マイナンバー制度とは?通知カードと個人番号カードの違い



2015年10月からマイナンバーの通知が始まります。
簡易書留で自宅にマイナンバーの通知カードが送られてくるのです。

いつかの遠い未来の話ではなく、もう来月の話です。

僕は郵便受けに届いた書類はバシバシ捨ててしまうのですが、マイナンバーは公的書類の扱いのため、絶対捨ててはいけません。

正直言うと、マイナンバーとか遠い未来の他人事と思ってたんですよ。

でもこないだ本屋に行ったらこれですよ。


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俺は感じたね、マイナンバーの息吹を。

乗るしかない!このビッグウェーブに!


というわけで、勉強になりそうな本を4冊ほど買ってきました!


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これからの未来は、日本に住む誰もがマイナンバーと無縁ではいられなくなる。

マイナンバーについては、絶対知っておかなきゃならない知識だと思うんです。

で、せっかく色々調べたので、読者の方が5分くらいでマイナンバーの概要がわかるように、知っておくとよさそうな情報をまとめてみました!

僕みたいに、マイナンバーのこと全然わかってなかった人の役に立てればいいな、と思ってます。


ちなみに、マイナンバーのマスコットキャラクターはマイナちゃんといいます。

マイナちゃんのロゴを紹介したいのですが、内閣府はなぜかロゴの使用に厳しい制限を設けています。

使用の申請は、下記使用規約中の使用申請書を郵送にて当室までお送りください。
1~2週間ほどで使用承認書およびロゴマークを電子媒体にてお送りいたします。

http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/logo.html

インターネットの時代にマスコットの利用すら制限し、許可制にしたことで、2019年現在、「マイナちゃん」について触れる人は誰ひとりとしていません。

日本人に「マイナちゃんって知ってる?」と聞いても10人中9人は「知らない」と答えるでしょう。
くまモンの成功から学べなかったのでしょうか。

マイナンバー制度とは

さて、気を取り直してマイナンバーについて見ていきましょう。

マイナンバー制度の正式名称は「社会保障・税番号制度」といいます。

教科書的な説明では、以下のように説明されます。

「住民一人ひとりにそれぞれの番号(マイナンバー)を割り当てて、さまざまなサービスを提供したり、複数の機関に存在する個人の情報が同一人の情報であるという確認を行ったりするための社会基盤(インフラ)」

小難しいことを言ってますが、

「マイナンバーで個人の情報を一つの番号で一元管理し、事務手続きを簡素にして、効率化しましょう。手続き漏れを防ぎましょう」

ということです。

このマイナンバー制度は2015年10月から始まります。

始まり方は?まず通知カードが簡易書留で郵送されてきます。

マイナンバーの通知カードは、住民登録している住所に送付されます。

一人暮らししている学生など、実家の住民票を移していない人もいるかと思いますが、そういう人は住民票の住所(おそらく実家)に送付されるので注意が必要です。

引っ越したばかりで住民票を移していない人も要注意。元の住所に送られてしまいます。

しかも通知カードは「転送不要」で送られるため、郵便局で転送届を出しても転送されてきません。

以下、引用します。

「郵便局に転送届を出しているから、大丈夫」というのは間違いです。

通知カードは「転送不要」で送付されるため、郵便局へ転送届を出していても、転送されません。

「マイナンバーの通知カード」 受け取る準備をしっかり

サボって住民票を現住所にしていない人、引っ越したばかりの人は急いで手続きを済ませましょう。

上にも書きましたが、簡易書留で送られるため、受け取る時は印鑑やサインが必要になります。
郵便局に取りに行く時は、身分証明書が必要です。


通知カードのイメージは茨城県のつくば市のサイトがわかりやすかったので、画像引用します。

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http://www.city.tsukuba.ibaraki.jp/14211/14650/017782.html


通知カードを受け取ったら以下の二点を確認しましょう。

  • 名前や住所が正しく記載されていること
  • 家族分漏れ無く送付されていること


通知カードを捨ててしまった場合、再発行は有料になるので注意が必要です。

コンビニのバイトだろうが、外資系企業に勤めていようが、会社に勤めて給料をもらうためには、会社にマイナンバーを届け出る必要があるようです。今年の10月以降、マイナンバーの収集が始まるかもしれません。

