ペアーズチャレンジの記事です。
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デートの予定が入っていない日は安心した。
一週間の激務を乗り切った週末のようだった。
ペアーズを始めると次から次へと予定入ってしまい、スケジュール調整が辛くなる。
誰と会うかを慎重に選んだつもりでも全然選びきれておらず、色んな人と会ったところで関係が発展することはなかった。
性格の悪い面接官みたいだった。
たいしたモテるわけでもないのに、まだ他にいるかもしれない、という希望が捨てきれない。
それゆえに、出会った人に決めることができない。
出会い系を始めた多くの男の人が陥る罠だと思う。
心の中では誰か一人に落ち着きたいと願っていても、
次から次へと降ってくるチャンスを見逃すことができない。
誠実であろうとする婚活は、茨の道だ。
何も考えずにフラフラと引っ掛けて遊び歩いていた方が楽だったろう。
それだったら、迷うことなんてないから。
でも、もうそういう遊びはしないって決めたんだ。
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仕事の都合で待ち合わせに1時間遅れてしまった。
リスケしようかと提案したけれど、待っていてくれるということだった。
申し訳ないなと思いながら、アポに向かう。
待ち合わせ場所にいたのは、ギャルのような子だった。
写真の方が可愛かったのが少しだけ残念だった。
笑顔で待ち合わせ。
反応はよさそうだ。遅れて行ったのに、気にする素振りも見せなかった。
見た目はギャルでキツそうだったけど、とてもいい子なんだろうなと思った。
店に入って、軽くご飯を食べながら話をする。
最初はお互いが探り合うような空気だったが、信頼を築いてからはどんどん自分の話をしてくれた。
デートの理想的な会話の配分は、
「相手が7割、自分が3割」
である。
自分は基本的に話しすぎない方がいい。
じっくり話を聞いて、適切なツッコミを入れるべきだ。
良い流れだった。
勝ちパターンに乗っているようにも感じた。
この子は、彼氏ができたらひたすら尽くしてしまうようで、「別れたら飯が喉を通らなくなる」と言っていた。
この話を聞いて、鬼畜のように遊んでいた大学時代に泣かせてしまったたくさんの女の子を思い出した。
わざわざ紙芝居を作って持ってきてくれて、
「私と付き合ったらどれだけあなたを幸せにするか」
をプレゼンしてくれた子。
毎日毎日「大好き」と泣きながら電話をくれた子。
弁当を作ってくれた子。
色んな子がいて、みんな本当にいい子だった。
カスは僕だけだった。
あんなこと、大人になった今、二度と繰り返してはいけない。
この子には絶対に手を出してはいけないと思った。
ただセックスしたいという理由だけでこの子と肌を重ねると、後に深い傷を残してしまう可能性がある。
僕はもういい大人だ。
そんな後味の悪い遊び方をしてはいけない。
そんなことを頭の片隅で考えながら、デート中はひたすら楽しませることに専念した。
ご飯を食べ終えて、駅まで送っていったあと、彼女からこんなメールがきた。
本当に、すっごく楽しくて、時間があっという間でした!
またお話できたら嬉しいです(・∀・)
近くに行くときは連絡しますね!
優しい。
なんていい子なんだろう。
「誠実な婚活」におけるゴールは、身体の関係を持つことだけではないのだ。
楽しい時間を過ごし、また会いたいと思ってもらって、お別れする。
自分の心に正直になって、「もう一度会いたい」と思ったときだけ、またデートに誘うようにする。
それ以外に余計な遊びをしてはいけない。
このときは結果として「デートはしない」と決意したんだけど、いい友達にはなれたんじゃないかと思う。
少なくとも、傷つけたり、嫌な思いをさせることはなかった。
それは僕にとって、大きな成長だった。
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