下町ロケットに学ぶ「仕事に夢中になる条件」



下町ロケットを見ると毎回胸が熱くなって泣いてしまう。

佃製作所の労働環境は過酷だ。

元請けの帝国重工からは無茶振りばかりされて、社員はいつも疲弊している。

いつも裏切り者が出てくるし、外部の弁護士からはイチャモンをつけられる。

佃製作所はピンチに陥ってばかりだ。

正直、こんな会社で働いていたら身がもたないだろう。


それでも。

それでも僕は思うのだ。

佃製作所の社員がちょっと羨ましいな、と。


読者のみんながどうかはわからないが、僕は社会人になってから「泣くほど感動した経験」は一度もない。

仲間達と抱き合って喜んだ経験も、ハイタッチしたこともない。

淡々と目の前の業務をこなしてきた。

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社会人になりたての頃、「ソーシャル・ネットワーク」という映画を観た。

初期のフェイスブックのメンバーが必死になってサービスを開発している姿を観て、自分もこうやって働きたいなと思った。

思ってたはずなのに、現実はむしろどんどん冷めていって、情熱よりも効率を求めるようになっていった。

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フェイスブックのユーザー数が100万人を突破して花火を打ち上げるシーンを観て、部活の試合で優勝したときのような喜びようだな、と思った。

楽しそうだな、これが仕事の醍醐味だよなって。


下町ロケットの職場はたしかにブラックな雰囲気が漂っているが、社員は皆、活き活きとしている。

彼らがプロジェクトが成功したときに笑顔で万歳できるのも、仲間と抱き合って喜べるのも、皆が真剣に仕事に向き合っているからなのだ。

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僕たちは給料をもらうだけでは心の底からこみ上げるような感動を得ることはできない。

残念ながら、夢中にならないと仕事から充実感は得られないのだ。

そこで今日は、日々淡々と業務をこなしているうちに、胸の奥に熱い想いをしまいこんでしまった人達が、どうしたら佃製作所の社員ように仕事に夢中なれるのかを考えてみた。

当事者意識が大事

仕事に夢中になるために、何よりも大事なのは当事者意識だと僕は思う。

「プロジェクトが成功しても失敗しても俺の責任じゃないしー」という態度で仕事に向き合っていては、当事者意識を持つことなんてできない。

そして大きな組織で責任の所在が曖昧になると、往々にしてこのような発想になりがちだ。


「仕事は労働力の対価」と割り切って、給料をもらうために仕事をするのは決して間違いではない。

だが、そのような冷めた態度で仕事に対して他人事のように接していた場合、どうしても仕事は「時間売り」となってしまい、面白くはならないだろう。

リクルート風の言葉で言うと、「圧倒的な当事者意識」こそが、仕事に夢中になるための最低条件なのである。

仕事に夢中になれないと、業務は定時までの苦痛な「作業」となってしまうかもしれない。


とはいえ、いきなり他人から

「仕事に当事者意識を持て!」

「夢中になれ!」

「死ぬ気でやれよ、死なないから」

みたいな暑苦しいセリフを押し付けられても、自分の内面が変化することはないだろう。

モチベーションを上げるためには、仕事における意義を見出さなければならないし、仕事が将来の希望につながっていなければならない。

その仕事をやり抜くことで、自分にとって、また家族や同僚にとてより良い未来が開ける、そういった確信がなければモチベーションは生まれようがない。

自分の仕事の意義を心から信じた上で、自ら動き、提案し、周りに働きかけることで初めて、「当事者意識」が生まれるものなのだと思う。


自分が主役じゃないと本気になりにくい

仕事と部活の違いはなんだろう、と考えていた。

部活は好きでやっていたけど、練習が楽しかったわけではない。

それでも「休みたい」とは思わなかったし、仲間と全国大会を目指して鍛錬を続ける日々は充実していた。

高校のときの部活ではあんなに熱くなれたのに、今の仕事でどこか冷めているのは単純に「好きか、嫌いか」の違いだけだろうか?

おそらく「好きか嫌いか」だけではなく、「今の状態」に夢中になれない要素があるのだ。

具体的には、以下のような「状態」が会社員生活のモチベーションを下げている。

  • 自分がコントロールできる範囲が限られている
  • 組織がピラミッドになっていて、自分が主役にはなれない
  • 自分の納得いかない仕事もやらなければならない


「人間は誰もがコントロール欲求を持っている」というのは、ふろむださんの『人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』で紹介されていた内容である。


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会社員は残念ながら、自分のコントロールできない範囲での仕事が多い。
承認手続きばかりの大企業ならなおさら、納得いかない業務も多くなるだろう。


実力を磨けばヒーローになれた部活と違って、会社では理不尽な上司にだって気を遣わなければならない。

このような「やらされ感満載の状態」が会社員のモチベーションを下げているのではないだろうか。


会社を辞めない限り、多かれ少なかれつきまとうこの問題への対処方法は一つしかない。


自分の裁量の範囲で、できる限り主体的に動くこと。

裁量の範囲内で主役になること。


これしかないと思う。


やっぱりさ、自分が主役になりたいじゃんか。

自分で決めて、自分で判断して、いい仕事をしたいじゃん。

でも会社は残念ながら僕たち個人のためにはできていない。

それが会社員なんだ。

だからせめて、自分がコントロールできる範囲内で主体的に動くことで、小さな主役にはなれるんじゃないだろうか。

会社員にありがちな「やらされた脇役感」から抜け出すには、「自分から動く」しかないんじゃないかな。

目標を共有する

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組織には必ず目標があり、部署やチームでも目標が掲げられる。

その目標は当然達成しなければならないものだが......はて。

僕は本気でその目標に向き合っていただろうか。


また部活の例で申し訳ないが、全国大会を目指していたあの時の目標は本気だった。

これ以上なく本気で、それに全てを賭ける覚悟があった。


いま、会社で立てている目標には残念ながらそこまでの情熱はない。

業務遂行のために必要な目標を立てているだけで、

「この目標を叶えたら我が人生に一片の悔い無し」

みたいな強い思いは存在しないのだ(すまん)


佃製作所の社員は目標に疑いがない。


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社員全員が目標の意義を理解し、目標を達成することが、自分、そして会社の未来につながると信じているから、本気になれるのだ。


自分が心から達成したいと思える目標を掲げること。

社員全員で共有すること。

社員が同じ方向を向いていること。


これらの条件を満たし、本気になって仕事に向き合い、悪戦苦闘の末に目標を達成できたときにやっと、仕事から「涙が出るほどの感動」を得ることができるのではないだろうか。


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