最近、フォロワー数の多いツイッターアカウントが凍結される事例が相次いでいます。
凍結されてしまうと復活は厳しいようで、タイムラインからはたくさんの悲鳴が聞こえてきます。
氷河期とも呼べるツイッター大凍結時代。
「凍結されてからがツイッター本番」
という名言も生まれました。
凍結されてからが本番だよねTwitter
— メカ節子(2台目) (@mekasetsuko) 2017年9月20日
凍結の原因は色々あるようですが、最近の凍結騒ぎの多くは「ユーザーからの報告」が契機となっているようです。
凍結祭りの発端は「#絵師を凍結させる方法」が多くの人に広まったことです。
【絵師を凍結させる方法】
— 東方アンチ絵師凍結・通報用垢 (@Tohoantitoketu) 2017年8月5日
4000~5000アカウントでブロック・スパム報告を行えば、問答無用で凍結に追い込めますが、それでは手間ががかります。そこで、「@ユーザー名」で「殺す」「死ね」などの脅迫Tweetを見つけ、「脅迫行為」で通報しましょう。多くの場合1~2垢で凍結可能です。
ツイッターのアルゴリズムの裏を突くようなやり方が広まった結果、未曾有のアルファ垢凍結祭りが始まりました。
ツイッターのアカウントが凍結されたからといって死ぬわけではありませんが、凍結されると困ってしまう人もたくさんいます。
ツイッターを仕事の連絡ツールとして活用している人にとっては死活問題でしょう。
ちなみに上の文章には使った「死」という文字が2つほど入っていますが、これだけでも凍結対象になりかねないのが今のツイッターです。
@TwitterJP
— よー清水❄️凍結されました❄️ (@yoshimizu629) 2017年9月28日
凍結されたよー清水(@you629)と申します。今回の凍結は脅迫によるもと回答いただきましたが、全く納得できません。私はフリーランスで、宣伝などにも影響が出ているため直接ご説明をお願いしたいです。29日の15:00に貴社のオフィスに向かわせいただきます。 pic.twitter.com/isnlytShL2
有名ソフトウェアエンジニアのmizchiさんがツイッターの中の人と話した感じだと、「どうやら雑なフィルタで凍結判断をしてるらしい」という反応だったようです。
あと、中の人と話したことといえば、どうせなんか機械学習でフィルタ作って運用してたんでしょう?って言ったら、答えはなかったけど苦笑いしてました
— 復活 (@mizchi) 2017年9月28日
凍結解除ウィザードで示された当該ツイートです。これはマジで文字列の単純な部分一致で弾いてるでしょ pic.twitter.com/52iWBZJhf3
— 明示的な写真を見たいと思っていますか? (@KOBA789) 2017年9月28日
機械的に凍結する説と、担当者が適当に凍結させる説が色々ありますが、真相は中の人じゃないとわかりません。
ここに記録してあるように、https://t.co/Flq6Ro2Zys ツイッターの永久凍結って、違反の機械的判断でも永久でもなくて、担当者がその場の感情で恣意的にテキトーにやってます。このときなんて、メールで叱ったら30分後に「永久凍結だ!😤」って言ってきよったが、翌日解除。
— 野間易通 (@nomacrac) 2017年9月19日
ぜんぜんわからない
— 憲之助【邊個係余文楽?】 (@kogaken1) 2017年9月29日
俺たちは雰囲気で凍結をやっている
TwitterJP、大量の異議申請メールを物理的に読むのは不可能でも、特定のアカウントが送ったメールを確認するとか検索はできると思ったけど、そもそも本社のサポートセンターとは切り離されてるっぽいんですよね…
— よー清水❄️凍結されました❄️ (@yoshimizu629) 2017年9月29日
ちなみに僕と同じ目的でTwitterJPに来た方がいて、一緒に説明を受けました。その人は10回程メールを送っているようでしたが、どんな内容のメールか、そもそも届いてることをJPの方は知らなかったので、TwitterJPは異議申請メールを読んでないと思いました。
— よー清水❄️凍結されました❄️ (@yoshimizu629) 2017年9月29日
ツイッターに出回っている情報から判断すると、ツイッター日本支社の人には凍結判断のロジックを組む権限がないことは間違いないようです。
記事の下の方で凍結解除の方法についてまとめていますが、まずは利用者側のリテラシーとして利用規約を読み直してみましょう。
とはいえ、いちいち規約を読むのが面倒な人もいると思うので、僕なりに要約してみました。
ツイッター利用規約
ツイッターには利用規約があります。
こちらは「ツイッターをこれから利用する人」に向けたものです。
このページに書かれた「サービス利用規約(米国以外に居住の場合)」の内容を要約して紹介します。
下に書く「Twitterルール」に比べてそれほど重要なことは書かれていないので、ざっと流し読みで大丈夫です。
- 「ツイッターを利用できる人」は国の法律でツイッターが禁止されていない人で、この規約をちゃんと守れる人です。
