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俺の遺言を聴いてほしい

これは俺の遺言だ。

【検証】アバクロの香水をつけたら本当にクラブでモテるか試してみた。

「アバクロの香水がモテる」

というツイートを見たとき、心が躍った。

この世に生まれて30余年。
僕ほどモテに餓えた男はいない。

中学生のときに

「理想の眉毛の形」

を求め、ヘア雑誌の付録についていた「芸能人の眉毛の形」のくり抜きを顔に当て、どれが似合うか検証した。
そして、どの芸能人も自分の眉とは形が違うことに絶望した。


高校のときは髪型を研究した。
僕が10代の頃に行ったモテ研究において、最も重要な成果は

髪型によってモテ方は変わる

ということだった。

地元に一つしかないオシャレな美容室に雑誌片手に乗り込み

フワッとしたパーマ

をかけてもらった。
先生に怒られない程度に冒険し、それでも「ちゃんとパーマをかけた感じ」を演出するために知恵を絞った。

髪型の研究によってモテは改善したが、高1の秋に付き合った彼女には2週間で振られた。
この頃から僕は振られてばかりだ。
「モテることと、関係を継続させることは違う」ということを学んだ。


高校までは

男は硬派が正義

という価値観で生きてきたため、チャラい奴はクソだと思っていた。
しかし大学に入るとチャラ界のパイオニアみたいな奴がいて、彼と一緒にいるうちに、僕の価値観はひっくり返された。

複数のセフレを常時確保し、誕生日も偽装。

誕生日プレゼントを買わせてセフレを切る

という悪の所業を行う男と僕は親友になってしまった。

僕は彼に切られた女の子に優しくして

傷心中の女を慰める

という、この世で最も姑息な便乗作戦を決行し続けたが、実を結ぶことはなかった。

大学中のイケメンとコネクションを作り、

「イケメンいるよ」

という誘い文句で週に3回合コンを開き、歓楽の限りを尽くした。

合コンを開催しすぎたせいで、彼女には疑惑のデパートと言われた。

周りのイケメンからモテそうな振る舞いを学び、多少モテ方がわかった気がしていた。

でも、何かが足りない。
その何かを。モテをもうひと押ししてくれる何かを。
最後の一欠片を探していた。



ワンピースは実在した。

それは、アバクロの香水だったのだ。
迷うことなくAmazonでアバクロを注文し、ようやく届いたとき、僕の心は六本木に向かっていた。



* * *




ゴールデンウィークの六本木は静かだった。
ウェイとパリピと外人が入り交じるいつもの六本木の喧騒は存在せず、静寂な雰囲気が漂っていた。

時々すれ違うギャルを横目に、景気づけの一杯を飲むためにバーに向かう。
西麻布のバーで飲んだビールは生ぬるかったが、それでよかった。

僕はビールを楽しみにきたわけではないのだ。


長くこのブログを読んできた読者は

どうせボロボロになって帰ってくるんだろ?

とか、

どうせ振られて家に帰るんだろ?

などと思っているかもしれない。

この、愚か者!
僕は本気だ。

アバクロの香水の力を借りて、なんとしてもモテる。

具体的には、ヒデヨシがクラブに入って5秒で女が群がり、その中から一番の巨乳を選びキスをして、

「ごめんな、ちょっと今日は忙しいんだ」

とその場を去り、遠くでその光景を見ていた埼玉の田舎から出てきたあどけない女の子に

「実は...入った時から君を見ていたんだ」

と話しかけ、一緒にクラブを出る計画を立てている。


突撃するクラブは決めていた。
西麻布にある「ミューズ」というチャラいクラブである。

「ミューズは一人で入れない」

という噂を聞いたことがあったため不安だったが、余裕で入れた。
細い階段を降り、エントランスでお金を払う。
3,500円。

入り口横にあるブランコを通り過ぎると、そこはバーカウンターであった。

当然5秒でナンパなどされるわけもなく、一人ビールを片手に周囲を観察する。
その姿はまるで地蔵のようだった。地蔵は笑うが、ヒデヨシは笑わない。

周りのウェイに圧倒され、屈強な男を恐れ、ほら穴に逃げた。

一息つき、ツイッターを開く。

どうやらこの穴は可愛い女の子のためのものらしい。
が、ヒデヨシは構わない。

勝負に勝つには地の利を活かさなければならない。

穴にこもれば、匂いもこもるのである。

お香を炊くつもりで穴にこもったが、女には見向きもされなかった。

ほら穴を脱出し、さらに地下に潜る。
地下にあったのはブランコであった。

誰も乗っていない。

一休みするつもりでブランコに腰掛けてみたら、店員に怒られた。

西麻布のクラブは厳しい。
カップルにならないと、ブランコに座ることもできない。

僕はブランコに座ってくれる女の子を探すため、再び上の階を目指した。


流れた曲名を検索したらYahoo知恵袋がヒットした。

「洋楽でリズムが、おおおおっおーおっおっおーみたいなノリの曲名探してます。」
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1198208896

