J-POPが好きである。
私は音楽を知らない。
おしゃれな曲は知らないし、カラオケでは嵐しか歌わない。
周りの人に「J-POP好きだもん」なんて言ったらけっこう馬鹿にされるが、音楽は人生の目次。
私の目次は、J-POPでできてる。
君の目次は、何でできてる?
同じ世代の人なら思い出を共有できるだろうか。
私の目次に刻まれた曲は、君の目次にも刻まれているだろうか。
この記事で紹介したいのは、私の冬の思い出。
冬のソナタではない。
only holy storyだ。
時の流れは恐ろしく、最近の若者はこの曲知らないらしい。
私の高校時代のクリスマスソングといえば、山下達郎の「クリスマス・イブ」でもなく、B'zの「いつかのメリークリスマス」でもなく、steady&co.だった。
無論、全校的に流行っていたかといえばそうでもなく、私の心の中で流行りまくっていたという方が実態に近い。
当時流行ってた「RIPSLYME」の某とカリスマ★降谷建志が一緒になって歌ってて、これはとんでもないコラボになるぞ...と、全俺が注目していた。
あの頃の私は、清く正しく純粋な心を持っていた。
汚れを知らないDTだった。
愛を信じていた。
君と手を繋いで歩くだけで、君が吐いた白い息と一緒に天まで昇れそうだった。
only holy storyはそんなDTの心にグッと響く、クリスマスの名曲なのです。
この曲の歌詞に
「今じゃ遠く離れた場所で 二人をつなぐのは電波だけ
ゲームはすでに終焉ムードなのに 電源オフれない」
という一節がある。
高校生の頃、常に恋愛の終焉モードに追い込まれていた私にとって、この歌詞が響いた。
「もう待っていても何も来ないのに、いつかメールが来るかもと信じて携帯電話をオフれない」
そんな私の心境と妙にシンクロしてしまった。
一日30回、ドコモに「センター問い合わせ」したあの頃。
私がネテロ会長であったなら、感謝のセンター問い合わせを一日一万回続けていたかもしれない。
「電源オフれない」only holy storyを聴き、その後でミスチルの「over」をかけた。
overはこう歌っている。
「いざとなれば 毎晩君が眠りにつく頃 あいも変わらず電話かけてやる」
......やばい奴やん...。
毎晩深夜に電話するのはストーカーだ。しっかりしろ。
それにしてもいざとならなくて本当に良かった。
思春期は何をするかわからない。盗んだバイクで走り出してしまうかもしれない。
中学の時、「初めてできた彼女に家電を着信拒否される」というホラー体験をした僕に「over」は辛すぎた。
毎晩電話をかけてもそもそも電話がつながらないのだ。
ツー...ツー...
しか鳴らない。電源オフれない。オフられた。
君たちゆとり世代にはわからんだろう?
携帯電話がない時代は彼女の母親を買収する必要があった。
母に気に入られないと娘に電話を取り次いでもらえないからだ。
父親が出たときは無言で電話を切る。
一瞬の判断ミスが命取りになる。
LINEで話せる今はいい時代になった。
電源オフれない切なさを今の若者にわかってほしいとは言わない。
でもそこに流れる切ないメロディや、空から雪が降ってくるような寂しげな歌詞は、世代を越えて心に響くに違いない。
クリスマスの思い出の曲は、only holy story。
若者はカラオケで歌ってあげてほしい。
きっと会社のおじさんは喜ぶから。
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