- ツイッターに投稿された情報はプライバシーポリシーに従って、利用することがあります。プライバシーポリシーでは、個人情報に関係ない部分を使って「話題のツイート」を集計したり、広告主への報告を行います。パートナーシップを通じて、他の会社に個人情報を伝えることもあります。
- サービスの利用とコンテンツに対しては、ユーザーが責任を持ってください。ツイッターを使っていたら、不快、有害、不正確、不適切なコンテンツに触れる可能性があることを理解していてくださいね。
- 全てのコンテンツはコンテンツ作成者が責任を負ってください。著作権や商標の侵害、なりすましを行っているコンテンツは削除する可能性があります。
- 自身のコンテンツの著作権が侵害された場合は「著作権侵害フォーム」から連絡してください。
- ユーザーはコンテンツが世界に公開されることを了承してくださいね。
- スクレイピングしたり、ツイッターサーバに負荷を与えることは許しませんよ。
- 強力なパスワードを設定して、アカウントの安全は自分で守ってくださいね。
- アカウントを削除しても30日間は再登録できますよ。
まぁ、ありがちな利用規約ですよね。
重要なのは次です。
Twitter利用ルール
Twitterには利用規約の他に「Twitterルール」というものがあります。
上の利用規約はツイッターを使い始める人のためのものですが、こちらはツイッターを利用している人のためのものです。
「Twitterルール」に違反するとアカウント凍結される可能性があるので、よくよく読んでおく必要があります。
https://support.twitter.com/articles/253501
ルールに書かれていることを僕なりに噛み砕いて列挙しますが、気になる人は本家のページを見てください。
ざっと利用規約はこんな感じです。
- ツイッターは商標を守ります。たとえば一個人が「ナイキ」や「シャープ」のロゴを使って公式アカウントのように振る舞っていたら永久凍結させます。
- ツイッターは著作権の保護の協力します。著作権者が適切な著作権侵害を申し出た場合、対応します。あまり人のことは言えないですが、漫画や著作のスクショもNGです。
- 「刺激の強いコンテンツ」はダメです。ポルノなんてもっての外。その他、刺激が強いコンテンツをプロフィール画像にしたり、ヘッダーに使用することを禁止します。エロい画像は基本やめておいたほうがいいでしょう。
- 「違法な活動」を推進するためにツイッターを使ってはいけません。法律に従ってください。
- 「認証済みバッジ」を不当に利用したり、ツイッターと連携しているように見せかけたりしたら、凍結させる可能性があります。
- 「脅迫行為」を禁じます。脅迫行為とは仲間とのじゃれ合いの中で「○すぞ」「○ね」などとリプライすることも含まれます。「蚊を○す」もダメです。
- 「嫌がらせ」を禁じます。クソリプおじさんのように特定の人物に向けて一方的に嫌がらせを行っていると凍結させます。
- 「ヘイト行為」もダメです。人種、民族、性別、宗教を理由に他者に攻撃するのを禁止します。扇動するのもダメです。
- 「複数アカウントの不正利用」もダメ。「凍結垢はこちら→@xxxx」みたいに、永久凍結に備えて別アカウントを用意するのもダメです。重複利用してはいけません。
- 個人情報を本人の許可なく公開することを禁じます。最近ではペアーズの誰かを個人情報付きで晒したり、電車の盗撮っぽい投稿がバズったりしていますが、これらは基本的に禁止事項です。
- 「なりすまし」もダメです。昔、安倍総理になりすましたアカウントがいましたが、当然凍結対象でした。
- 自傷行為もダメです。「もうダメ...リスカしょ...」が凍結の対象になるかはわかりませんが、そういう自傷行為をほのめかすのは禁止です。
- スパムは許さん
けっこう常識的なことではありますが、改めて気をつけなければいけない部分もありますね。
たとえば、ツイッターがポルノ画像を機械学習で判定しているとすると、「肌色が多い画像」+「卑猥な単語」のツイートがポルノとみなされる可能性もあるわけです。
「○す」などの脅迫っぽい言葉については、機械的に凍結しているようです。
俺のアカウントロックされたけど、原因がこれだった。 pic.twitter.com/dlu16wXdcv
— Taro 🍣 Matsuzawa(組長 (@smellman) 2017年9月27日
自分のツイートは「from:cook_hideyoshi 大好き」のように「from:アカウントID 調べたい単語」で検索できるので、怪しそうなものは片っ端から削除しておきましょう。人の悪意はいつどこで向けられるかわかりません。
この土日がチャンスです。思い立ったらすぐ消しましょう。
凍結解除のやり方
凍結解除ウィザードに従って、「不正なツイート」を削除すれば解除されるパターンと、永久凍結パターンがあるようです。
永久凍結を喰らった人の中にはツイッターに抗議の連絡を送っている人が多数いるのですが、反応が得られないことが多いようです。
そこで、最近よく見るのは「Twitterジャパンに抗議してきた」という人です。
僕が Twitter Japan いったの、外山恒一とやしろあずきの事例知ってて、所在地調べたら完全に僕がいつもつかってる駅の隣のビルだったからなんで、心理的な負荷は低かったです。凸すると解決するという事例を増やしたのは良い話ではない。本社に伝わって改善されるべき。
