高校3年生の夏。
部活を引退し、高校3年間で全く勉強することなく受験勉強に突入してしまうという現実に絶望した3人が集まり、密かに結成したのが「勉強法を極める会」でした。
「勉強法を極める会」の目的はシンプルです。
「勉強の効率を極限まで上げて、楽して大学に合格しよう」
という与沢翼的な発想。
目的だけを書くといかにもイケてるように見えますが、現実は
高3にもなって三角関数の公式すら覚えていない連中
が集まった会です。
「あいつらの勉強法は効率が悪い」
と一生懸命勉強している人達を馬鹿にして、夏休み中効率的な勉強法ばかりを研究した結果、秋口に受けた模試の結果は学年で10番となりました。
もちろん、下から数えて10番です。
モテテクニックを研究する人のほとんどが非モテなように、
勉強法を研究する人のほとんどは成績が悪い生徒です。
元々できる人に、小細工は必要ない。
しかし僕は元々何もできないし三角関数の公式もわからなかったので、藁にもすがる想いで勉強法を研究しました。
勉強法の研究を初めて最初に見つけたのが福井一成という人の本でした。
彼は一度、東京大学文科二類に入学した後、なぜか退学して東大理三に入り直したという、何がしたいのかよくわからない人なのですが、この人の勉強本に書かれている内容は衝撃的でした。
問題用紙が配られた瞬間に、裏から透かして読み取れ
とか、
トイレにカンニングペーパーを仕込め
などの、今思うと真っ当とは思えないテクニックが散りばめられていました。
しかし純粋な童貞高校生だった僕は東大理三を卒業した神の勉強法を信じこみ、
日本史はトイレに行けばなんとかなる
と夏に山川出版の教科書を1ページも読まないまま秋に突入した結果、センター模試でまさかの30点という壊滅的な点数を取るに至ったわけです。
(今だから言うと、歴史の勉強で大切なのことは、ちゃんと流れを整理して、「なぜその出来事が起こったのか」を理解しておくことです)
それで、秋の模試で壊滅的な成績を叩きつけられた僕が思い至ったのは、
「普通の勉強しては間に合わない。
もっと勉強の効率を高めなければならない」
ということでした。
そこから和田秀樹という
数学は青チャートを暗記せよ
という「暗記数学」の勉強法を提唱した人の本を読み漁り、実際は数学は丸暗記しても他の問題に応用できるはずもなく、
というか人間の脳は物事を単純に丸暗記するようにはできていないため、暗記数学なのに暗記すらまともにできないという負のサイクルに陥り、
進研模試の数学で偏差値40を叩き出す
という絶望を味わいました。
(今だから言うと、数学の勉強で大切なことは、ちゃんと解法の意味を理解することです。公式だって、理解していれば覚えなくても導くことができます)
徹夜で勉強してもまるで成績が上がらず、肌寒くなってきた街の歩道を歩き、横を走っていく車を見て、
ここで道路に飛び込んだら楽になれるんじゃねえかな
なんて考えていたことは忘れません。
さて、そんな絶望に暮れた僕を救ってくれた本があります。
それは「実況中継」シリーズでもなく、「センター試験が面白いほど解ける本」でも「西きょうじ」でもありません。
これです。
「医学部再受験 成功する人・ダメな人」
わざわざAmazonで買い直したんですが、この本は無数にある勉強本の中でも圧倒的な輝きを放っていました。
というか、真っ当なことが書いてある本はこれだけでした。
本を読んだからといって僕が医学部に受かるわけなどないのですが、内容自体はとても有用で、
この本のおかげで三角関数の公式を覚えることができました。
それでですね、僕の記憶によると、この本には社会人になってからも役に立ちそうな記述がたくさんあったと思うので、新年度は勉強を頑張ろうと思ってる皆様のために。
すごい勉強法を記事にしようと思ったわけです。
というわけで、僕の感想も交えて紹介していきます。
たくさん復習しましょう
本にしつこく書いてありますが、受験でもなんでも、何かを学ぶ時に最も大切なことは反復です。
人間の脳は「生命に関わるような重要なこと」でないと、一発で記憶することはできないようになっています。
本で読むような知識は基本的には「生命に関わる」ようなことではないので、何度も何度も反復して、「これはとても大事なことだ」と脳に刷り込まなければいけません。
一度やったものは反射的に出てくるようになるまで、繰り返し復習しておきましょう。
キーワードは「反射的に」というところです。
一般に応用というのは、反射的に出てくる知識がベースになります。
また、普通の能力の人では、復習を繰り返さないと、勉強した事項について十分な理解が伴わないはずです。具体的な復習回数の目安は5回以上です。
「医学部再受験 合格する人・ダメな人」51ページ
社会人の勉強は、資格試験の勉強でもしない限りは基本的にカンニングし放題(いつでもググれる)なんですが、
Googleがハードディスクだとすると、記憶はランダムアクセスメモリというか、とにかく覚えておいた方が早いです。
「調べればわかる」
よりも、
「聞かれたときに即座に答える」
