英語話せないけど、六本木の外人ばかりいるバー「R2 SUPPER CLUB」に友達作りに行ってみた。



戸愚呂家の弟が言っていた。

お前に足りないものは危機感だと。

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マサチューセッツ工科大学教授、石井裕先生は言っていた。

「突出するために必要なのは、自分への誇りであり、それを潰されたときの屈辱感であり、それをバネにして生まれる飢餓感です」

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僕には危機感が足りなかった。
屈辱感も。飢餓感も。



ツイッターで出会った人に、英語もスペイン語もペラペラと話せるすごい人がいた。

そんな彼に英語がどうやったらできるようになるのかを聞いてみると、

「英語漬けの生活を無理やり作る」

ことがやっぱり重要らしい。

そうか、そうだよな。

机の上でぬるい気分で教科書読んでたって、英語話せるようにならないよな。

必要に迫られて、使わないと。
言語は道具だ。
道具は使ってみないと、使えるようにはならない。

僕に必要なのは、リアルの体験だった。

コミュニケーションを取るための英語。
目で見て、肌で触れて、耳で聴く。

リアルで英語に触れないと、いつまで経っても英語なんて使えるようにはならない。

今の僕は、英語なんて全然話せないし、外人は怖い。

それでも飛び込むしかないんだ。



僕は一人立ち上がり、六本木へと向かった。
何があるかはわからないけど、きっとそこに求めていたものがあると信じて。


* * *

六本木は土砂降りの雨だった。
いつもは人でごった返す六本木の交差点も、雨のせいか人はあまりいなかった。


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駅を出て六本木ミッドタウン方向へと歩く。
すれ違う女の子がみんな可愛い。

彼女たちは花だ。

良い香りを発して、甘い蜜で男を引き寄せる。

昔ケツメイシが

「No Lady No Life」

なんて歌っていたけれど、本当思うよ君たちがいなきゃって。
こんな想いをすることはないのに。


世の中にはこんなにたくさんの美女がいるのに、なぜ美女は僕を愛してくれないのか。

雨の日の六本木を呪い、歩を進める。


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六本木の交差点から歩いて3分くらいの道を左に曲がる。


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写真を撮っていると後ろからクラクションを鳴らされた。
ヤクザみたいな奴が乗っていて怖かったが、無視した。

生きるのを楽しむコツは二つだけ。
クラクションを鳴らさないことと、細かいことを気にしないこと、である。


この小道を入ったあたりから急に外人が多くなる。
おそらく六本木の外人街といったところなのだろう。


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ここが今回の目的の店「R2 SUPPER CLUB(アールツーサパークラブ)」である。
調べた情報によると、この店が「六本木で外人が集まるバー」としては最もポピュラーな店らしい。

外から覗くと、外国人たちが楽しそうに話している。
ここに飛び込んで、彼らと友達になるんだ。

勇気を出して、一歩を踏み出した。
まだ触れたことのないリアルな英語を求めて。


* * *


ドアを開けるや否や、すぐに洗礼を浴びることになった。

スタッフが英語で話してくるのである。

たどたどしい英語で話す。

あ、I want to drink beer alone.
(「俺は一人だが、ここでビールが飲みたいんだ。案内してくれるか?坊や」

と言ってるつもり)


困惑とも同情とも取れない表情を浮かべ、黒人スタッフがバーに誘導してくれた。


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(何か飲みたいものはあるのか?)

というような英語で話しかけられたので、

Beer please.
(「ビールをくれないか?今日という日に似合うような、とびっきりに冷えたやつをね」

と言ってるつもり)

と答えた。

黒人バーテンダーは

「ワンターブ」

と言って、指を一本差し出してきた。

どうやら「1000円よこせ」という意味らしい。

僕はBeer以外の酒の名前を知らない。
一度もメニューを見ることもなく、僕はビールを頼むことになった。


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うまい!

ビールを飲みながら周りを眺めた。


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薄暗い雰囲気の店で、周りの人たちは皆、英語で話している。
ふと横を見ると、バーカウンターで一人で本を読んでいる外人がいた。

顔がスティーブ・ジョブズにそっくりだった。
何やら難しそうな英語の本を読んでいた。

未来に思いを馳せているのだろうか。

彼と、話したい。
僕は心の底からそう思った。

この想いを伝えたい。
想いはきっと、伝わる。

僕が君、というかジョブズを尊敬しているように、君も僕のことをきっと好きになってくれるはずだ。

何より、君の顔はスティーブ・ジョブズで、僕のスマホはiPhoneだ。
わかり合えないはずがない。

すごく話したいのに、言葉が出てこない。

なんて言えばいいんだ?

