福岡にいた数日間は幸せだった。
すれ違う女の子がみんな可愛い。
街は適度に都会で、人は多すぎず、コンパクトにまとまっている。
フラッと入った居酒屋の料理が東京の高級レストランに匹敵するほど美味しく、料金は一人3,000円という、この世の楽園としか思えない素晴らしい街だった。
福岡で夜遊びするなら主に3つのスポットを押さえておけばいい。
一つ目は博多駅周辺。
早めに店が閉まってしまうので、軽く飲んで帰ったり、ちょっとオシャレに買い物するのに適している。
今回の旅では博多駅には行かなかったので、写真はない。
二つ目は中洲である。
東京でいうと歌舞伎町、北海道ならすすきの、仙台なら国分町のような街だ。
僕は中洲の空気を吸うだけでとても幸せな気持ちになれた。
街を歩く女の子がみんなセクシーで可愛いのだ。
中洲の夜の蝶は別次元の美しさだった。
甘い蜜の香りに誘われるカブトムシのように、フラフラと中洲の入り口に向かう。
が、しかし。
心のヒソカがささやく。
「金のない者は通さないよ
ってか通れないだろ?」
...その通りだ。
身体は完全にズキュンのヒソカなのに、心の中のヒソカが中洲を拒絶した。
中洲の夜は金のない人間に厳しい。
財布を確認し、諦め、天神に向かった。
そう、天神こそが、福岡の夜遊びの本拠地とも言える場所なのだ。
九州中から女の子が集まるせいか、福岡は女性の数が多い。
25歳〜29歳の人口を見ると、
- 男性は約44,000人
- 女性は約50,000人
となっていて、統計的にも女性が多い街なのだ。
福岡市 男女別・年齢別人口
ちなみに東京の25歳〜29歳の人口は
- 男:約436,000人
- 女:約430,000人
となっていて、男の方が若干多い。
東京都の男女別5歳年齢階級別人口 人口ピラミッド
福岡だけが女性が多い街というわけではないが、人口の比率的にも、遺伝子的にも福岡はとにかく美人が多いというのは間違いないだろう。
完璧に主観だけどね。
これは中洲の川である。
福岡はなんだか川が多い。
渋谷や六本木にこういう川は流れていない。
中洲のきらびやかなネオンを反射する川を眺めながら、今日は必ず博多美女と友達になろうと誓った。
中洲から歩いて10分くらいで天神に着いた。
天神は福岡の若者が集まる街である。
たまに若者ではない僕のような異分子が混じることもあるが、福岡人は細かいことは気にしないけん、大丈夫。
平日の天神は人が少ない。
時刻は既に23時を回っているのだ。
地方都市はだいたいこんな感じだろう。
何時になっても人がうろついている東京が異常だとも言える。
天神駅から歩いて3分くらいの場所にあるのが伝説の「警固公園」である。
「女の子が声をかけられるのを待つ公園」
とどこかで読んだことがあるので試しに座っている女の子に
「何しよると!?」
と声をかけてみたが、僕を一瞥してすぐさま軽蔑の表情を浮かべ、
「あっち行け」
と目で促された。
修羅の街をナメてはいけない。
気を取り直して天神の街を歩く。
天神駅から歩いて5分くらいの場所にあるのが
西通り
である。
おそらく福岡のチャラい人はみんなこの辺に集まり、この辺でウェイウェイするものと思われる。
平日なので人は少なかったが、クラブに行くであろうと思われるセクシー女が数人、ノースリーブで歩いていた。
そして今回、向かう先は西通りのすぐそばの「大名」と呼ばれる地域に存在している。
さっきの西通りの写真の場所から1分。
イビザを見つけた。
ちょっと古めのビルの5階にあるのがイビザである。
2017年に誕生したようで、おそらく2018年7月時点では最も新しいクラブだ。
その新しいクラブに、俺の爪痕を残してやる。
決意を新たに、イビザに向かう。
5階についてすぐのエントランスで求められた料金は、なんと
1000円
であった。
1000円だと?
1000円で、再入場自由。
お酒も一杯飲める。
なんて財布に優しいクラブなんだと心の底から感激した。
女の子が可愛く、人が温かく、クラブの料金が1,000円だなんて。
なんて素晴らしい街なんだろう。
東京だったら3,000円〜5,000円で入場、女の子にお酒を奢るハメになって10,000円かな!
謎の通路をまっすぐに歩くと、その先から
ドンッ
ドンッ
とお前はONE PIECEかよっていうくらいドンドンと音が響いてくる。
自分が今クラブにいることを再確認できて、無性にテンションが上ってきた。
単身クラブに乗り込んだオッサンだけど、何者にでもなれる気がした。
イビザの中は綺麗で、平日のクラブだから当たり前かもしれないが、人はまばらだった。
カウンターに行って
「生ビールください!」
と頼んだら、なんとカルーア・ミルクが出てきた。
これはおそらく、福岡の洗礼だろう。
人は相変わらずまばらである。
「クラブでは30分くらいとにかく楽しめ」
的なことが書いてあったので、たった一人で踊ってみた。
全くリズムと合っていない。
このクラブの中で、明らかに僕だけが異質なオーラを放っていた。
これでいいんだ。
VIP席に入る金は全くないので、心だけVIPのつもりでクラブ内をうろついていた。一人で。
時刻が0時に近づいてくると、だんだんと女の子が増えてきた。
平日。
こいつらは一体いつ仕事をしているんだ?
と小一時間くらい問い詰めたくなるくらいのテンションで、ワイワイガヤガヤと若者が集まる。
俺の時代が来たのか?
と調子に乗るも、福岡の女の子の素肌が眩しくて声をかけることができない。
眩しすぎて目を細めて遠くから眺めているうちに、なんと強そうなヤンキー男が女の子に声をかけ、いちゃいちゃし始めた。
く、くそう...
DQNのくせに...
ちくしょう...!!!
...などと悔しがっている暇はない。
僕は空になったグラスを握りしめ、次なる作戦を考えた。
名付けて、乾杯作戦である。
グラスを持って女の子に近づき、「乾杯!」と言って仲良くなる。
僕はたった一人、クラブの壁際で、イメージトレーニングを繰り返した。
「乾杯!今、何しよると!?」
「乾杯!今、何しよると!?」
「乾杯!今、何しよると!?」
これだ。
これで行こう。
イメージトレーニングを3回繰り返し、いざ女の子に乾杯しようとするも......
...か、身体が動かない!
足が石になって地面に張り付いているようだった。
その様子はさながらクラブを笑顔で見守る地蔵のようだった。
だ、ダメだ...
息が詰まる。
話しかけたくても身体が動かない。
頭の中で光GENJIの「勇気100%」が流れる。
ガッカリして、メソメソして、どうしたんだい?
地蔵のように固まって、どうしたんだい?
だ、ダメだ...!
声がかけられない...!
心が折れて、結局誰にも話しかけることができないままクラブを後にした。
帰り際の通路が不気味に青く光り、僕をあざ笑っているかのように見えた。
0時を過ぎた天神に人は少ない。
人気のない通りで、屋台だけが明るく賑わっているように見えた。
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