「まだ賃貸で消耗してるの?」
僕くらいの歳になると、周りの友人達がマンションを購入したり、一軒家を建てる人が増えてきます。
僕が少なくない家賃を毎月払っていることを話すと、決まって冒頭のセリフを言われるのです。
「毎月毎月、家賃を払ってるなんてもったいない!」
「家を買えば、少ない支払いでもっと広くていい部屋に住めるのに!」
武蔵小杉のタワーマンションを購入した友達は言いました。
「家賃を払っても、何も残らないよ」
大崎のタワーマンションを買った友達も続きます。
「家賃を払い終われば、この部屋は自分のものになるんだ」
そんな話を聞きながら、今日も僕は家賃を払い続けているのです。
結局、持ち家と賃貸ではどっちが得なのでしょうか?
本当にローンを組んで、マイホームを購入したほうが得なのでしょうか?
ここで改めて考えてみようと思います。
なぜマイホームは得するように見えるのか?
結論から言うと、マイホームは単なるレバレッジをかけた不動産投資なので、別に得しているわけではありません。
「マイホームを買えば家賃がいらなくなる」
という話は何度も何度も聞かされますが、
でもここで考えたいのは、
「家賃がいらなくなる」
のと同じ効果は、マイホームを購入しなくても実現可能な点です。
たとえば、1,000万円の資産を持つ個人がいて、家賃5万円を支払っているとします。
彼が持つ1,000万の資産を株式に投資して、年間6%の配当を受け取った場合、年間60万のお金が入ってきます。
家賃は実質タダということです。
バランスシートの左側の預金を
株式にする。
この資産の「株式」の部分を「不動産」で運用するのがマイホームです。
この1000万円のマイホームには、家賃5万円分の価値があります。
マイホームと賃貸の違いは、資産を(家賃分の価値のある)不動産で運用するか、株式で運用するかの違いということです。
でも、これだと友達が言っていた
「家を買えば、少ない支払いでもっと広くていい部屋に住めるのに!」
の答えにはなりません。
なぜ友人は広い家に住めるのでしょうか?
それは、マイホームはレバレッジをかけているからです。
たとえば、5,000万円のマイホームを買うときは、自己資金の1,000万に加え、4,000万の借金をします。
つまり、レバレッジをガンガン効かせて5,000万の不動産を運用していることになるため、資産が大きくなり、その分広い家に住めるようになるということです。
広い家とは、高い家賃を払う価値がある不動産、ということです(不動産の価値は、いくら家賃を取れるかで決まります)
これを資産運用として捉えてみましょう。
たとえば、5,000万円借金して株式に投資して6%の配当金をもらった場合、年間300万の配当が手に入ります。
これを12で割ると月々25万円で、港区のタワーマンションでも50平米~60平米の景色の良い部屋に住めるレベルです。
つまり、繰り返しになりますが、マイホームはあくまでレバレッジをかけた不動産投資で、株式投資などと同じ資産運用だということです。
マイホームは土地が値上がりしたらものすごく儲かるし、土地が値下がりしたときの損をする。
最後に、
「自分で住むための家は投資ではない」
という人もいるかもしれません。
ですが、1990年代の日本では、「マイホームはあくまで投資である」ということを思い知らされるサラリーマンが続出しました。
1990年代は、土地バブルが崩壊し、不動産価格の暴落とともに長期の不況に陥った時代です。
この時期は、リストラなどで住宅ローンが払えなくなったサラリーマンが続出しました。
このとき、ローンの貸し手である銀行はどうしたか?
マイホームを売却して、借金を返すように催促したのです。
3,000万の家を買うのに3,000万借金した。
ローンが払えなくなって家を売却することになったけど、その家には1,000万円の価値しか無かった。
家もなくなり、手元に残ったのは2,000万の借金だった。
自分で住むための家ではありましたが、投資に失敗した結果、2,000万の負債が残ったのです。
一方、賃貸は不動産投資によるリスクとは無縁です。
なぜなら、全く不動産を持たなくていいからです。
津波で家が流されたり地盤が液状化しても、何も問題ありません。
不都合があれば賃貸契約を解除すればいいだけだからです。
ここまで色々と考えてきた結果ですが、あまりお金がなく、リスク耐性の低い個人はやはり、賃貸契約を結んだほうが合理的だ、という結論になりそうです。
「老後に住む家がないじゃないか!」
という批判があるかもしれませんが、最も合理的に資産運用を考えるなら、以下のように運用するのが得策だと思います。
・若いうちになるべく安いマンションに住み、余ったお金を株式などに広く分散投資する
・資本市場の成長に賭けて、複利で資産を増やしていく
・老後は投資収益で家賃を払うか、貯めたお金で一括で(=借金せずに)不動産を購入する
逆に言うと、老後に何も資産を残さず、ひたすら家賃を払って飲み食いでお金を食い潰してしまった場合は、将来相当悲惨なことになりそうです。
次は普通のサラリーマンに最適な分散投資について考えてみます。
*参考文献
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- 作者: 藤沢数希
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