モーニングで『ドラゴン桜2』の連載が始まった。
知ってる人も多いと思うが、『ドラゴン桜』は落ちこぼれ高校生が東京大学合格を目指す伝説の受験漫画で、『ドラゴン桜2』はその続編である。
『ドラゴン桜』が始まったのが2003年。
今からなんと、15年も昔の話である。
当時はスマートフォンなど存在しておらず、インターネットに接続する人も一部のギークを除いてほとんど存在しなかった時代だったと記憶している。
当時、廃校寸前だった龍山高校の平均偏差値は30。
破綻処理にやってきた弁護士 桜木建二は、自身のパッとしない人生を切り開くため、龍山高校を破綻させるのではなく再建させることを企む。
桜木の人脈を活かして特別講師を招聘し、独自の受験メソッドを駆使した受験術を叩き込んだ結果、水野直美が偏差値30から見事に東大合格を果たしたのだった。
「1」の方のドラゴン桜は三田紀房先生がご自身で描いていたが、水野直美はこんな感じ。
三田先生には申し訳ないが、正直初期の頃の絵はイマイチだった。
しかし、内容は文句なしに面白く、
「この受験メソッドがもっと早く公開されていれば...」
と悔しがった人は多かったに違いない。
何を隠そう、僕もそう思って悔しがった人間の一人だ。
『ドラゴン桜』は綿密な取材を元に作られており、作中に登場する勉強法はどれも理にかなったものだった(と僕は思う)
受験漫画としては、唯一無二の名作と言えるだろう。
そんなドラゴン桜も連載終了から11年が経ち、時代が大きく変わった。
当時高校生だった水野直美も今ではアラサーの弁護士である。
今回の『ドラゴン桜2』では三田紀房先生は作画は担当せず、漫画の設計図であるネームの作成を担当している。
今回『ドラゴン桜2』の作画は、三田紀房本人は手がけていません。
三田が担当するのは、漫画の設計図であるネームの制作まで。
人物や背景など、漫画の作画作業はすべてデザイン会社に外注しています。
従来の発想にとらわれない三田先生らしいというか、作画を他の人にやらせる漫画家っていうのはなかなかいないだろう。
「原作者」と「作画担当」ではなく、「外注」というスタイルが新しい。
実際読んでみて、最初は違和感があったけど全然アリ。
個人的には三田先生が描くより絵が見やすくて好きだとさえ思えた。
あらすじ
さて、2018年から始まった『ドラゴン桜2』のあらすじを追ってみよう。
龍山高校の再建を見事に成功させた桜木建二は弁護士としても順調に顧客を掴んでいった。
龍山高校から東京大学合格者が10名出たことをきっかけに
「もう大丈夫だろう」
と高校を離れたのが5年前。
それからズルズルと進学実績が伸び悩み、ついに東大合格者がゼロとなった。
龍山高校の実績はそのまま桜木弁護士事務所の評判につながる。
このまま黙っているわけにはいかない!
と再び龍山高校に乗り込み、東大専科を立ち上げるところから物語は始まる。
大学は東大!東大に行け!
考えるな!
動け!
行動するヤツだけが勝つ!
とハッパをかけても、かつてのように突っかかってくる生徒はおらず、生徒たちはどこか白けた雰囲気に。
先生方も
「今の子供は昔とは違う」
とどこか諦めたような様子で生徒たちを見ている。
しかし桜木は、
「子供の気持ちが300人全員なんてありえない」
「子供たちの個性を尊重するなどと口では言いながら、
子供の個性を見極めようとしていないのはお前らだ」
と諦め気味の先生に反論。
「やってみよう」と思い立ち、実際に行動するヤツは集団の中では一人か二人しかいない
と言われて耳が痛いのは高校生だけではないだろう。
桜木の言葉はいつも核心をついている。
さて、そんな桜木の呼びかけに反応して東大専科クラスに訪れたのが早瀬菜緒と天野晃一郎だった。
全然関係ないが、「菜緒」は僕が昔ちょっと付き合っていた子と同じ名前である。
菜緒ちゃんにはぜひ、東大に受かってほしい。
今の時代の勉強はIT活用。「スタディサプリ」で東大を目指せ
東大専科に訪れた二人の志望校は桜木が勝手に決め、早瀬菜緒が東大文一、天野晃一郎が東大理二を目指すことになった。
偏差値50台前半からの挑戦である。
文系・理系と志望学部がバラバラの二人だが、東大専科では「一緒に勉強させる」と桜木は言う。
どういうことか?