また、有価証券などの取引口座を保つ場合も、金融機関へマイナンバーの届け出が必要になるようです。


その後、2016年(平成28年)1月以降がマイナンバーの本番です。

個人番号カードというカードが希望者に配布されます。

「希望者に配布」となると、どうやって希望すればいいかという話になりますが、2015年10月から送られる通知カードと一緒に個人番号カード交付申請書なるものが送られてきます。

これを捨てずに、役所に返送すればOKです。

QRコードを読み取ることで、ネット経由での申請もできます。

個人番号カード交付申請書に記載のQRコードをスマートフォンから読み取ることで、交付申請を行うことができます。
また、パソコンでも申請用WEBサイトから交付申請が可能です。

http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/faq/faq3.html

スマホを持ってる人はこっちの方が楽そうですね。

マイナンバー交付申請書の再発行

2019年現在、マイナンバーの交付申請書なんてほとんどの人が捨ててしまっているかと思います。
僕も引っ越しの時になくしました。

マイナンバーの交付申請書をなくした方は、市役所や区役所のホームページを調べてみてください。
ほとんどの場合、ホームページからダウンロード可能かと思います。

本人確認書類を持って、区役所の戸籍課の窓口に行けばその場で受け取ることもできます。

個人番号カードのイメージ

個人番号カードのイメージもつくば市のサイトがわかりやすいです。

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http://www.city.tsukuba.ibaraki.jp/14211/14650/017782.html


2016年の1月以降は申請した希望者が、上のような個人番号カードを持つことになります。

子供が生まれたら個人番号はどうなるのか

新しく生まれた子供にも個人番号(マイナンバー)は振られます。
誕生後、区役所に出生届けを出します。
そのときに住民票コードや個人番号が振られます。

出生届を提出した一ヶ月後に通知カードが自宅に届くようです。

通知カードと個人番号カードの違い

通知カードはあくまで個人番号を伝えるためのものです。
会社や金融機関で個人番号を提示する時は、通知カードとともに免許証やパスポートなどの身分証明書の提示が必要になります。

一方で、個人番号カードには顔写真が記載されるため、それだけで身分証明書として機能します。
顔写真は写真を郵送するか、ネット経由で登録もできるようです。


2017年1月からは「マイナポータル」の運用がスタートします。
自分の所得、年金情報を確認でき、マイナポータル上で確定申告が可能になるかも検討されているそうです。

国税庁のサイトを見ると、マイナポータルの使い方について検討しまくっていることがわかります。

また、国税庁では、これまで、マイナポータル(※)に、
①自己の過去の税務申告や、②確定申告を行う際に参考となる情報などを掲載することについて検討をしてまいりましたが、
現在内閣官房を中心に、年金支給額や社会保険料の納付証明、生命保険等の保険料証明などの情報を掲載することについて検討がなされていることから、これらのオンラインサービスとe-Taxとの連携を図るなどして、同様のサービスの提供が可能かどうかの検討を行うこととしています。

「リッチマン、プアウーマン」という小栗旬が出ているドラマがあったんですが、そのドラマで出てくるパーソナルファイルのようなものかもしれません。

マイナポータルの実態

2019年時点でマイナポータルを使っている人はほとんどいません。
話題にする人もいません。
多額の予算をかけてゴミを作り上げた総務省は誰か責任を取っているのでしょうか。

マイナンバーカードの普及率は2018年で11%。
マイナンバーカードを取得してできることは、身分の証明の他にコンビニで住民票を手に入れることくらいです。

そもそもログインにAndroid端末が必要だったり、あるいはICカードリーダーを購入する必要があったりで、使わせる気があるとは思えません。よって、マイナポータルへのリンクも貼りません。

