男のための薬品の副作用で火照る顔を冷ましながら記事を書いている。
心なしか、頭が痛い。
何かを手に入れるには、何かを失わなければいけないのだろうか。
血管が膨れ上がるような感覚を覚えている。
頭が膨張しているかのようだ。早く眠ってしまいたい。
しかし、同士に向けたレポートを書き上げるまでは眠れない。
これは俺の遺言だ。
待ち合わせに現れた彼女は、初めて声をかけたときよりもいくぶんキレイな化粧をしていた。
「お疲れ!
あれ?前会ったときよりかわいくなったんじゃね?
これはまさか・・・気合入れて化粧してきた?」
いつも通りの出会い頭の挨拶を交わす。
いつも通りの返事がくる。
「何言ってるのw」
女の子は、どことなく嬉しそうだ。
アポの店は歩いて7分くらいの位置にあった。
春一番が体に染みる。
少し気取った店を予約した俺は、メニューを見て驚いた。
ビールが一杯1,300円もしたのだ。
高い店に行ったことは何度もあるが、ただのコップ一杯のビールが1,300円は初めてかもしれない。
食事中、まだ敬語が取れない彼女は、どことなくよそよそしげだ。
まだ警戒が解けていないのだろうか。
例のごとく、ふんふんと話を聞いていた。
8割は彼女が話していた。
残り2割は自分の話を挟み込んだ。
ナンパでオープンするときや、クラブで声をかける時は、仕事は「ニート」とか「ビッグイシューの販売」みたいな話をするが、アポのときは比較的真面目に話す。
「どんな仕事をしているの?」
は、あらゆるところで聞かれる質問なので、それの答えは事前に用意しておくべきだ。
そして、真面目に話す場合は、
「エンジニアです」
というよりも、
「未来の携帯電話をデザインしてる」
のように、前向きな未来に向かっているように話したほうがいい。
これはThe Gaem 30daysに載っているテクニックの一つだ。
金融機関で働いているなら、
「お金を流通させて、日本の経済を回す仕事」
「日本の未来を作る企業に投資する仕事」
みたいに言えばいいし、人材系の会社で働いているなら、
「未来を担う人材を見つけて、紹介する仕事」
みたいに言えばいい。
ちなみに、商社の人で
・ひたすら海老を輸入してる
みたいな仕事をしている人がいたけど、それをそのまま言ってしまうと、「カッパエビセン君」になりかねない。
物は言いようなので、自分がよく伝わる言い方を考えておこう。
食事が終わり、彼女がトイレに行っている間に会計を支払った。
「代わりにアイス奢って」
リーマンナンパマスターのルーティーンを差し込む。
定番のセリフだ。
店を出て、外を歩くときに手をつないだ。
「これはなんですかぁ」
「見たらわかるだろ、手をつないでるんだよ」
「恋人つなぎじゃないですかぁ」
「恋人になるかもしれないつなぎだよ」
ハンドテストからは絶対に逃げてはならない。
家に連れて来る前に必ずハンドテストを通過する必要がある。
そうじゃないと、家に連れてきてから急な展開でギラつくことになるからだ。
手をつなぎながら歩き、そのまま自宅に向かった。
アイスは買わなかった。
ハンドテストに合格したなら、わざわざコンビニを挟む必要はない。
むしろ、あの明るい現実じみた白い蛍光灯は、夢を覚ましてしまう恐れがある。
マンションの前に着き、そのまま、
「入ろ」
と入る。
「え、これってマンションだよね」
「いや、ワインバーだから」
「ちょっと〜」
と言いながらも、嫌そうな素振りはない。
何の抵抗もなく、ついてきた。
ここから、部屋でのやりとりが始まるーーー
と、ここまで書いて、顔が熱くて限界に近づいてきた。
キリがいいので、続きはまた明日。
タイトルの話にたどりついてないけど。
それにしても、ボーッとする。なんだこれ。
男のお薬はやべえ。
今までは半分で飲んでたんだけど、一粒飲むのは危険なのかな。
これからは4分の1にして飲みます。