身銭を切って失敗するのが一番の勉強になる

空き時間で転売ビジネスをやってみようと、本を買って勉強していた。
パラパラと読むと、

月間100万円稼げる!
空き時間で誰でもできる!
ガッチリ稼ぐ!

みたいに、何やら景気の良いことばかりが書かれている。

f:id:hideyoshi1537:20190616221601p:plain

この中のある本に、

「Amazonアメリカ(amazon.com)で商品を輸入して、Amazon日本(amazon.co.jp)に並行輸入品として売れば儲かる!」

と書かれていて実際やってみたら、なんと!全然別の住所に荷物が送られてきそうになって、着払いで余計なお金を払うことになった。

最初はアメ公が適当な住所に送りやがったのかと憤ったが、どうやら僕の住所の書き方がおかしかったらしい。

送料込みで5,000円で仕入れて3,3000円で売ることになったので儲けるどころか損をした。

しかしこの損からは、

「amazon.comで輸入するときは住所を正しく入力しなければならない」

という当たり前のことを学んだし、アマゾンから出品するときは色々と手数料がかかって、仕入れの額と販売額だけ見て判断しても負ける、ということも身を持って学んだ。

本にも手数料のことは書いていたが、文字で読むだけだと頭をすり抜けるものが、実際に損すると脳天に突き刺さるものだ。


別の本で、安く売っている家電などをリアルの店舗で購入して、それをアマゾンで売るのがいい、と紹介されていた。
ただの商品の横流しに過ぎないのだが、本の著者は、

「その店で売れていないものを買って、必要な人に流している。流通を担う価値のある仕事だ」

という。

早速やってみた。

ブックオフでダイソンの中古の扇風機が24,000円で売られていたのだ。

24,000円。

簡単に失うことができない大金だが、アマゾンでの販売額は中古で30,000円だった。
これなら送料入れても儲けが出るんじゃないか?

などと考えていたのが甘かったと後で気付く。

箱がなかったのだ。

箱がなく、前の人がその商品をいつ買ったのかもわからない。
そんなものをアマゾンに出品することはできないだろう。

ジモティーあたりに値引きして出そうかと悩んでいるが、おそらく1万円くらいの損失となるだろうと見積もっている。

追い込まれて必死に調べていると、サイズがでかいものを送るときは送料も高くなるため、よほど大きな利幅が見込めない限りは送料や保管料で負けることがわかった。

本では景気よく

「絶対稼げる!」

などと書かれているが、絶対稼げるようになるには経験が必要なのだ。

初心者でも簡単に稼げるわけがない。
経験者からは、初心者でも稼げるくらい簡単そうに見えているだけなのだ。

山王工業の堂本監督は

「『負けたことがある』というのがいつか 大きな財産になる」

と言った。

f:id:hideyoshi1537:20190616223015p:plain

本当にその通りだと思う。
小さくても、負けから学べることは大きい。
自分が負けて腹が立ったり、悔しかったりすることで、本気になれる。

ここで「会社員」をディスるのは筋違いだが、自分の経験を少しだけ語りたい。

自分は会社でも失敗することが何度かあって、背筋が凍るような思いをしたこともあった。
怒られるのは嫌だし、失敗しないように本気になっていたつもりだ。

今回の転売のように身銭を切って、自分で考えて、自分で全て判断してエイヤとお金を投入して失敗することと、
会社で決められたルールの中で上司に判断を仰ぎ、業務全体の一部の作業でミスして失敗することの何が違うのかと考えた。

学びの種類は違うにせよ、自分で考えて自分で行動したときの方が一つの作業あたりの学びは大きい。
「金額」や「動く人の数」ではなく、「裁量」と「当事者意識」が学びを加速させるのだろう。

小さくても、0から100まで自分で考えて自分で何かを作り上げた方が、学びは大きい。

会社の仕事に関しては、自分の裁量が小さく、たいした仕事をしていないから学びが少ないのかもしれないし、実際そうなのだろう。

しかし自分以外を会社員を見ても、どうも会社組織では担当の事業が多少赤字になったとしても、会社員一人ひとりの危機感はそれほど大きくはなっていないように感じている。

責任が広く薄く分散されているので、全体で大きな仕事をしていたとしても、社員一人ひとりが強い当事者意識を持ち続けるのは難しいのだ。失敗しても給料もボーナスも出るのも大きい。

甘えようと思えばどこまでも甘えることができてしまう。
それは“人に優しい”ということでもある。会社の業務一つ一つに手に汗握って勝負をかけていたら、業務に疲弊して精神の安定を保てないだろう。

会社の赤字は家計の火の車とはまた別の話で、それが会社組織の良いところでもあるのだ。


最近、アフィリエイターの方々が

「収益が下がってヤバイ」

と報告しているのを見る機会が増えた。

彼らの「ヤバイ」からは、会社内で聞こえてくる「ヤバイ」とは別次元の悲壮感が感じられた。
生活がかかっているのだ。人間は生活がかかると本気になる。完全に当事者になる。そうじゃないと、死んでしまうからだ。

本を読むだけでは全然実力はつかない

「その知識を身に付けるためには何の本を読めばいいですか」

という質問は、慎重な人が好む問いだ。

本は素晴らしい。先人の知恵が存分に詰まっていて、安価だ。

とはいえ、本を読むだけではマジで全然金にならない。
今回は転売の本について語るが、何においても同じだろう。

「お勉強」と「ビジネス」の間は経験で埋めなければならない。
自分で動く過程で身に付けた「経験」にこそ価値があるのだ。


転売ビジネスの本を読んだ。
FBAというサービスを利用すれば、アマゾンの倉庫を利用できます...だと?
いいじゃん、本の通りにやってみよう...としたら、まず本に「この通りにやれ」と書いてあるスクリーンショットと現在のアマゾンのサイトが全然違った。全く参考にならない。

手探りでサービスの利用の登録ができたので、家にある読まない本をアマゾンで売ってみようと思った。

でも一体どうやって出せばいいのか?転売本に書いてある情報だけでは全然足りない。

ラベルをどこに貼ればいいのか?
本を売るときは「OPP袋」と呼ばれる袋で包むのが定石だが、そんなことは転売本には書いていない。
「本を売る」という個別ケースを扱っているわけではないからだ。

出荷用の段ボールをアマゾンで買ったら、段ボール一個で800円くらいかかった。
個人で段ボールを買うのがこんなに高いものだとは思わなかった。これも本には書いていないことだ。

本を読むのと実際の作業には大きな乖離がある。

そして本で完璧に勉強しようとするよりも、やりながら学ぶ方がずっと早く、そして確実に身に付く。
本はきっかけに過ぎず、実際に色々と試して悩んで調べながら、何かを解決していく過程にこそ学びがあるのだ。

実践しながら学び、失敗して反省し、次に活かす。
実践こそが成長につながるとはこういうことだ。

本を読んで完璧に準備しようとすると、100日経っても10くらいしか学びはない。
一方で、本はサラッと読み流して実践で経験を積みながら学んでいけば、100日経ったら100以上の学びがある。

実際にやってみることが一番大事だ。

実践せずに本だけ読んでわかった気になっても結局何も身に付かないし、
本で読んだだけの知識は自分の物にはならないため、体験として人に話すこともできない。

失敗しながらも折れずに続けていくことが、何事にも通じる上達のコツなのだろう。