書評|MB「最速でおしゃれに見せる方法」



ファッションバイヤーのMB氏の「最速でおしゃれに見せる方法」を読みました。

この本は、ファッションを論理で語る本です。

MB氏は、

「おしゃれにはセンスではなくロジックが必要で、人ぞれぞれでありながらも、みんなに『あの人はおしゃれだなあ』と思わせる着こなしのルールはある」

と結論付けていて、本では一貫して、「なぜこの着こなしがオシャレに見えるのか」を説明しています。

カッコイイ服装には、「カッコよく見える理由」があるということです。

つまりオシャレの「理由」を知ることができれば、「センス」というものに頼ることなく、誰でもオシャレになれます。

「最速でおしゃれに見せる方法」は、ファッションの原則を、感覚的にではなく、論理的に説明するための教科書である、とMB氏は言います。


本自体も装飾がカッコイイです。


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「ドレス」と「カジュアル」のバランスを取るべし

MB氏は、日本の私服はアメカジの影響を受けすぎていると言います。

アメカジというのは、ジーンズにチェックのシャツみたいな、比較的ラフで動きやすい恰好のことを言います。


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ミリタリーブルゾン、デニム、スニーカーなどはもともと街着のために作られたわけではありません。
ミリタリーブルゾンは軍隊の着用品で、デニムはワークウェア。スニーカーはスポーツウェアです。

街着として作られていない服を街着として「着こなす」には、ミックスさせることが前提となっています。
で、ミックスしても「カジュアル」に寄りすぎてしまうため、全身アメカジをオシャレに見せるのは難しいというわけです。


さて、「ドレス」と「カジュアル」とはなんでしょうか。

オシャレに見える着こなしの大原則は、「ドレス」と「カジュアル」のバランスをうまく取ることです。

「ドレス」とは、ビジネスや冠婚葬祭で着るスーツのイメージ。
「カジュアル」とは、家でくつろぐ服装のことで、スウェットパンツやTシャツ、スニーカーなどを指します。


街着は「ドレス」と「カジュアル」の中間に位置するもので、カッチリし過ぎず、またそれでいてルーズに寄り過ぎず、「緊張感」と「余裕」を併せ持ったスタイルが、オシャレな「街着」です。


それで、日本人が着こなす上で大切なのは、「ドレス:カジュアル」のバランスを「7:3」で取ることだとMB氏は言います。

なぜかというと、日本人は欧米人に比べると体型も顔つきも子供っぽいからです。

体型も未成熟に見える胴長短足が多く、顔つきも童顔です。

日本人が、筋骨隆々の外国人セレブのファッションをそのまま真似ても野暮ったく見えるのは、体型の問題でもあります。


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日本人は生まれつき「カジュアル」寄りの体型、顔つきを持っているため、「若干ドレス寄り」の服装が推奨されるわけです。その黄金比が「ドレス:カジュアル」を「7:3」にすることだとMB氏はいいます。


ドレス寄りのアイテムの一例として、以下のようなアイテムがあります。

  • 黒スキニーデニム
  • レザーシューズ
  • エスパドリーユ
  • テーラードジャケット
  • 白シャツ
  • ちょい開きクルーネック

これらは一例ですが、本ではアイテムの活用方法や、具体的なブランド名などが紹介されています。
そして、それらを組み合わせた着こなしがスナップとして載せられています。


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「最速でオシャレに見せる方法」p.178


オシャレに見えるシルエットは「I」「A」「Y」

身体のラインをキレイに見せる「基本のシルエット」があります。
この記述を読んだ時、「なるほど」と唸りました。

高校の時から、私服がオシャレだなーと思う奴はたいてい、「I」か「A」か「Y」の原則に従っていたからです。
逆に言うと、上下ともにダボダボは何やってもダサいということですね。ビーボーイ以外は。

