飲み過ぎ(急性アルコール中毒)で救急車で運ばれたらどんな気持ちになるのか

この記事は僕の懺悔の記録だ。
飲み過ぎて救急車で運ばれた。急性アルコール中毒だ。

先に費用について答えておくと、病院からの請求額は5,290円だった。
これは自己負担額(3割負担)で5,290円という意味で、保険なしでは17,620円となる。

保険証を持ち歩くことなく病院に搬送された場合は、一時的に実費で負担することになる。費用についての詳細は後述する。

人間失格

この記事はたくさんの人に迷惑をかけ、ただ無駄に汚物を垂れ流した男の告白である。

この恥ずかしい記事を読んで、一人でも

  • お酒の飲み過ぎはやめよう
  • お酒はほどほどにしよう

と思ってくれる人が出てきてくれることを願う。

お酒を飲むと気分が高揚し、楽しくなる。
しかし飲み過ぎると意識が朦朧とし、具合が悪くなり、最悪の場合、死に至る。

周りの人にも迷惑をかけてしまう。
飲み過ぎはやめよう。

このブログの読者が僕と同じ失敗を犯さないことを心から祈っている。

救急車で運ばれるまでの記憶

恥の多い生涯を送ってきました。

そんな恥だらけの僕の人生でもトップテン、いやベストワンに輝いたのが

「飲み過ぎて救急車に運ばれた」

経験である。
つまり、今回の失敗だ。

それも学生時代の若気の至りではなく、いい年したおっさんになった今、初めて救急車に乗ったのだ。
何を言ってるのかわからねーと思うが、僕も何があったのかわからなかった。

今になって冷静に思い返すと、あの日の僕は浮かれていたのかもしれない。
久しぶりに会った友人を含む3人で鳥貴族でビールを飲み、店を出る頃にはかなり酔っていた。

気持ちよくほろ酔い気分で帰ればいいものを、なぜかカラオケが目に入り、せっかくだからもう少し楽しい時間を過ごしたいと思った。


「カラオケに行きましょう」

と提案したのは僕だった。

この提案は天国の入り口であり、また地獄の始まりでもあった。

あの時の僕は想像もしていなかったのだ。
その3時間後、吐瀉物を垂れ流しながら救急車で運ばれることになるなんて。


カラオケでは気持ちよく歌っていた。
少なくとも僕は楽しかった。

運ばれてきたビールを見て、学生時代を思い出した。

「俺は飲める。今日の俺はなんだか違う気がする。俺ならできる!」

根拠不明の自信がとめどなく湧き上がってきて、なぜだか僕は、誰に言われるでもなくビールを一気に飲んだ。

学生時代の思い出がフラッシュバックして、

「あの頃は楽しかったなあ」

などと懐かしい気分になった。


それが大きな間違いだった。


「あの頃の自分はもっと飲めたはず」は30歳を過ぎると通用しなくなる。

もうあの頃の自分ではないのだ。

飲んでから倒れるまでは早かった。
楽しく飲んでいたはずなのに、いつの間にか景色が回転し、横になっていた。

高校時代に柔道の授業で強敵に投げられたときみたいだった。


なんだこれは?


