグ付けした場合でも、その公開された事実が、関係する人間にとって「他人に知られたくない事実」にあたる場合は、プライバシー権侵害となる可能性があるようです。

「その『つぶやき』は犯罪です」という本では、プライバシー侵害になる条件として、以下のように書かれています。

判例上、プライバシー権侵害が法的に救済されるためには、公開された情報が、

1.私生活上の事実又は私生活上の事実らしく受け取られるおそれのあることがらであること

2.一般人の感受性を基準にして、当該私人の立場に立った場合、公開を欲しないであろうと認められることがらであること

3.一般の人々に未だ知られていないことがらであること

4.このような公開によって、当該私人が実際に深い、不安の念を覚えた場合であること

という4つの条件を満たしたものとされています(東京地判昭和39年9月28日)


見る人が見たら本人とわかるような写真を、無断でネットにUpすると罰せられる可能性がありそうです。


肖像権

自分の顔や姿を無断で写真・絵画などに写しとられたり,それを展示されたりすることを拒否する権利。

http://www.weblio.jp/content/%E8%82%96%E5%83%8F%E6%A8%A9

法律用語を見るとすごく難しく書いてあるのですが、勝手に写真を撮ってウェブに載せるのはアウト。
ただし。
「撮影する方と撮影される方の双方の事情を考えて、社会生活を送るうえで許される行為をいえるのであれば、違法とならない」ようです。

本では運動会の例が載せられていますが、たとえばお祭りの写真を撮って、ツイッターにUpしました。
そこに他の人が映り込んでしまうこともあると思いますが、このような行為は社会生活を送るうえで許される行為といえるので、損害賠償を請求されることにはならないということです。

名誉棄損罪

名誉権とは、その人に対する社会的な評判に関する権利です。
この権利は人だけでなく、会社などの団体も含みます。

名誉棄損とは、他人の名誉を傷つけることです。
「一般読者の普通の注意と読み方を基準として解釈した意味内容」に従って判断し、「社会的信用を低下させる表現行為」があった場合は、名誉棄損に該当します。

ネットで誰かの悪口を書くことは、名誉棄損に該当する可能性があります。

2ちゃんねるのまとめサイトなどでは、コピペで記事を作っていますが、コピペであるか否かは名誉棄損の成立には関係がないようです。
オリジナルだろうと、コピペだろうと、社会的評価を下げることに変わりがないので、投降した人も、コピペした人も、両者について名誉棄損が成立することになります。


信用棄損罪

信用棄損罪とは、「虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて人の信用を毀損」した場合に成立します。
うその噂や情報を流すことで、人の信用を損なわせた場合に適用されます。

虚偽かどうかは客観的な事実に反するかどうかで判断されます。

根拠がない、または根拠が怪しい情報をネットに書き込むことは危険である可能性があります。

嘘をネットに書いて、個人や会社の信用を下げるような真似をすると罰せられますよ、ということです。



名誉毀損は匿名アカウントにも適用されるのか?

とても興味深い記事があります。

匿名者同士の言い争いは、名誉毀損になるか?

ところが、本来、名誉毀損は、例えば、芸能人のプライバシーの暴露記事といったように、実在して、どこの誰かが分かっている相手の名誉を毀損する場合が念頭におかれているのです。つまり、(刑法上の)名誉毀損罪にしろ、(民事上の)賠償請求にしろ、対象となる「名誉」は「リアルの世界の人格」なのです。

その結果、HN同士で言い争う場合、「リアルの世界の人格」は傷つくものではないので、(法的な)名誉毀損が成立する余地は、よほどの例外的な事情でもない限り、ないといっても過言ではないでしょう。

http://aoigyousei.sakura.ne.jp/aoi007/nb004.html


今のところ、ハンドルネームに対する誹謗中傷は名誉棄損には当たらない可能性が高いようです。

逆に、個人名に結び付けて誹謗中傷するのは罪になります。
まぁ、これは当たり前ですね。


匿名アカウントは特定できるか

Twitter匿名アカウントの個人特定可能に。悪口・誹謗中傷は名誉毀損で訴えられるかも。

ツイッターで「詐欺師」などと中傷された日本人男性が、投稿者を割り出すために、米ツイッター社へ情報開示を求めて行った仮処分申請が、東京地裁に認められたのだ。

http://webcreate.united-youth.jp/twitter-waruguchi/

ネットで誹謗中傷を書かれた時に、法的に個人を特定する方法

1.書いた人の発信者情報をゲットする
2.IPアドレスから個人の情報を取得

の流れをどうやってやるかが丁寧に書かれています。

警察に行くときになんて言えばいいか、裁判所にどう向き合えばいいかが具体的に書いていて、読むだけでイメージがつかめます。
https://nanapi.jp/594/

2ちゃんの書き込みに対する発信者情報開示まとめ

ポイントとしては、書かれた掲示板をプリントアウトし、警察の受付で

「掲示板で誹謗中傷を書かれたので、刑事告訴しようと考えています。刑事課までお願いします」
と伝えることです。

http://matome.naver.jp/odai/2141595570775821801


弁護士を探すなら、弁護士ドットコムが良いようです。

◆弁護士ドットコム
http://www.bengo4.com/


お金を節約したい人は、区役所の無料弁護士相談がよさそうです。
税金払ってる分は、こういうときに取り返しましょう。
まぁ、相談する事態にならないのが一番ですけど。

◆区役所・市役所の無料法律相談(弁護士の無料相談)
http://www.geocities.jp/tomato3171/page184.html


参考文献

他人事とは思えない事例が多数紹介されています、
法律の知識はゼロで読めます。