Carly Rae Jepsenの「Good Time」である。
今後クラブに行く可能性がある人はぜひ、一度聞いておいてほしい。
妙にテンションが上がる曲だ。

www.youtube.com


曲に乗せられてフラフラとダンスフロアに行くと、EDMの名曲「Playhard」が流れてきた。
音楽に疎い僕でも知ってる定番中の定番だ。

www.youtube.com



曲に便乗し、女の子の隣でステテコダンスを繰り出した。

f:id:hideyoshi1537:20170506122938j:plain

ダンスしながら

チラッ

ダンスしながら

チラッ

それでも女子の視線を感じない!
お前らもっと俺を見ろ!


アバクロも通用しない。
ダンスも通用しない。

そんな現実に打ちひしがれ、とある仮説が頭に浮かんだ。


アバクロの香水がモテるのではなく、イケメンからいい匂いがしたことを女が喜んでいただけなのではないか?


蝶が花に止まるように、アバクロの香りに女が引き寄せられるものと思っていたが、それは間違っていた。

蝶は香りに止まらない。
イケメンに止まるのだ。

僕は作戦を変更し、ミューズを諦め、エーライフに向かった。

エーライフに突撃し、札束で女を殴る───。

僕はコンビニで金を降ろし、目が合った女にテキーラを奢る覚悟を決めた。


2010年頃、人生で初めて行ったクラブがエーライフだった。
あの頃は今に比べてクラブに勢いがあったように思える。

大きな箱の中に人がぎゅうぎゅうに詰め込まれ、皆が踊り狂い、その中で右を見ても左を見ても男女が抱き合っていて、

「クラブ、マジやべー」

と密かに興奮したものである。

それから様々な事件が起こり、規制が入り、クラブのイメージが悪化した結果、人が離れてしまった。
ごく最近になってまた規制が緩くなり始め、今はちょうど息を吹き返しているところである。


クラブには「ナンパ箱」とか「音箱」というのがあるようで、僕は長らくその違いがわかっていなかったんだけど、ミューズとエーライフをハシゴしてなんとなく違いがわかった。
ミューズはウェイがナンパを楽しんでいることが多く、エーライフはどちらかというと、ガチで音楽を楽しんでいる人が多めな印象だ。

ダンスフロアに突入し、リズムに体を乗せて、奇妙なダンスを踊る。

ダンス・ダンス・ダンス

村上春樹もびっくりのステップで、悪い意味で周りの人間を魅了した。


目が合った女の子に声をかけてみる。

「飲まないの?」
「奢ってくれるの?」

「テキーラでいいかな」
「テキーラの気分じゃない」

「カウンターで選ぼうか」
「いいよ」

僕はビールを頼み、彼女は名前も知らない酒を頼む。

「乾杯」

ちびちびとお酒を飲みながら、お互いの声もあまり聞こえず、彼女が千葉に住んでいるということだけがわかった。
埼玉ではないことをやたらと強調していた。

2時半を過ぎ、疲労の限界を迎えたため、ダメ元で聞いてみる。

「俺んところに...来ないか?」

「行かない」

「大丈夫。心配しなくていい。
じゃあこういうのはどうだろう?
君は俺の家に泊まっていい。俺が君の家に泊まるから。
安心だろ?」

「意味わかんない」
「だよね」

説得叶わず、一人でタクシーを捕まえ、帰路についた。


アバクロの香水をつけ、意気揚々と六本木に繰り出したにも関わらず、明確な戦果を上げることはできなかった。
だが、不思議と気分は悪くない。

ツイッターの人達が応援してくれたからだ。

僕が一人で闘っている間、温かい言葉を投げかけてくれた全ての人に感謝したい。
いつか君たちがクラブに行くときはぜひ声をかけてほしい。

僕は再び、アバクロの香水を身に付け、軽やかに六本木に繰り出すだろう。



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