俺の遺言を聴いてほしい

これは俺の遺言だ。

「一番の下手くそでいよう」


昨日ゴッホさんのツイッターで「ハッカーと画家」が話題になっていました。

そこでふと思い出したんですが、「ハッカーと画家」と並ぶ名著に「情熱プログラマー」という本があります。
著者は不細工だが世界的に有名なソフトウェア開発者であるChad Fowler。


f:id:hideyoshi1537:20151231222556j:plain


彼は「情熱プログラマー」の中で、こう述べています。


Be the Worst.
(一番の下手くそでいよう)


今日は、その内容を要約して紹介します。

IT業界に入る前、僕はジャズとブルースのサックス奏者をしていた。

バンドの中で一番下手くそというのは、いつも自分より優れた人たちと一緒に演奏するという意味だ。
僕はミュージシャンとして、この教訓を早いうちに学び、忠実に守るという幸運を得た。

駆け出しの頃、自分に不釣り合いなバンドの中で、明らかに自分の演奏が一番下手くそだと感じていた。
ステージから放り出されるのが不安で、サックスをケースから取り出す気力も沸かなかった。

だってそうだろう?隣で演奏している人たちは、僕が尊敬し目標にしていたハイレベルなミュージシャンなんだから。

でも、そんな状況であっても、必ず何か不思議なことが起きて、いつの間にか周りに溶け込めるようになっていた。
スターとして目立っていたわけじゃない。力量も明らかに抜きん出てはいなかった。

それなのに、どうして僕は溶けこむことができたんだろう?

理由は2つある。

第一の理由は、僕の演奏は自分で思っていたほどひどくはなかったこと。
第二の理由は、僕自身の演奏が彼らの演奏みたいに変化していったことだ。

自分には天才の隣にいるだけで天才に返信できる特殊な才能があると思いたかったけど、そんなカッコいいものじゃない。

外国で、自分と違う言葉を話す人に囲まれると、その国の言葉を話せるようになるのと同じだ。
これは本能としてプログラムされた集団心理だったんだろう。

バンドの中で一番下手くそなサックス奏者である僕にも、外国に住むのと同じようなことが起きていた。

自然と、いつの間にか、みんなと同じような演奏をしていたんだ。


こうして僕は、一つのことを学んだ。

人は、どんな仲間と一緒にやるかで腕を上げることもあれば落とすこともあるということを。
ある集団との長い付き合いが、その後もずっと、人の能力に影響をあたえるということを。


こいれはIT業界に移っても変わらなかった。
世界最高の人たちと働きたいと願って、そういう人たちを探し求めていたんだ。

そして、当たり前のように、ミュージシャン時代に学んだことは有効だった。
チームで一番下手くそでいるのは、バンドで一番下手くそでいるのと同じ効果がある。

どういうわけか、自分自身が賢くなるんだ。

話し方や書き方さえ以前より知的になる。
自分の生み出すコードや設計が以前よりエレガントになり、難しい問題をますます創造的なソリューションで解決できるようになる。

実際、一番下手くそになろうと努めたところで、本当にそうはならないもんだ。

伝説のジャズギタリスト、Pat Methenyも言ってる


always be the worst musician in every band you’re in.
(どんなバンドを演るときも、一番下手なプレイヤーでいろ)

「情熱プログラマー」 p.12より


www.youtube.com

このブログを見に来てくれる人は、現在は恋愛工学関係の方やナンパ関係の方が多いかもしれません。
もしかしたら、はてな界隈の人がいるかもしれません。

転職や就職、あるいは進学で、人生の新たな局面を迎える人がいるかもしれません。

皆それぞれに、目標を持っていることでしょう。

目標に近づくための最も良い方法は、自分が敵わない人たちがいるコミュニティの中で過ごすことだと、不細工なChad Fowlerは言います。

自分が下手くそで恥をかくかもしれない。
邪険に扱われるかもしれない。
カッコ悪いかもしれない。

それでも、いいんです。

自分が一番下手くそな環境に身を置けば、いつの間にか下手くそじゃなくなっているから。
周りのレベルに合わせて、いつの間にか成長しているから。

その人が置かれた環境と、その人が置かれた立場がその人を作る。

だから、自分が一番下手くそな環境にいよう。

実際、一番下手くそになろうと努めたところで、本当にそうはならないものだから。


情熱プログラマー ソフトウェア開発者の幸せな生き方

情熱プログラマー ソフトウェア開発者の幸せな生き方