通勤電車は辛い。
本当に辛い。
世の中の不幸のほとんどは通勤電車にあるんじゃないかと思えるくらい、通勤電車は辛い。
満員だったらなおさらだ。
こんなに
「しんどいしんどい」
とブログでボヤいてしまう通勤電車とはいえ、人間は喉元過ぎれば熱さを忘れる生き物である。
通勤電車に乗らなくなる前に、せっかくだから「通勤電車の何が辛かったのか」をしっかりと書き残しておきたい。
魚群
マンションを出て最寄り駅に向かう。
企業ビルが隣接する駅から絶え間なく吐き出されてくるのは、魚群のようなサラリーマンだった。
イライラした顔のサラリーマンが
コッコッコッコッ
と一定のリズムの足音を立ててこちらに向かってくる。
改札から大量のサラリーマンが吐き出され、大きな黒い塊がすごい勢いでこちらに向かってくるのが辛い。
おそらく人間は、本能的に「自分に向かってくる何か」を恐れるようにできているのだと思う。
自分にまっすぐ向かってくるものを警戒するように進化したに違いない。
津波のように押し寄せるサラリーマン群をかき分け、ホームに向かうのは大変なストレスだった。
牛歩戦術
牛歩戦術とは、牛のようにゆっくり歩き、敵を妨害する戦術のことである。
誰が考案したかはわからない。
駅のホームに向かう階段。
右側は登ってくるサラリーマンの大群が、左側はホームに向かう人の列ができる。
電車がホームに停まり、
「あれに乗りたい!」
と強く願っているときに限って、目の前の人が牛歩戦術を使ったりする。
ああ!目の前に電車があるのに!
急いで階段を降りれば電車に乗れるのに!
前の奴がスマホを見ながらダラダラ歩いているから、全然進めない!
なんて感じで、ストレスになることが多かった。
小さなことでイライラしすぎだろ、と思われるかもしれないが、朝の通勤は余裕の無さもあって、事あるごとにイライラしてしまい、大変身体に悪かった。
門番
やっとドアが開いたと思ったら頑なに入口付近から動かない人がいる。
狭い入り口を無意味に塞ぐ電車の門番に少しイラッとしてしまう。
心の中のキルアが
「どけよ」
とつぶやくのだが、僕にはキルアほどの戦闘力はないため、門番を倒すことはできない。
ちなみに、降りるときもドアを守る門番がいることがある。
大量の人が降りるのに、門番は頑なに入口付近からは動かない。
ドアを守る守護神のようだった。
とんでもなく迷惑な守護神だ。
オセロ
電車の中で立っていると、たまに端の席が空くことがある。
よし!座れる〜〜〜〜!!!
と思って一歩目を踏み出そうとした瞬間、
スッ
と端の席に移動する輩がいるのだ。
お前...俺を...ブロックしたのか......?
と次の駅まで問い詰めたくなるくらい、音もなく席をずらし、僕の着席をブロックしてくるのである。
このように、角の席を押さえようとする「オセロマン」がけっこういて、僕はたびたびオセロマンに席をブロックされ涙を流してきた。
ずっと立っているのはまだいい。
一度座れる!と思ったところをオセロマンによってブロックされるのは悲しすぎる。
押しくら饅頭
僕は日本を憂いている。
何を憂いているのか。
デブが多すぎることだ。
電車で人間を観察すると驚くのだが、サラリーマンの3人に一人はデブである。
いや、マジで。
こんなに日本にデブがたくさんいたのかと不思議に思うくらい、電車の中はデブだらけだ。
隣りに座っているのが女性なら席が広くて楽なのだが、サラリーマンが両隣に座ったときは3人分の席の2.5人分をデブが占め、残り0.5人分のスペースで耐え忍ばなければならないときがある。
とんでもない肉厚なのだ。
席に座れないと疲れるが、席に座ってもデブとの仁義なき戦いが繰り広げられ、どっちにしても消耗してしまう。
デブの圧力に屈して、結局椅子を捨て、立ち上がることも何度もあった。
これはこれでストレスであった。
DJ満員電車
これは誰もが経験したことがあるかと思うが、
お前はDJか
とツッコみたくなるくらい、音をだだ漏れにして音楽を聞く輩がいる。
特にApple製品の音漏れはひどい。
しかも音漏れするような爆音で音楽を聴いている輩はだいたい強そうな奴なので、文句を言うこともできない。
爽やかなEDMを流してくれたら一緒にテンションを上げていこうとも思えるが、AKB48を爆音で流されたときはズッコケそうになった。
このように、電車通勤というのは自分でコントロールできない障害が多い。
人間はアンコントローラブルな困難に直面したときに、心に大きなストレスを感じるようにできているのだ。
- グリーン車を使う
- 通勤時間をピークからずらす
- 端っこの車両に乗る
- 路線を変更する
など、様々な努力はできる。
しかし、根本から解決するにはやはり、
通勤電車自体に乗らないこと
が一番だ。
本当に。
通勤電車に乗らないだけで日々のストレスが半減する。
世界が明るくなったような気分になる。
早く多くの会社にリモートワークが浸透して、通勤電車に乗るのが少数派になるような、そんな世の中になったらいいなあ、と思う。