あまりにもお粗末なシステムであると断じていいでしょう。

ちなみにNTTデータのホームページでマイナポータルの紹介があるのですが、こちらにはシステム構築を担当された方のお名前等も紹介されています。

彼らをバッシングしてもどうしようもない話ですが、本当にこのシステムを作って国民の生活が便利になると思っていたのか、よく振り返ってほしいです。

現状、マイナンバー制度は国民を不幸にしかしていません。
何一つ便利になっていない。わざわざコピーして糊付けしたりと、不便なことばかりが増えているのです。

マイナンバー制度のメリット

メリットがなければわざわざマイナンバーカードを作りはしません。
人は綺麗事ではなく、利害で動くからです。

2019年5月3日の日経新聞15面 経済教室コーナーに「マイナンバーカード 現状と課題」というコラムが載っています。

マイナンバー制度の主な効果は社会保障給付の申請や届出など行政手続き時の国民負担の軽減、行政側の事務処理の迅速化によるコスト削減、きめ細やかな社会保障給付である。
18年10月現在で、添付書類を削減できた行政手続きは1221にのぼっている。

などと書かれていますが、国民である僕の立場からするとマイナンバー制度のせいでいちいちマイナンバー通知カードをコピーしてノリで貼り付けなければいけなかったり、いちいち通知カードを引っ張り出して個人番号を書類に書いたりで、手間は増えたものの何か便利になった実感は全くありません。

マイナンバーカードを作って僕たちが得するのは

「コンビニで住民票を取得できること」

です。

でも住民票って年に1回必要になるかならないかですよね?
別にコンビニで取得できなくてもいいですわ。

それよりも、ネットで無数に発生する「登録作業」とか、「本人確認作業」を簡単にできるようにしてほしいです。
セキュリティの問題で無理なのはわかっていますが、それくらいのメリットがないと、いちいちマイナンバーカードを作る気にはなれません。

マイナンバーカードは国民を幸せにはしていません。

銀行口座とマイナンバーが紐付けられる見通し

教科書的には、「マイナンバーは社会保障・税・災害対策の分野で使われる」とされていますが、政府は早速、運用開始前にも関わらず、マイナンバー制度拡大のための法改正案を閣議決定し、国会に提出しました。
www.itmedia.co.jp


要は、マイナンバーを社会保障・税・災害以外にも使いましょうということです。
たとえば、金融機関における新規口座開設の際、申請用紙に個人番号の記載が求められるようになります。

麻生財務相は2021年をメドに義務化を目指しており、将来的には金融機関の口座とマイナンバーが紐付けられる可能性があります。


マイナンバーと預金口座の紐付けについては諸説入り乱れていますが、5年後の2021年には強制になる見込みです。

一部のトンデモサイトでは、政府による預金封鎖やらなんやら、怪しげな煽りや陰謀論が謳われてますが、普通のサラリーマンにはほとんど影響ありません。

なぜなら、サラリーマンの収入は基本的にガラス張りになっており、既に収入のほとんどは把握されているからです。

少し話がそれますが、税務署は金融機関への調査権があるため、「誰それのすべての預金口座についてすべて提出するよう」に要請することができます。

「マイナンバー制度が開始するから預金を把握される」わけではありません。

マイナンバーによって、預金情報を調査する手間が大幅に省けるため、副業をしている人や複数の会社から給料をもらっている人は、2021年(平成33年)以降、所得が把握されやすくなります。

マイナンバーと預金口座の紐付けによって困るのは、収入源が複数に分散している富裕層や、わざと経費を多く払って税金を払っていない個人経営者、水商売の人などと言われています。

真面目に働くサラリーマンにとっては悪いことはない制度のようです。

余談ですが、税務の世界には「十五三一(とうごうさんぴん)」という俗語があるそうです。

サラリーマンは所得を10割把握されているが、自営業者は5割しか把握されていない。
農業は3割で、政治家に至っては1割しか把握されていない、という意味です。
(「マイナンバーで損する人、得する人」P.73より)

マイナンバーの安全性は?