気付かぬうちに横になっている。
なぜ、いつ、どうやって横になっているのかはわからないが、どうやら僕は立てなくなったようだ。

「立てなくなった」ことを自覚してからボンヤリと部屋の景色を眺めた。

横になっている間も血中のアルコール濃度は上がり続けている。

これはまずい。実にまずい。

起き上がろうとするも、身体が動かない。


た、立てない...。


なぜだ。一体何があったんだ。

起き上がれない自分を起こそうとしてくれている友人がいた。

「そろそろ終電だよ」

と言われ、

「す、すみません...」

と謝るも、身体は全く動かない。

わかるのだ。

身体を縦にしたら死んでしまうと。

終電が近くなっていたので、その友人には一人分のお金を置いて先に帰ってもらった。
カラオケでしばらく横になって、回復してから歩いて帰ろうと思っていた。

が、どうしても立てない。
立ち上がろうとしても、前後左右がよくわからず、グワングワンと世界が回ってしまう。

地球が回ってる。

あのときの脳を揺らされるような感覚を今でも覚えている。
屈強な男に頭蓋骨を鷲掴みにされて、両手で振り回されるような感覚だ。


「なんでこんなことに...」

と悔やむも、脳に霞がかかったように思考がハッキリとしない。


1時間が経った頃だろうか。

突然、カラオケ屋の店員が部屋に現れ、

「帰ってください」

と大声で言われた。

床は吐瀉物で汚れている。


「もうちょっと...もうちょっとだけ、横にさせてください」

と懇願するも、

「できません。いま帰らないなら救急車を呼びます」

と拒否されてしまった。

当然だ。店員からすると、カラオケ内で人が死んでしまったら困るのだ。死ぬなら病院で、と願うのは普通のことだろう。

しかしどうしても立てない。

横になっていればいつか回復しそうな気もしたが、少なくともあと数時間は立てそうにない。

どうしたらいいのだ。
縦になったらおそらく死んでしまうが、店に残ることはできない。


人は本当に苦しい状態に陥ったときは、どんなものにでもすがりたくなるものだ。
僕は「救急車」という言葉が「蜘蛛の糸」のように聞こえた。

病院に連れて行ってもらえれば、この地獄から抜け出せる。

意識が朦朧とする中で「これで少なくとも死なずに済みそうだ」と判断した。


「わ、わかりました。救急車をお願いします」

と頼んだ。

それから何分経ったかわからない。
カラオケのソファにずっと横になっていると、何やら人の気配がして、

「大丈夫ですかー?」

みたいなことを聞かれた気がする。

そんな呼びかけに対し僕は


プゥ


と屁をこくくらいしかできなかった。

「大丈夫ですかー?わかりますか〜?」


プゥ


と。声が出ないので屁で意思を伝えるくらいしかできない。

身体が動かず、頭も回らず、声も出ない状況の中で、屁だけが自由自在であった。


次の瞬間、


「せーの」


と身体を持ち上げられたのを覚えている。

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どうやら店の外に運ばれているようだが、目をずっと開けたままでいることはできない。
意識が朦朧としている。

ひどい有様だ。俺は一体何をやっているんだ。

この時点で僕は、

  • 店の人
  • 介護してくれた友人
  • 救急隊員

に迷惑をかけたことになる。

最悪だ。
こんなことになるなんて思ってなかった。

おそらく飲み過ぎた人のほとんどは、

「まさか自分がこんなに泥酔と思わなかった」

と考えているのではないだろうか。


最大の原因は、一気飲みである。

一気飲みは絶対にやめよう。
後悔先立たずとはよく言ったものだが、アル中になったら自力で立ち上がることもできない。

一気飲みはやめよう。どんなときでもだ。

一気飲みは必要ない

僕は社会人になってからも、心の奥で学生時代の飲み会を理想としていた節がある。
お酒を流し込み、仲間たちと大騒ぎする飲み会の思い出を美化していたのか、いつも

「あの時みたいに飲みたいな」

と思っていた。

でもノスタルジックな気持ちにとらわれるのは、これで終わりだ。
無駄に一気飲みして笑い合えたのは、あの時あの瞬間だけだったのだ。


飲み過ぎは本当にやめよう。
アルコールで楽しくなるのはいい。

でも飲み過ぎてしまうと、本当に色んな人に迷惑をかける。

ドラクエみたいに死んでしまってから

「おお、しんでしまうとはなさけない」

では済まされない。

アル中は「情けない」どころではない。恥ずかしいのだ。


大学のサークルには

「ドクターゲロ」

と呼ばれる、汚物処理を専門とする友人がいた。

しかし社会人はそこまで人に甘くない。
飲み過ぎて動けない阿呆に構うほどみんな暇ではないのだ。

飲み過ぎは本当にやめよう。
せっかくの楽しい思い出が、文字通りのゲロまみれになってしまう。

翌日も具合の悪さを引きずり、貴重な休みが無駄になってしまうかもしれない。
平日だと仕事が手につかなくなるだろう。

飲み過ぎは絶対にダメだ。
というか、アルコール自体避けるべきだ。

oreno-yuigon.hatenablog.com

カラオケから病院に行くまでの記憶

救急車で運ばれる前に、カラオケの店員に財布を渡し、カラオケ料+迷惑料を取ってもらった。
迷惑料自体は6,000円程度だったと記憶している。部屋の料金に謎の項目が加算されていた。

