「一般人に広く知れ渡った出会いスポットは質が落ちる」
というのは、チャラ男界隈ではよく知られた鉄則である。
ブルーオーシャンは人知れず広がっているもので、テレビや雑誌で特集されて皆に知れ渡ってしまうと、その出会いスポットには可愛い子が寄り付かなくなってしまう。
そのロジックは以下のように言われている。
- 特集されると色んな人が殺到する
- 色んな男の中にはキモい男がけっこういる
- キモい男が可愛い女の子に強引に話しかけまくる
- 可愛い女の子が寄り付かなくなる
- 残った比較的可愛い子にキモい男が殺到する
- また女の子が少なくなる
- 最終的に男8:女2くらいの割合で、男祭りと化す
キモい男が全部悪い。
そう、この私だ。本当にすまない。
さて、333barと呼ばれるトリプルスリーは言わずと知れた超有名出会いスポットである。
出会いのバーゲンセールかっつーくらい、毎夜毎晩出会いが生まれている。
半年前に友達と銀座で飲んだときに、軽く寄っていこうかと一度333barに足を運んだことがあって、そのときから違和感を覚えていた。
女の子が、可愛いのである。
私の目に狂いはない。
出会いスポットのの鉄則が崩れているのだ。
私は自分のことは棚に上げて、完全に面食いである。
ツイッターでは可愛い子だけをリツイートし、可愛い女の子の自撮りにいいねをつける。
そんなヒデヨシの選球眼の素晴らしさには定評があり、男たちから感謝が寄せられている。
ツイッターのタイムラインから「ヒデヨシさんがいいねしました」を減らす方法を調べてみた
そんなヒデヨシが目を皿のようにして、むしろ舐め回すようにして観察した女の子が、みんな可愛いのである。
この日は友達との都合もあって一杯飲んで店を後にしたが、僕は密かに心に誓っていた。
トリプルスリーにもう一度、一人で遊びに来ようと。
美女と友だちになろうと。
その誓いを実行に移したのが昨日のことだった。
花金なので一人でコリドーに突撃しました pic.twitter.com/8zUsX7NaA8
— ヒデヨシ (@cook_hideyoshi) March 30, 2018
トリプルスリーは新橋駅と有楽町駅、銀座駅のちょうど真ん中らへんにある。
この写真は新橋駅の銀座口の写真だ。
新橋駅銀座口から出て左に曲がり、銀座に向かう。
途中でぶつかるのが静岡新聞社ビル前の運命の分かれ道だ。
左に行けば悪名高いコリドー街へ、右に行けば悪名高い333barへ行ける。
どちらを選ぶかはその日の気分による。
今回は「右」を選び、まっすぐ歩く。
運命の分かれ道から5分くらい歩いた場所の左手側にあるのが「333 トリプルスリー」である。
銀河鉄道のように3が並び、妖しく輝いている。
この階段を降りた先が、今日の闘いの舞台である。
最初に1,000円(999円)でチケット3枚を買い、飲み物を買うために並ぶ。
金曜の夜は相当な混み具合で、人で溢れていた。
女の子が可愛く、そしてサラリーマンたちと楽しそうに話している。
天国があるとしたら、このような場所を指すのだろう。
しかしよく目を凝らすと、この楽園の中で苦しそうな顔をしている男が無数に壁沿いに立っていた。窓に貼り付く夏の虫みたいに。
彼らは、女の子に話したくても話しかけられないのである。
値踏みするように、あるいは機会を伺うように、店の中をじっと観察している。
その苦しみは痛いほどわかる。女の子に話しかけるほど、緊張することはないよな。
お酒が回ってくるタイミングをじっと待つ。
「お客様ビールです」
きた。これが俺のゲームの始まりだ。
店の奥の端っこで、一口ビールを飲むと、なななんと!