「I」ラインシルエット

「I」ラインシルエットというのは、上下ともに細いシルエットのことです。
トップスもボトムスも細いアイテムを使ったコーディネートで、もっともドレス感の強いシルエットです。

絵にするとこんな感じです。


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「A」ラインシルエット

トップスが細めで、ボトムスがゆるめのアイテムを使ったコーディネートです。
ゆったりとしたパンツに細身のTシャツを合わせるようなスタイルです。

絵にするとこんな感じになります。


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「Y」ラインシルエット

「Y」ラインシルエットは、トップスがゆるめ、ボトムスが細めのアイテムを使ったコーディネートです。
アルファベットの「Y」のように、上がゆるく、下が細い形になります。

絵にするとこんな感じです。


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「I」「A」「Y」を意識してコーディネートすることで、バランスのいいコーディネートになります。

そのうち、「A」と「Y」はメリハリをつけなければいけないため、中途半端になりやすい。
上の絵もそうですが、僕自身の画力に限界があるため、メリハリがよくわかりません(美術の成績は「3」)


つまり、上のピッコロとベジータはメリハリがなく中途半端なファッションになってしまっています。これはダメです。


だから、一番手っ取り早いのは、まず「I」ラインのファッションを作ることだとMB氏は言います。
「I」ラインファッションとは、上下ともに細身のファッションです。

また、「I」はドレス寄りのファッションが作りやすいことも推奨される理由となります。

カラー

最後に、カラーについて。
繰り返しになりますが、メンズファッションにおいて「ドレスとカジュアルの黄金率は7:3」と言われています。

四色以上を使ったチカチカする服を着ると、インパクトは大きく「カジュアル」に寄ってしまいます。

原則として、「モノトーン+一色」に抑え、「彩度の高い赤や青、緑は使ったとしても面積を抑える」のがバランスが良い服装と言えます。



Lサイズで700円のシンプルな白Tシャツです。

柄物は避け、単色かつシンプルなアイテムで攻めるのがいいと思います。

おしゃれは先端に宿る

細身のパンツを買うときに注意すべきポイントがあります。
それは、パンツに「クッション」がないことです。

スキニーデニムを買ったとき、どこかルーズな印象を受けたら、先端をチェックしてください。
パンツの裾の部分です。

パンツの先端のシワを「クッション」といいますが、裾のシワシワが野暮ったさの原因となります。

洋服の印象は、「全体」よりも「先端」が重要だとMB氏は言います。
先端が細いか太いかで全体の印象が決まるということです。

絵で見るとこんな感じです。


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裾が細くてキレイならば、全体も細く見えます。

ちなみに本では、先端をキレイに見せるための「ロールアップ」や「袖まくり」のテクニックなども紹介されてます。

MBさんについて

MBさんは月間100万PVを誇るプロブロガーでもあります。
運営する「KnowerMag」には様々なファッション情報が溢れています。

www.neqwsnet-japan.info


有料メルマガも配信されているようです。
僕は初回無料ということもあり、試しに登録してみました。

http://www.mag2.com/m/0001622754.html
http://ch.nicovideo.jp/mbch


今まで感覚的に捉えていた「ファッション」というものを、論理的に説明されることで、「再現可能な理論」として学習することができます。

「ファッションをロジックで語る」というMBさんの試みは、おしゃれを考える上で参考になるものが多く、「なぜオシャレに見えるのか」という理屈を理解できれば、応用も可能になります。

ファッションは、センスや個性こそが大事だと言われることはよくあります。
しかし、多くの人は「オシャレ」と言われたいからこそファッション雑誌を読み、高い服を着るのであって、原則を外した個性はむしろ不要であるともいえます。

まずは原則を知ること。理屈を知ること。
そして、"オシャレの原則に沿ったアイテム"の中から自分の感性に合うものをチョイスすること。

その「チョイス」が、ファッションにおける「外さない個性」なんじゃないかと思っています。


最速でおしゃれに見せる方法

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