その後横になっていたら、救急隊員のような方が部屋に入ってきて、僕を運んでいったのは前述した通りだ。

この時期の記憶が一番曖昧だったと思う。
断片的な記憶しかない。

この間「記憶がない」というよりは、「起きていない」といった方が正しいだろう。

担架に乗せられてカラオケから外に出た瞬間のムワッとした空気は覚えている。
そこから病院に運ばれるまではおそらく完全に寝ていた。


たまたま家の近くの病院に運ばれた。


やや推測ではあるが、0時30分〜1時くらいに病院に運ばれたはずだ。

蛍光灯の白い光が見えて、少しだけ身体を「くの字」に傾けたベッドに寝かされていた。


「点滴はいらなそうだね」

と看護師らしき人が話していたのが聞こえた。


「ゔぇっ」

と何かを吐くとき、看護師らしき人が袋を持ってきてくれた。

僕に話しかけ、財布を取り出し、お茶を買ってきてくれた。

こういうときはポカリスウェットや経口補水液の方が良いと聞いたことがあるのだが、看護師が何を思ってお茶を買ってきたのかはわからない。

おそらく僕の姿を見て呆れ果て、何も考える気にならなかったのだろう。

そう感じてしまうくらい、病院の人は冷たかった。

アルコール中毒で救急搬送される人間はクズである。

少なくとも病院の人はそう考えているはずだ。
僕自身もそう思う。本当に申し訳ない。

生まれてきてすみません、と謝りたかった。
でも声が出ない。


2時30分くらいに看護師らしき人が大きな声で僕を叩き起こした。

「起きなさい!起きて帰りなさい!
病院には他に運ばれてくる人もいるから、酔っぱらいを見ている暇はないんだよ!」

と言われた。

周りを見ても誰も患者はいなかったが、とにかく早く帰したかったのだろうと思った。
命に別状がなければ、粗大ごみを病院に置いておく理由はないのだ。

よろよろと立ち上がりながら、会計の窓口に行った。

「保険証はありますか?」

「保険証は家にあります...」

まさか病院に行くとは思っていなかったので、保険証は家に置いてきたのだ。

「では、3万円になります」

と意味不明の額をふっかけられた。
これは今、冷静に考えると明らかにおかしい。

手元にある「診療明細書」「外来診療費領収書」をどこを見ても、3万円の根拠はないのだ。

財布に3万円はないことを窓口の男が察すると、「では今、いくらなら払えますか?」と聞かれた。

それで1万円を「預り金」として渡し、後日、保険証を持ってくることで料金の差分を返してもらうことになった。

読者の方は

「飲み会に行くときは万が一のために必ず保険証を持ち歩くこと」

を教訓にしてほしい。

急性アルコール中毒の処置費用

費用は下記の通りになっている。

  • 初・再診料・・・7,620円
  • 医学管理料・・・10,000円


医学管理料とは治療の計画を立てて必要な指導が行われた場合の料金だという。
具体的な項目は以下のようになっている。点数1点につき10円で計算する。

  • 診察料(初診料+深夜加算(初診))・・・762点
  • 指導料①(地域連携夜間・休日診察料)・・・200点
  • 指導料②(夜間休日救急搬送医学管理料+救急搬送看護体制加算)・・・800点

合計1,762点で17,620円。
自己負担3割で5,290円となる。

軽く調べたところ、点滴注射の点数が97点だそうなので、点滴を打った場合は上記に加算されて970円(自己負担3割だと290円)プラスになりそうだ。

費用負担は保険が効いて思ったよりも高くなかったが、それよりも人に多大なる迷惑をかけてしまうことで、精神的にキツイものがある。

この記事を最後まで読んでくれた方はぜひ、僕の惨めな経験から何かを感じ取り、

「自分は絶対に飲み過ぎないぞ」

と決意を新たにしてほしい。

飲み過ぎは楽しかった思い出さえもゲロまみれにしてしまう。
お酒はほどほどにして、「俺様の美技に酔いな」くらいのつもりで飲み会に行けばいいのだ。

アルコールで酔うのではなく、自分に酔って楽しくなろう。
アルコールで酔わせるのではなく、自分の魅力に酔わせよう。