方が重宝されるため、やっぱりちゃんと覚えておいたほうがいい。
そして、物事を覚えるためには何度も復習しなければいけないということです。
とにかく、やったものは「こんなの常識だ」と思えるレベルまで復習を積み重ねることが、受験勉強で一番大切です。
また、基本的に復習は読むだけですませないと、時間を食ってダメです。
教材を抱えすぎないようにしましょう
本では「参考書ジプシー」と呼ばれています。
ジプシーとは「放浪者」という意味ですが、本屋ができるくらい本を買い込んで、結局何も身に付かない人のことを言います。
次から次へと参考書を放浪しているようですね。
おや、オッサンになってからこんな記事を書いている男が・・・。
何を身に付けるにしても、「まず一冊」の意識が大事なのではないかと改めて感じました。
俺、何も成長してねえな。
なんとなく始めましょう
「さあやるぞと、一大決心のもとに何かを始めると、えてして長続きしません」
と本に書いてあったんですが、土曜日に色々とやろうと思って決意したものの、金曜に飲み過ぎて寝坊。
一日何もやる気が起きなかった、なんて人もいるのではないでしょうか。
そう、僕です。
「やるぞ!」と決めると、計画が崩れたときに心が折れるので、なんでも気楽に始めるのがいいと思います。
気楽に始めて、毎日継続することの方が大事なんじゃないでしょうか。
英語は音読しましょう
英語のコツは英文の構造をまず理解して、ひたすら音読することだと書いてあります。
SVOCを意識して、ひたすらCDを聞きながら音読するのがいいんじゃないかと個人的には思ってます。
というか、最近英語に再チャレンジし始めて思ったんですが、社会人の英語学習のコツは、いかにして継続するかに尽きるのではないかと。
ちょっと予定が入るとすぐに継続できなくなってしまうので、少しずつでも毎日やる仕組みを作っていきたいです。
一番いいのは、「通勤時間に必ず英文を読む」というようなルールを課すことでしょうか。
さて、ここまで色々と読み返してきたんですが、
当たり前ですが、この本は大学受験の本でした。
大量のTIPSを紹介するつもりでしたが、やっぱり受験に特化していますね...。
なので、最後は個人的に思ったことを書いて締めとします。
ビジネス本とか勉強法の本を読むより、自分の頭で考えよう
誰もが人生のアマチュアなので、正解は誰にもわかりません。
「こうすればうまくいく」
なんて魔法の法則は存在するはずもなく、それゆえに目の前の状況を見つめて自分の頭で考えることが大切になります。
大学受験には「効率的な勉強法」が存在するかもしれませんが、仕事に関しては、四苦八苦しながらTry&Errorで進めていくことが何より重要です。
計画を立てて、実践して、結果を振り返って、次に活かす。
それを自分で考えることでしか、自分自身の正解は見つからないと思っています。
知識は実際に使って初めて身に付く
本を読むだけじゃ全然仕事で使えねえな、と思ったのが社会人1年目のことでした。
用語をただ勉強しても、実際に業務で使ってないと全然身に付かない。
ルールブックを読んでもサッカーがうまくならないのと同じで、
「その知識を実際に使ってみた経験」がないと、自信を持って人に説明できないし、アウトプットになりません。
自分が動いて得た体験こそ(あるいは手を動かして試行錯誤した経験)が、自分の財産となります。
受験では定まった正解に向かって問題を解いていく訓練をしますが、
仕事ではビタッと決まる正解がないことが多いし、そもそも何が問題かもよくわからないことが多い。
だから、論理的に物事を整理して考える能力や、正解を探していく能力、見つけた仮の答えを人にわかりやすく説明する能力などが大切になってきます。
これらの能力は、机上でシミュレーションするだけでは身に付かず、仕事をしながら学んでいくものだと思っています。
受験というゲームには攻略法があるのかもしれないけれど、人生というゲームに攻略法はない。
だから、PDCA(っていうと陳腐な響きになりますが)を回しながら、少しずつ前に進んでいくしかないのかもしれません。
なんかうまいことまとめてみましたが、この記事で紹介した本は「勉強法を研究する会」のメンバー総意で「最もオススメな勉強テクニック本」です。
ただし、「勉強法を研究する会」のメンバーは誰一人として志望校に合格していないという点、ご留意ください。
最後に。医学部再受験の本、たぶん僕はもう読まないので、欲しい人がいたらツイッターか何かでメールください。
@cook_hideyoshiのアカウントでツイッターをやっています。
「cook」からもわかるように、僕は料理を嗜むアカウントです。
料理を効率的に身に付けるテクニック本を研究したいのですが、どこかにないですかね。
医学部再受験 成功する人・ダメな人 2014年版 (YELL books)
- 作者: 荒川英輔
- 出版社/メーカー: エール出版社
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