俺の遺言を聴いてほしい

これは俺の遺言だ。

恋愛はプライドを捨てて「数撃ちゃ当たる」を愚直に実践できる人が最強だと思う。




すまん。少しだけ高校時代の話をしたい。

僕は今でこそハゲでデブのキモいおっさんだが、高校時代はそこそこモテていた。
いわゆる

「昔は俺も~」

という話を語りだすサムイおっさんだと思ってほしい。
少しだけ付き合ってくれ。

もちろん、「ミスターなんとか高校」になるほどの実力があったわけではない。
そんな恵まれた容姿があれば、匿名でブログなんてやってない。

僕はとにかく部活に命を賭けていて、部活で目立っていたため、高校の後輩や他校の女子からはやたらとメアドを聞かれたり、告られたりしたというわけだ。


「過去の栄光を誇らしげに語る男と、大学生相手にビジネスを始める社会人は雑魚」

という普遍の法則があるが、例に漏れず僕の過去の栄光の話が続く。

もう少し付き合ってくれ。最後にきっと、いいこと言うから。

僕がこの記事で伝えたいのは、

「ハタから見るとモテて、女に不自由していなそうに見えていても実際はけっこう悩んでるもんだよ」

ということなんだ。

恋愛に全く悩まないモテ男。
漫画の世界にはたくさんいるよな。
でも、現実はそんなに甘くない。

モテ男も絶対悩んでる。
僕には確信がある。

もう少し高校の話を続けよう。
記憶が何者かに捏造されていなければ、僕はたしかにモテていたはずだ。

たくさん女の子に告白された。

部活の大会の後は他校の女の子からメールアドレスを聞かれ、その子経由かはわからないが、知らない人から

「ファンです。友達になってください」

的なメールが届いた。

学校祭では後輩に「写真を撮ってください」と言われ、仲の良い友達と「何人に写真をお願いされるか」で競っていた。

デジカメもなく、グリグリとネジのようなものを回すアナログカメラの時代だ。
1枚の価値が今とはぜんぜん違う。現像しないと写真を確認できない時代。

一緒に撮った写真は貴重だった。

こんなことを言うと、多くの人はこう思うだろう。

ああ、モテてますね。人気がありますね、と。

そう。
人気はあるのだ。たぶん。

でも、自分が好きになった子と付き合えたことは一度もない。

なぜか。

恋愛は、女の子から誘われるものだと考えていたから、自分が本当に恋している相手に告白したり、デートに誘うことができなかったのだ。

デートは女子から誘うもので、待ちの姿勢でいるのが基本だと思っていた。

これは僕だけの話ではない。
ガチイケメンの友達も同じであった。

モテる側にいた人間は「待ち」の姿勢が染み付いてしまっているのだ。
マジで。

撒き餌して魚が食いつくのを待つ漁師かっつーくらい、待ってる。

でもさ、世の中には色んな男がいて、色んな恋愛の形があるわけ。
みんなが「人気者」を好きになるとは限らないわけ。
で、自分が恋してる人に限って、自分に興味なかったりするわけ。
正確には、興味があるか確認することができないというか。

今まで「待つ」のが当たり前だと思っていたモテ男は、誘い方がわからない。
本当に誘いたい人がいても、どうしても間接的なアプローチになる。

臆病なチキン野郎だよ。


周りから「モテる人」というレッテルを貼られちゃってるもんだから、「誘って断られる」のが怖い。
振られたことがほとんどないから、振られるのが怖い。

そんな感じでビビってるうちに、好きな子とはうまくいかず、なんとなく自分に寄ってくる人から選ぶようになる。

しかもさ、相手がめちゃくちゃ惚れてくれている状態から恋愛がスタートするのが当たり前になっているもんだから、自分がめちゃくちゃ恋してしまったらどうしていいのかわからない。

ハンデ戦しか闘ってこなかったんだもん。
ガチンコの殴り合いで勝てるわけがない。

だから、恋のシーソーゲームで相手の方が重いときは余裕だけど、自分が重くなった途端にうまくいかなくなる。
これが思春期のモテ男は無双してそうに見えて、実は悩みが深いというパラドックス。

イケメンだとか、部活のヒーローだとか、面白い話ができるって、才能みたいに見えるかもしれない。
たしかに才能の占める割合が大きいのかもしれない。

でも、恋愛において最強の武器は勇気だ。
そして、最も邪魔なものはプライドだ。

勇気を身に付けるのに才能はいらない。
プライドを捨てることにも才能はいらない。

モテてきた奴にはこれができない。


僕の高校に斎藤という男がいた。
軽薄な男である。

全然カッコよくないが、気になる女には自ら積極的にアプローチしていた。
みんなが引くくらい色んな子に次から次へとアプローチしていた。
アプローチしている子はみんな可愛かった。

そして、たまにボロクソに言われることもあったが、最後にはめちゃくちゃ可愛い彼女を勝ち取っていた。
可愛い彼女を後ろに乗せて自転車をこいでいる斎藤を見て、いつも羨ましいと思っていた。

斎藤はいつだって、転んでは立ち上がり、殴られても倒れず、断られてもめげず、最後まで挑戦をやめなかったのである。

そして、付き合った彼女はいつも、そんなにカッコよくもない斎藤に心酔していて、僕は斎藤が魔法を使っているのかと思った。

斎藤は数々の挑戦の中で、逆境から這い上がる力を身に付けていたのである。

恋愛はプライドを捨てて「数撃ちゃ当たる」を愚直に実践できる人が最強。

僕たちが学ぶべきなのはイケメンの振る舞いではなく、斎藤のファイティングスピリッツなのだ。