前回の記事に引き続き、若手ツイッタラーとの飲み会中に話した内容について思うところを書いてみる。
前回の記事→新卒社会人はどこに住むべきか問題を考える。
* 【話題2】ブログとマネタイズの話 *
「ブログのマネタイズはどう考えてますか?」のような話をした記憶がある。
マネタイズについては、僕は正直全然儲かってないので偉そうに言えることは何もない。
とはいえ、長いことインターネットを見てきて、なんとなく思うところはあるので、それについて書いてみる。
「ブログで稼ぐ方法」は、大きく分けて3つのルートがある。
・ファンを相手にするか
・検索を相手にするか
・プラットフォームを作るか
である。
個人がマネタイズを考えるなら、上2つが選択肢になる場合が多いだろう。
「ファンを相手にする」ルートは
(1)SNS経由でつながったファンに
・有料メルマガ
・note
・有料サロン
を販売/提供するという投げ銭系ファンビジネス。
(2)Youtubeのチャンネル登録のように、ファンの増加が直接収益につながるコンテンツビジネス
の2種類で、最近よく見るのは(1)のファンに有料で情報を提供するビジネスだ。
(2)のコンテンツビジネスは今やレッドオーシャンとなっており、差別化できるレベルのコンテンツを制作するには特殊スキルが必要で、難易度は高い。
昔からコンテンツの発信を続けて、多くのファンを獲得した人がさらに強くなっていく仕組みでもあるので、ポッと出の新規参入者が大儲けするのはちょっと難しいように思う。
(1)の投げ銭系ファンビジネスはいわゆる情報商材系のネタが多く、
・金持ちになれる方法
・モテる方法
・痩せる方法
・幸せな結婚を勝ち取る方法
・英語が話せるようになる方法
が多い。個人の体験を物語として提供するパターンもある。
このようなファン向けの情報提供ビジネスは、基本的に競争がない。
というのも、ファンは
「その人が好きだから」
「その人の興味があるから」
「その人を信じているから」
お金を払うのであって、情報自体の質を他と比べて吟味しているわけではない。
そもそも、作家と編集者が多大な労力をかけて制作した書籍が1,000円で買える時代に、個人が2時間程度で書いたnoteに書籍以上の価値を求めるのは無理があるだろう。
ファン向けのビジネスは、個人がインターネット上で築き上げてきた「信用」を「お金」に変えていくビジネスだと言える。
逆に言うと、信用されていれば、情報発信をお金につなげることは簡単だ。
LINE役員の田端信太郎さんが以前、大前研一さんの「企業参謀」を紹介したとき、1300人もの人がAmazonアフィリエイト経由で書籍を購入したという。
すご!RT @tabbata: 大前研一の最高傑作であろう、「企業参謀」。昨日の日替わりセール紹介のツイートから、1300冊以上も売れた。1300人もの方が、こんな名著を知るきっかけを…https://t.co/Wpr33GVLuA pic.twitter.com/SGc8DCGjOt
— ごとう (@gomotaro) 2017年2月13日
Amazonアフィリエイトはリンクをクリックして商品が購入された場合に成果報酬が支払われるというもので、一般書籍なら価格の3%、Kindleなら価格の8%が報酬となる。
田端さんの場合は、ファンが多いだけではなく、ファンのロイヤリティ(忠誠心)が高く、実際の行動につながりやすい土壌があったものと思われる。
最近はフォロワーを買うツイッタラーなどもいるようだが、ただフォロワーが多いだけではダメで、
「この人が言ってるんだから価値があるんだろう」
とファンがその人を信じて行動するかどうかが大切なのである。
「検索を相手にする」ビジネスについて考えてみる。
「検索を相手にする」というのはつまるところ、Google検索で上位に表示させて、情報を求めてサイトを訪れた人に物を売る、というビジネスである。ファンに愛されるよりも、Googleの愛を勝ち取ることが物を言う世界だ。
Googleで「ウォーターサーバ おすすめ」などと検索すると、大量の比較サイトが表示されると思う。
これらのページにはウォーターサーバの情報が所狭しと並べられていて、リンクをクリックしたらウォーターサーバの申込み画面に飛ぶことができる。
で、このウェブページ経由でウォーターサーバの申込みが入ったら、サイト制作者にアフィリエイト報酬が支払われる仕組みになっている。
他にも「オンライン英会話 おすすめ」とか「ビットコイン取引所 比較」とか、「クレジットカード」とか、様々なキーワードでアフィリエイター達がしのぎを削っているのが実情だ。
いわゆる「ビッグキーワード」と呼ばれる「儲かるキーワード」は競争が激しく、検索順位の上位を巡って熾烈な競争を繰り広げているらしい。
検索を相手にするビジネスの良いところは、敵があまり生まれないことである。
サイトに訪れる人は情報を求めてくるのであって、誰が作ったかは気にしない。
だから、SNSで悪口を書かれることも少ないし、2ちゃんに晒される可能性も低い。
また、ファンビジネスと違って検索が相手なので、
一度ちゃんとしたものを作っておけば、継続的に人が入ってくる
というのは大きいだろう。
逆にファンビジネスは一度発信を始めたら、発信を続けないとファンは離れてしまう。
インターネット上の情報ほど忘れ去られやすいものはないのだ。
余談だが、検索を相手にする場合はタイトルを扇情的にしたり、大袈裟な表現を使って
「見に来た人を引っ掛ける」
テクニックが多く使われる。
たとえばこの記事のタイトルを扇情的にするのであれば
【ブロガー必見】SNSでマネタイズを大成功させる5つの方法を限定公開!
みたいに、「ちょっとクリックしてみようかな」と思わせる風に書き直すと思う。
クリックされやすくなれば、Googleの検索順位も上位に表示されやすい。
個人的にはこういう煽ったタイトルは食傷気味であまり好きではないのだが。
これまで色々書いてきたように、もし今後マネタイズを考えるのであれば、自分がどの方向性でビジネスをやりたいのかを最初に考えておくのがいいと思う。
インターネットには
ヘイト値
というものがあり、お金に関する話題は悪意を持たれやすい。
露骨なお金儲けに走ると、悪口を言われる可能性もあり、
自分がどこまでのヘイト値を許容できるか
をよくよく考える必要がある。
ファンを相手にビジネスする場合でも、ゴミ情報ばかり発信していたら見切られてしまうだろう。
SNSの情報発信でもCustomer Satisfactionを考えることは重要なのだ。
結局のところ、お金が絡むにしても絡まないにしても、常に
「発信した情報が誰かの役に立つだろうか?」
「発信した情報が誰かを楽しくさせることができるだろうか?」
を意識することが一番だと僕は思うし、むしろそれが全てなんじゃないか、とさえ思っている。
・役に立つか
・面白いか
を自分基準で考えて発信を続けていれば、共感してくれる人がファンになってくれるかもしれないし、Googleが愛してくれるかもしれない。
最後に「Googleが掲げる10の事実」のうち、僕が好きな2つの理念を紹介したい。
・Focus on the user and all else will follow.(ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる)
ユーザーのことだけを考えていれば、お金もきっと、後からついてくる。
・You can make money without doing evil.(邪悪になるな)
楽して儲けようとすれば色んな方法が思いつくかもしれないけれど、邪悪になってはいけない。人を騙したり、煽ったり、引っ掛けたりしなくてもお金は稼げるはずだ。