男性作者の恋愛漫画は男に都合の良い妄想で、女性作者の恋愛漫画は男に関しては割とリアルな件

男性作者と女性作者では、恋愛に対する見方がまるで異なっているのが面白い。

男性作者は恋愛漫画でありもしない理想を描きたがる傾向がある。

女性作者はあくまでも現実的だ。



* * *


清く正しく美しい童貞だった中学時代。


僕は恋愛漫画を読んで興奮していた。


現代とは異なりネットに接続する環境など誰も持っておらず、

性へのアクセスが厳しく制限されていた時代である。


中学2年の夏。


仲の良い友人5人が集まり、ある重要な計画を実行に移そうとしていた。


なけなしの小遣いを持ち寄り、


自販機でエロ本を買う


計画を立てていたのだ。


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スマホを取り出し、検索するだけで画像を見ることができる現代の若者には想像もできないだろう。


1,000円以上するエロ本を、大人の目を盗みながら、自販機で購入していた時代があったのだ。


「先生が近くにいないこと」を監視する諜報員を複数名配置し、実行係が自販機に金を突っ込み、ボタンを押し、エロ本を手に入れ、ダッシュで逃げる。


日中親がいない生徒の部屋に集まり、順番に回し読みする...というのが、当時エロへの唯一のアクセス方法であった。


そんな厳しく性が制限されていた時代。


大人に怒られることなく、安心かつ安全に性にアクセスできるのが少年漫画だった。


「BOYS BE...」

と呼ばれた少年マガジンの恋愛漫画では、ごくたまにハプニングが起こる。


その回を楽しみに、毎週毎週パンツを下ろして漫画を読んでいた。

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2次元の漫画を読んで「その先の世界」を想像する日々は、動画の世界に生きる今の若者にはわかるまい。


無制限にエロが供給されないあの時代に我々が養ったものは、まだ見ぬ世界への想像力である。


あの頃のキスの仕方も知らない僕が、最も興奮しながら読んでいたのは「アイズ」という漫画だった。


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主人公の「伊織ちゃん」と呼ばれた女が抜群に可愛かったのだ。


まだ女の肌のぬくもりを知らなかった僕は、


「こんな彼女ができたら死んでもいい」


と半ば本気で考えながら、ひたすらに、ただひたすらに妄想の中でデートを重ねた。

まるで自分が恋愛漫画の主人公になったみたいに、来る日も来る日も彼女ができる日を妄想していた。


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女の子と手を繋いだこともなかった僕にとって、恋愛漫画はバイブルだったのだ。


僕を見てくれている神様がいつか奇跡を起こしてくれて、とっても可愛い彼女が目の前に現れるものだと思っていた。

本気で思っていたのに、奇跡なんて起きなかったんだ。





さて、男の作者が描く恋愛漫画には決まりきったパターンがある。

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全く取り柄のない男が、なぜか可愛い女の子にモテまくる


というのがお決まりのパターンで、登場する女はだいたいエロい。

エロくて巨乳である。


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そんなエロい女からの求愛に


困っちゃうな〜。僕には本命がいるのに


とか言いながら、ぬらりくらりと求愛を交わすのが定番パターンである。



アホかと。



現実では、眼鏡の冴えない非モテが可愛い女の子に次から次へとモテまくるなんてファンタジーは起こらない。

男性作者の描く恋愛漫画は、ほぼ100%、モテない作者の妄想か、非モテを喜ばせるための偶像である。


想いがあれば夢は叶う!

というスローガンは、恋愛には当てはまらない。

むしろ興味のない人から向けられる好意ほどキモいものはないのだ。

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現実の世界で女にモテる男は、女性作者の漫画によく描かれている。


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奥様がいるのにフラフラと遊んでいるイケメンとか、


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「なにやってんだ このバカ女」と偉そうにディスるイケメンがモテるのが現実なのである。


女性作者が描くモテ男は実にリアルである。

なよなよとしたヒョロ眼鏡は作中に登場すらしない。


作中に登場しないとはどういうことか?


そういうヒョロ眼鏡は、女性作者の目に移っていなかったというわけである。

だから、描く気にもならないのだ。


女性向けの恋愛漫画では


優しくて誠実な男が無残に振られる


という事件が頻繁に起こる。


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この可哀想な男は「NANA」という漫画の「ノブ」という男だ。


主人公の女に非モテコミットして振られた。


が、僕の記憶では主人公の女は、


次の巻ではノブのことなどほとんど忘れ、別の男との結婚生活を楽しんでいた


的な展開だったような気がしている。


「昔の女がいつまでもいつまでも自分のことを想っていてくれる」


という展開は少年向けの恋愛漫画ではありがちだが、実際には


「次の巻では前の男は綺麗さっぱり忘れている」


くらいが現実に即しているのではないだろうか。


君たち、だいたい次の男ができたら前の彼氏なんて忘れるじゃないか。


とはいえ、ごく稀に主人公の女が男を想い続けるパターンもある。


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これは漫画史上稀に見るクズ、矢野である。


僕の記憶では、この矢野は主人公の女をさんざん引っ張り回した挙句他の女と一緒に暮らし、最後の方でまた主人公の女を引っ掛けに戻ってきた、的な話だった気がしている。


そしてほら、主人公の女に非モテコミットした「竹内」という男。

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この男はたしか、早稲田卒マッキンゼー勤務の超絶エリートにも関わらず、主人公の女に振られ、フリーターの矢野に彼女を奪われている。


僕はつくづく思うのだ。


少年漫画で描かれるような「優しさや誠実さ」だけでは女の子は振り向いてくれないし、

運命のイタズラで突然可愛い女の子に告白されることもない。


スペックがあっても女の子は落とせない。


性格は悪いけど自信があって、いざという時は頼りになって、尊敬できる部分があって、人としてカッコいい。


そういう奴が勝つんだって、僕は少女漫画から学んだ気がするんだ。