125万件の個人情報が漏洩した日本年金機構。
正直、セキュリティインシデントの心配は拭えません。

表向きには、以下のような仕組みにするため、安全だと言っています。

  • マイナンバーのシステムネットワークは外部に対して閉じている専用線を使うから安全
  • 個人情報は各行政機関が分散して保管するため、一度に芋づる式に漏れることはない
  • 個人情報は直接ネットワークでやり取りせず、番号を置き換えた「符号」のやり取りを行う

政府のシステムは堅牢に作られていて、むしろセキュリティを重視しすぎたせいで使えなくなっているきらいもあるのですが、
そもそもマイナンバーは企業も集めるものなので、情報セキュリティ対策が万全ではない企業側からマイナンバーが漏れる可能性はありそうです。

マイナンバーを紛失したり、盗まれたらどうする?

マイナンバーは原則、一度割り当てられた番号は、一生涯変更することができません。
ただし、盗難・紛失・スキミングなどにあい、不正利用される可能性がある場合は、市区町村に申し出れば、変更することが可能です。

マイナンバーが他人に知られたら個人情報がダダ漏れになるようなイメージがありますが、今のところはマイナンバーから個人情報を引き出すには、その他の身分証明書で本人確認を行う必要があるようです。

八王子市のホームページに詳しく書いていました(2019年時点ではページ削除されています)

マイナンバーを使って社会保障や税などの手続きを行う際には、個人番号カードや運転免許証などの顔写真付きの身分証明書等により本人確認を厳格に行うことが法律でそれぞれの関係機関に義務付けられています。言い換えれば、万が一マイナンバーが漏えいした場合であっても、マイナンバーだけで手続きを行うことはできませんので、それだけでは悪用されません。
マイナンバーが漏えいした場合には、本人の請求などにより、マイナンバーを変更することが可能です。

「クレジットカードの番号と同じか、それくらい大事なものとして考えておけばいい」とどこかの本に書いてありました。

マイナンバーの疑問点

Q.マイナンバーで犯罪の前科もバレるの?

A.
バレない。病歴、買い物履歴、Webの閲覧履歴もバレない。
所得は、然るべき人には把握される。
税務署、市役所の担当者、経理担当者はわかるようになっている。
会社の同僚にはバレない。


Q.マイナンバーを導入している国は?

A.
アメリカ、ドイツ、スウェーデン、オーストリア、フランス、デンマーク、韓国、シンガポールなど。


Q.他人のマイナンバーを管理してもいい?

A.
ダメ。同意があってもダメ。個人番号の収集は一切認められていない。
個人番号利用等に必要な範囲でのみ、収集が可能となる。
友達とフザケて見せ合うのも絶対ダメ。


Q.番号を見られたらヤバイ?

A.
今のところ、見られただけでは問題ない。
しかし、将来的にはクレジットカードなどと紐づく可能性もあり、見せないに越したことはない。
厳重に管理するべき。
なお、他人のマイナンバーを悪用した場合は、厳しい罰則が科される。


マイナンバーを勉強するための本

どうなるどうするマイナンバーはじまります―マイナンバーの理解と業務インパクトへの対応

大変教科書的な本。
インターネットに書いてある情報をまとめたような感じです。
綺麗なまとめサイトと思って読めばよし。15分くらいで読めます。
親会社が富士通で、マイナンバー系のお仕事も受注していると思われ、際どい記述は一切ない。
マイナンバーのメリットを強調している。


元国税調査官がズバリ教える マイナンバーで損する人、得する人

税金の面からマイナンバーを説明している本。
マイナンバーは真面目な一般サラリーマンが損するものではなく、所得を把握しづらい富裕層や、水商売、飲食店に狙いを定めたものだとしている。
サラリーマンの副業も把握されやすくなるとしている。所得(収入 - 経費)は把握しておきましょう。

巻末のQ&Aの出来が秀逸。


1時間でわかる図解マイナンバー制度早わかり

「1時間でわかる」と書いてあるが、たぶん1時間もかからない。
30分で大まかな概要が掴める本。
マイナンバーのメリットが強調されている。
デメリットの記述はない。


週刊ダイヤモンド 2015年 7/18 号 [雑誌]
よくまとまった雑誌。
一つ一つのトピックの選定は面白いが、やや内容が薄い部分もある。
この雑誌で概要を掴み、ネットで調べながら理解を深めるのが良いと思う。