東大専科には担任教師はいない。
クラス担任も教室もない。
疑問を抱く生徒に対して、桜木が取り出したのはスマートフォンだった。
今の時代の勉強はITだと。
スタディサプリを使うのがポイントだと桜木は言う。
スタディサプリは全国1000校以上の学校で導入されている受験アプリである。
スタディサプリを使えば一流の予備校講師の授業をいつでもどこでも受けられる。
「カリスマ講師が登場して地獄の特訓」
をイメージしていた生徒に、桜木はこう説く。
「早瀬、天野。
時代はとっくに変わったんだよ」
「さらにこの先、社会は急激に変化していく。
人工知能、ロボット、仮想通貨。
5年10年で今と全く違う世界に変わっていく」
「これからの学習はITだ。
ITの活用が新しい時代の勉強だ」
スタディサプリを運営するリクルートの広告になっている気がしないでもないが、とにかく今の時代はITだ。
教室もいらない。
担任もいらない。
スタディサプリで、最高峰の授業をいつでもどこでも受けられる。
そう考えると、今は本当に時代が変わったなぁと感じる。
高校の先生の質の悪い授業は一切不要になるんじゃないかとさえ思える。
僕は
「同じ教室にこもって、一緒に勉強する」
ことには意味があると思っている。
周りが勉強している姿を見て自分も頑張る効果があるのは間違いない。
なので、受験に仲間がいるのは大切なことだ。
一方で、知識を効率的に仕入れていくことを考えれば、
惰性で授業を進める高校の先生よりも、予備校講師の方が優秀な場合が多いのではないだろうか。
「最高峰の授業をスマホで受けることができる」というのは、受験生にとっては幸せなことだろう。
個人的には、見て学ぶよりも読んで学んだほうが早いと思っているのだが、スタディサプリは
「倍速再生」
ができる。倍速で聴いても話は普通に理解できる。
「倍速再生で早回しで授業を聞き進めることができる」という点でも、対面で授業を受けるよりスタディサプリの方が効率的なように思えた。
僕が高校生だったらスマホを触ってしまったらすぐにツイッターで遊んでしまいそうだが、そこはなんとか強い意志の力でカバーしてほしい。
スタディサプリ使ってみた
そんなに素晴らしいのなら、ということで、早速「スタディサプリ」をインストールして勉強してみた。
カリスマっぽい数学の先生の授業をスマホで受けることができる。
一通り聴いてみたが、僕の高校時代の数学の先生よりも明らかに格上のオーラを放っていた。
僕の高校時代の数学の先生はハゲだったのだ。
勉強時間もアプリ上で管理ができ、自分のペースで先に進むこともできる。
僕が思うに、学校の授業のペースを気にすることなく「先に進める」という点は素晴らしいと思う。
わかっているところは先に進めばいいし、わからないところは繰り返し復習すればいい。
同じ授業をクラス30人に強制する必要は全く無いのだ。
そのあたりはe-learningの素晴らしいところだろう。
教育分野へのITの進出は「エデュテック」とも呼ばれる。
金融分野へのIT進出「フィンテック」の次にくる波として、ビジネス界でも注目されている。
2020年の教育改革を見据え、新たな時代にドラゴン桜は芽吹くのか。
『ドラゴン桜2』の今後の展開が楽しみだ。
- 作者: 三田紀房
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2018/03/23
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