— 復活 (@mizchi) 2017年9月28日
凸を推奨するわけじゃないけど、凸するなら月曜火曜がいいですよ。時差もあって週末が近いと動きにくいっぽいです。向こうの営業時間的な都合です。
— 復活 (@mizchi) 2017年9月28日
僕が Twitter Japan いったの、外山恒一とやしろあずきの事例知ってて、所在地調べたら完全に僕がいつもつかってる駅の隣のビルだったからなんで、心理的な負荷は低かったです。凸すると解決するという事例を増やしたのは良い話ではない。本社に伝わって改善されるべき。
— 復活 (@mizchi) 2017年9月28日
Twitter Japanにはアカウント凍結を解除する権限はないし、どんな基準で凍結されているかも(言葉にはしてませんが)よく分からないようです。
— よー清水❄️凍結されました❄️ (@yoshimizu629) 2017年9月29日
僕と一緒に説明を受けた方は普通の会社員で、異議申請してもどうしようもないから最後の手段で来ている感じでした。Twitterの中の人も非常にいい人で本当になんというか、申し訳なかったです…
— よー清水❄️凍結されました❄️ (@yoshimizu629) 2017年9月29日
→アカウントを凍結された外山恒一氏がツイッター社に直接抗議に行ったら、あっさりと解除された顛末
僕もはてなブログが凍結されたとき、はてな社にコーヒーパックを持って解除をお願いしに行ったので凍結されたときの気持ちは痛いほどわかります。
が、mizchiさんも書いているように、基本的に「突撃」は良いことではありません。
ソフトウェアの会社にとって最もお金がかかるのは「人」です。
「人が働く時間」と言ってもいいでしょう。
凍結された人が大挙して押し寄せてしまうと、「中の人」が働く時間がなくなってしまいます。
それはすなわち、サービスを改善する時間もなくなるということです。
凍結されたら胃に穴が開くくらい凹むとは思いますが、できれば自身で解除努力をするのが望ましいとは思います。
とはいえ、どんなに解除申請を送っても承認されないのであれば、直接話を聞いてもらうしかないという、ツイッター社もユーザーも誰も幸せにならないlose-loseな状況に陥ってしまっているのが現状です。
Twitter参勤交代レポートです。担当の方はいないとの事で、社員の方にご対応いただきました。アカウント名やケース番号、どのような状況かを紙に書いて説明を受けました。記入を元にTwitter本社に連絡してもらえるようです。
— よー清水❄️凍結されました❄️ (@yoshimizu629) 2017年9月29日
となると、やっぱり根本的に問題を解決するには、ツイッターのアルゴリズムを改善するしかありません。
mizchiくん、僕のゲーム業界時代の同期でアカウント凍結されてから1日もたたずに本社にコンタクト取って解凍されてて流石だなって感じなんだけど、やっぱこれはできる人が限られてるし根本的に全然解決できてないので早く対策してほしいです……
— やしろあずき (@yashi09) 2017年9月28日
ツイッターの中に人が書いていましたが、ツイッターの中の問題もあるようです。
「即戦力がつくビジネス英語」という本に、日本人は文脈で言葉を理解する「ハイコンテクストな文化だ」と書かれていました。
友達同士でじゃれ合って「○すぞ」なんて言っても、誰も本気にしません。冗談で言っている、ということを暗黙の了解としてお互い理解しているからです。
逆に英語は「ローコンテクストな言語」であるため、何から何まで明示的に言わなければ伝わりません。
逆に言えば、言ったことはその人の本心だと解釈されるのでしょう。
この文化の違いが、凍結アルゴリズムに出てしまっているように感じています。
凍結アルゴリズムを実装しているのはおそらく米国のエンジニアだからです。
凍結祭り。これは別に悪意があってやってるんではなくて、日本の文化をわかってるエンジニアがそもそも少なくて、ぜんぜん手が回ってないから起こる問題なんだよなぁ。日本人のやる気があるエンジニアの人、入社して手伝ってくれないかな。
— Satoshi Nakagawa (@Psychs) 2017年9月28日
日本支社に突撃したり外から日本語で文句を言ってたら誰かが直してくれるかっていうとそんなことはなくて、適切な場所にうまいロジックを作って話を持っていかないといつまで経っても直らない。
— Satoshi Nakagawa (@Psychs) 2017年9月28日
いま中にいる日本人のエンジニア達で、完全に権限外で無理を承知でできるだけのことはしようとしてて、一時的にはどうにかできるかも知れないけど持続的にはどうにもならない。日本の文化がわかってる人が適切な場所にいないと理解も広がらない。
— Satoshi Nakagawa (@Psychs) 2017年9月28日
ツイッターはアルゴリズム改善の努力を。
ユーザーは再度規約を読み直し、危なっかしいツイートの削除を行っておくことが現時点での一つの落とし所となりそうです。