「ヤン坊!マー坊!天気予報!」
ぼくのなまえはヤン坊♪
ぼくのなまえはマー坊♪
ふたりあわせてヤンマーだ〜♪
君と僕とでヤンマーだ〜♪
小さなものから大きなものまで
動かす力だヤンマーディーゼル〜〜〜♪
何曜日だったかは忘れたが、僕が住んでいた田舎では、日が暮れた頃にこのCMが流れていた。
横には家族がいて、一緒にカレーを食べながらテレビを見ていた。
番組の区切りの良いところで流れる「ヤン坊!マー坊!」のCM。
僕にとっては「夕方にヤンマーのCMが流れる」ことが当たり前だった。
だから他のみんなも「ヤンマーのCM」を当然知っているものだと思っていた。
しかし、どうやら「ヤンマーのCM」は田舎でしか流れていないらしく、都会の人はヤン坊マー坊を知らないというのだ。
ヤンマーのCMを知らない人がいるという衝撃
ふとしたときに、
「僕の名前はヤン坊♪」
などと鼻歌を歌っていたら、横にいる女の子から
「何それ?」
と怪訝な顔をされた。
「いや、ヤンマーだけど...」
「え?」
「いや、ヤンマーのCMだってば」
「知らない」
「え?」
「そんなCM、知らない」
ど、どういうことだってばよ?
ヤンマーを知らない...だと?
田舎出身の別の女の子はヤン坊のCMを知っていて、彼女曰く、
「ヤンマーは農業機器のメーカーだから、都会でヤンマーのCMが流れても買う人がいない」
とのこと。
さすが農家の娘は目の付け所が違う!
事実はどうだったのか
ヤンマーのホームページを見ると、たしかに農業機械や建設機械を取り扱っていることがわかる。
実際のところ、都会の人はヤンマーのCMを知らなかったのだろうか。
詳細情報がwikipediaに載っていた。
→ヤン坊マー坊天気予報
僕がずっとCMと思っていたヤン坊マー坊は実は、ちゃんとした「TV番組」であった。
1959年6月1日よりスタートした「ヤン坊マー坊天気予報」は時代を越えて愛され続けた。
僕らが生まれてくるずっとずっと前にはもう、アポロ11号は月に行っていたし、「ヤン坊マー坊」のCMも流れていたのだ。
そして「ヤン坊マー坊」が55周年を迎えた2014年3月31日。
テレビで天気予報を確認する人がほとんどいなくなった、という理由で番組は終了を迎えた。
「放送されていない」と思われていた関東広域圏でも、1996年9月まではどうやら放送されていたらしい。
つまり、関東の人がヤン坊マー坊を知らないというよりは、
「打ち切りになるのが早すぎて記憶にも残っていない」
というのが正しいのではないだろうか。
音楽というのは不思議なものである。
ふとしたときに、ふっと頭に浮かんでくる。
それまで全く覚えていなかった曲が、突然頭の中で再生される。
あぁ、こんな曲があったなぁ。
懐かしいなぁって。
音楽というのは不思議なものである。
全然別のところで過ごした、全然知らない誰かが同じ音楽を聞いていて、その光景を共有できる。
音楽は人の思い出と思い出をつなぐことができるのだ。
僕も社会人になってほとんどテレビを見なくなってしまった。
思い出のテレビ番組がいつの間にか終わっていて、ほんの少しだけ寂しい。
それでも。
テレビ番組がなくなったとしても、「ヤン坊マー坊天気予報」が僕の脳内で、これからも生き続けるのは間違いない。