僕はツイッターから勇気をもらおうとした。



僕が迷っているうちに、明らかに日本人みたいな顔をした男がカウンターに現れた。
本を読んでいるスティーブに笑顔を向ける。

寂しそうなスティーブは微笑み返していた。
二人の会話が始まった。

何を話しているのか聞き取れないが、スティーブは持っている本のことを説明し始めている。

ちょっと待てくれよスティーブ。
その話は俺が聞きたかったのに。

横でずっと話を聞いていた。
なんでこの男は、日本人みたいな顔をしているくせに、こんなにペラペラと英語が話せるんだ。

悔しい...!
六本木にいる男はこんな奴ばかりなのだろうか。

俺はこんなところで一人無言でビールを飲んで、何をやってるんだ。


しばらく落ち込んでいたら、スティーブがこちらを見て笑ってくれた。

ここだ...!
逆転のチャンスは今しかない...!
ずっと頭の中で考えてた一文を、伝えるんだ。


は、How often do you come here?
(「やあスティーブ!俺はここに来たのは初めてなんだけど、君はここの常連なのかい?」

と言ったつもり)



スティーブは困惑した表情を浮かべ、


Ah...なんとかかんとか、first time!


と答えた。
どうやらスティーブも初めてのようだった。

その後スティーブはペラペラと早口で喋ってくれた。


全く聴き取れない!

お前は一体何を言ったいるんだ。


振り返ると、僕は少し驕っていたのかもしれない。

センター試験の英語は9割は取れた。

それから英語にしばらく触れず、今から5年くらい前に受けたTOEICは730点だった。
日本人としては標準くらいの位置にいると思っていた。

でもこのときこの空間において、俺の英語力は間違いなく幼稚園児以下だった。


ごめんよスティーブ。

俺はもっと話したいことがあったんだ。
伝えたい事があったんだ。

日本人の女って綺麗だろ?とか。

日本の美味しい店とか、
六本木以外にも楽しい店、たくさんあるぜ、とか、

これから一緒にクラブに行かないか?
もっと話したいことがあるんだよ、スティーブ。


彼はペラペラと話し、最後の一言だけ聞き取れた。


Good night.


彼はそう笑って、店を出て行った。

僕は最後に彼にこう言った。

Thank you.
(「ありがとうスティーブ。君と話せて本当に良かった。俺たちきっと、友達になれるよな。また会おうぜ」

と言ったつもり)


こんな俺と話してくれて、ありがとう。
俺は君のこと、忘れないよ。


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その後一人でチビチビとビールを飲んでいると、日本人のお姉さん2人が隣の席で飲み始めた。

悪いな、今日の俺は日本人には興味が無いんだ

別に話しかけられたわけでもないのに独り言を言った。

彼女たちも外人と話しにきたようで、Japaneseである俺には全く興味を示さなかった。
というか、店員に案内されたのが俺の横の席で、とても残念そうだった。

しかし、ここで何も話しかけないのはもったいない。
俺は新しいchallengeのために来ているのだから。


僕はこの店では英語しか話さないと決めてきたから、こう言った。

へ、Hello!
(「やあ、パーティの帰りかい?」

と言ったつもり)


なぜか、爆笑された。


「お兄さん日本人でしょ!?」


なんだ貴様。
貴様も日本人だろうが!Japaneseを馬鹿にするなよ!?

と思ったけれど、それを英語で伝えることはできないので諦めた。


I am Japanese.
(「僕は日本人だよ。振る舞いが優雅だろう?これが日本人のいいところさ」

と言ったつもり)



それから掟を破って少し日本語で話したところ、彼女の夫が外人のようで、夫と話しながら自分で勉強したことで、英語が話せるようになったということだった。

「英語話したいんなら、ガールフレンドを作りなさいよ」

「台湾の子、紹介しようか?」

僕より年上のお姉さんは、MUSEにいるような女と違って、とても優しい。
でも僕はその紹介を受けるわけにはいかなかった。

自分の力で友達を作るって決めていたから。


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別れ際に、外人の友達を作るなら「モータウンハウス」「Feria」に行くといいよ、と教えてもらった。

R2のようなまったりしたバーではなく、周りが外人で溢れていて、強制的に英語を話せる環境らしい。

その話を聞いて、僕は一つ目標を作った。

半年に一回、必ず六本木の外人が集まるバーに顔を出す。

そして六本木の全てのバーで、友達を作る。


彼女たちに最後にこう伝えた。

I will be a Inazo Nitobe.
(「俺は日本の架け橋になりたい。
日本に来ている外人たちに、日本の良さを教えてやりたいんだ。
もっと日本を好きになってもらいたいんだ。

そして最後に『来てくれてありがとう』って伝えたい。

太平洋の架け橋になった、新渡戸稲造みたいにね」

と言ったつもり)



今まで危機感も飢餓感も屈辱感もなかったけれど、実際に自分のダメさを知って、今やっと一歩目を踏み出せたよ。


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速読英単語 1必修編 改訂第6版

速読英単語 1必修編 改訂第6版


「R2 SUPPER CLUB」
http://tabelog.com/tokyo/A1307/A130701/13135514/


「モータウンハウス」
http://tabelog.com/tokyo/A1307/A130701/13014268/


「FERIA TOKYO」
http://lounge-feria.jp/