愛のままにわがままに、僕は君だけをディスらない。



2年前の冬、僕が恋愛工学にハマっていた頃、友人と合コンに向かった。

その合コンは僕の前々からの友達に頼んでいて、間違いなく可愛い子が来ることがわかっていた。

合コン前に男同士で集まり、作戦会議をした時に、恋愛工学を紹介した。


「美女ほど、ひるまずディスれ」


愛すべきブサイクな山田は作戦を忠実に守り、席替えで隣の席に座った美女をディスった。


「そんなんじゃダメなんだよ。だから彼氏ができないんだ」

「なぜ、その仕事が必要だったかわかってんの?」

などと、嫌な上司のように、ひたすらダメ出しをしていた。


途中まで穏やかな雰囲気で流れていた合コンの空気は一変して凍りつき、険悪な雰囲気となった。

美女は本当に嫌な顔をしていたが、山田は気付かない。
飲み会は当然、最悪な雰囲気で幕を閉じ、僕は大切な大切な、美しい女友達を失いかけた。


このとき山田は我々に、大切な教訓を残してくれたのである。



ブサイクがディスると、普通にムカつく。

愛のないディスは、悪口と同じ。


ディスるって難しい

恋愛工学メルマガで、相手をディスることによって相手の相対的な価値を下げ、主導権を握りやすくするテクニックが紹介されました。

元ネタは「ザ・ゲーム」というナンパ本にある「ネグ」というテクニックです。

最初、このテクニックを読んだときは度肝を抜かれました。

ディスることで、相対的に相手の価値を下げる...だと?

そういえば、適当に扱ってた子ほど、自分のこと好きだった気がするな。
そうか!そういうことだったのか!ディスることで、相対的に自分の価値が上がっていたからだったんだ!

みたいな感じで感動したんですが、いま冷静に考えると、ディスったからうまくいったというわけじゃなかったと思うんです。

ディスることが効果を発揮したのではなく、ディスることのできる関係が既にできていた。
相手は自分に敬意を持って接していただろうし、愛情もあった。

既に信頼関係があったから、適当に扱っても、からかっても(←これはディスなの?)腹を立てることも嫌な気分になることもなかったんじゃないかな、と。

逆に言うと、何の信頼関係もない奴にいきなりディスられたら、普通はムカつきます。

自分より格下っぽい奴に偉そうにされたことがあれば、そのときのことを思い出してほしいんですけど、普通にムカつきますよね。

相対的に価値が下がるとか以前に、「こいつマジ、殺したろか?」と思うはずです。

嵐の二宮君に「ばーか!」とか言われたら「やだ♡」みたいになるかもしれませんが、初めて会ったコンパでブサイクに「だからお前はダメなんだよ」とか言われたら殺意がわくはずです。


ディスる以前に、関係を築くことが大事。

昔の剣豪が「達人になれば、剣はなくとも人は切れる」みたいな謎の格言を残したんですが、ディスっても大丈夫なくらい、しっかりとした信頼関係ができあがっているならば、もはやディスる必要はないのです。

コミュニケーションはサービスだ

一方で、個人的に好みなのは「サービスとしてのディス」です。
サービスとは、ディスることで相手の価値を下げるのではなく、笑いにすることです。

悪口を言うのではなく、イジりどころを的確にイジることで、相手のボケを活かす。

たとえば、会社の飲み会で、群馬出身の先輩がいたんですけど、その先輩が群馬出身のくせに茨城を馬鹿にしてたんです。

「いや、茨城は何もないからね。納豆しかないし」

なんて言っていたときにすかさず、

「...と言うじゃないですか、皆さん。でもこの方、ゆうても群馬出身ですからね!ネットで未開の地とされてる群馬ですから!新幹線通ってないし!」

みたいな感じでイジると、

「おい!お前も田舎出身だろ!新幹線通ってるわ!」

という感じで、けっこう場が盛り上がりました(元々仲良い先輩だったんですが)


大事なのは、

・ツッコミ力
・リカバリ力

だと思います。

会話を拾ってツッコむ能力と、スベッたり雰囲気が悪くなった時に、ごまかしてリカバリする能力。

ディスるっていうのは「空気を読む」という基本的なコミュニケーション能力を土台として、その上にこの2つのテクニックがあって、初めて活かせるものだと思っています。

そして、何より大事なのが、愛。
やっぱり、愛なんです。

愛がないイジりはイジメに近いものがあるし、愛のないディスは悪口です。

コミュニケーションに、愛を込めましょう(本当にムカつく奴はぶっ殺せ!)

そして元々女の子に慣れていない人で、どうしてもディスりたいという人がいたら「前置き」のテクニックが大変おすすめです。

たとえば、こんな感じです。


(一緒に食事しながら)

「あのさ...これ言っていいかわかんないんだけど...」(前置き)

「優香ちゃん...こっそりピーマンよけてない!?
さりげなく、気付かれないようによけてない!?」

「え、バレたw」

「いや、バレバレだから!明らかにごまかしてたけど!」


(会計の時に)

「今日はご馳走になっていい?(甘えた声で)」

いや、ピーマン残したからダメだわ(不自然に真面目な顔で)」

と、天丼するとか。

あるいは、「褒め落とし」

「綾ちゃんめっちゃ可愛くて、今まで見た中で最高の女子だと思うんだけど、見た目の美しさに反比例して箸の持ち方おかしくね?確実にビー玉持てないやつ!」

「超いいこと言ってるけど、靴下裏返しだよ!

みたいな。

個人的には、こういうウケる技術的なノリを非常に好みます。

そして、イジる場合は容姿や仕事や経歴のような、相手にとってクリティカルなところではなく、どうでもいいところをイジります。

出身地とか、血液型とか、大学生なら授業の出席率とか。

そうやって「イジりどころ」を共通の話題にすれば、自然と好意を持たれるんじゃないですかね。それが正解なのかは全くわかりませんが。


大事なのは機械的にディスるのではなく、相手をよく見て、相手が望んでいるように振る舞うことなのかもしれません(とても難しいですけど)

コミュニケーションを、相手を楽しませ、喜ばせるサービスであるとリフレーミングすることで、僕自身、相手との接し方が変わったように思います。


ウケる技術 (新潮文庫)

ウケる技術 (新潮文庫)

大学生のときにこの本に出会い、今に至るまで100回は読み返しました。
個人的には不朽の名作です。

「ウケる技術」を体系的にまとめ「人が笑う(=ウケる)のはこのパターンだ」というノウハウをまとめた画期的な本。

そして実際に、ウケるパターンはほとんど、ウケる技術に分類可能という。

実感として、知り合いの男のうち、イケメンは20人に1人くらいはいますが、「こいつめっちゃトーク面白い!」という奴は50人に1人くらいしかいません。

面白い人がモテるとは限らないですが、希少種であることは間違いないです。
論理的な人とか、記憶力がいい人はたくさんいるんだけど、面白い人はマジで貴重。そして、話が面白いイケメンはめちゃくちゃ少ないので、出会い次第確保すべきです。


お笑い芸人に学ぶ ウケる!トーク術 昨日起こった出来事を面白く話す方法

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「ウケる技術」をamazonで検索したら見つけた本。自分が後で買う用にメモとして残します。