横に一人でカシスオレンジを飲む女の子がいた。
グレーのワンピースがよく似合う綺麗な人だった。そして。
...巨乳だ。
僕は目をつぶり、過去の自分を思い出す。
落ち着け。
落ち着け。
俺は舞台慣れした男。かつて東京の街という街を駆け巡り、たくさんの女の子に声を掛け続けた男。
久しぶりの実戦だ。
大丈夫。その辺に転がっている男に俺が負けるはずがない!
何度も自分に言い聞かせ、女の子の方を見て笑った。
女の子もこっちを見て微笑む。
よし、このタイミングだ。何か面白いことを言うんだ。掴みが大事だ。
「こ、こんにちは...」
違うだろう!!!
声が...出ない!
声が小さくて、自分でも何を喋っているのかわからない。
「お、お一人...ですか?」
まずい。
全然面白いことが言えない。
俺、昔どうやって女の子と話してたんだっけ?
「違うよ〜友達と来ててー。てゆうか、お兄さんこそ一人?」
返事がきた。しかし、どこか相手が場馴れしていて、僕は完全に
一人で333に出会いを求めに来たキモい男
に成り下がっていた。
ここは早々に男を見せて尊敬を勝ち取らなければならない。
「ひ、一人で...社会...見学に...」
「えっ」
「いや、一人で...」
「チャラい〜」
違うんだ。違うんだよ。本当にチャラかった頃の俺は、こんなこと言わないんだ。
もっと軽快に話せたはずなんだ。
全く言葉が出てこない。
喉に骨が刺さったみたいに、声が出なくてむず痒い。
女の子を真正面に見据えながらまともに言葉も出せずに、僕は三井寿を思い出した。
オレの名前を言ってみろ...!!
オレは、かつて銀座の街を駆け抜け、銀座中の女と恋をしてきた男...!!
オレは...オレは────
「私、友達のところ行くね!」
と言って、巨乳は颯爽と立ち去ってしまった。
背筋を伸ばして歩く彼女の背中を目で追い、手元のビールに口をつける。
俺はなんて、なんてつまらない男なんだろう。
自分の不甲斐なさを呪った。
333barに来るまでに、新橋のレンタルルームの位置も調べた。
新橋にラブホはあるのか!?路地裏に忍び込んでレンタルルームの様子を伺ってきた。
あんなにイメージトレーニングしたのに...
まだだ。
もう一度だけ話してみよう。
お酒を買い、トイレから出てきた先ほどの女の子に話しかけてみる。
言葉が出てこない。
こういうとき、なんて言えばいいんだっけ?
「お、友達もお綺麗ですね」
何を言っているんだ───。
「あぁ、うん」
完全にありのままを語るが、その子は「あぁ、うん」と一言残して、ささっと別の場所に行ってしまった。
呆然と立ちすくんだ俺は思わずツイッターに投稿した。
「俺はなんて惨めなんだ...」
と。
目を凝らして奥の方を眺めてみると、さっき「あぁ、うん」と言って立ち去った女の子が別のサラリーマンと楽しそうに話している。
彼らはいいとこの商社マンなんだろうか。
クラブでもバーでも同じだが、このように立ち去った女の子を目で追うようになったらゲームオーバーだ。
出会いに敗北があるとすれば、この瞬間だろう。
ゲームが終わるのは、女の子に無視された瞬間ではない。
別の男が女の子と楽しそうに話しているのを見つけた瞬間でもない。
立ち去っていく女の子を見て
「ああ...」
と後ろ姿を見送る瞬間、我々のゲームは終了するのである。
安西先生でも諦めて終了するレベルだ。
「やれやれ」
僕はため息をついて、トリプルスリーを後にした。
これが敗者が登る階段である。
死刑台に向かう囚人のようだ。
無機質な階段を一人、トボトボと上がっていく。
外にはガールズバーの客引きが面倒くさそうに道行く人に声を掛けていた。
客引きにお辞儀をして僕は333トリプルスリーから離れた。
すれ違う女の子が可愛い。
まだだ。
まだ終われない。金曜の夜は終わらない。
そう自分に言い聞かせて僕は、コリドー街にある300BARに向かった。
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銀座コリドー街の300BAR(スリーハンドレッドバー)に一人で突撃してきた
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