2019年に映画化される『惡の華』はやばいメンヘラが伝染していく話



「クソムシが」

という台詞を吐き出す女の子の絵を見たことがある人はけっこういるのではないだろうか。

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この漫画のタイトルは『惡の華』

やばいメンヘラの話だ。

主人公の名は春日高男。

本ばかり読んでいるDTで、自分が特別で頭の良い人間だと思っている。

春日はクラスの美少女、佐伯奈々子に恋をしていた。

遠くから好きな女の子を見つめるだけで幸せな気分になれる中学生の気持ちは、僕にもよくわかる。


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そんな春日はある日の放課後、菜々子の体操着が無防備に床に落ちているのを発見してしまう。


さ、佐伯さん......


とキモい妄想をして、体操着を手に取ったところで何者かの気配を感じ、思わず体操着を持ち帰ってしまったのだ。


それが彼の地獄の始まりだった。


なんと、体操着を盗んで帰ったことをメンヘラに目撃されてしまったのである。

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その目撃者こそが、日本漫画史上最悪のメンヘラ女である仲村佐和であった。


僕は『惡の華』11巻分を大人買いし、通して読んでみたが、一度読んだだけでは仲村の異常性を理解することができなかった。

2度読んでみても、やっぱり意味不明だった。


彼女は「ナチュラル・ボーン・メンヘラ(生まれついてのメンヘラ)」なのだ。

ナチュラル・ボーン・メンヘラの気持ちは常人には理解できない。

関わったら最後。

一緒に地獄に落ちるしか無いのだ。


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仲村は体操着を盗んだことを内緒にする代わりに、「契約しよう」と持ちかける。

「春日くんは大事なものを私に奪われるの」

と。


そこからの主人公春日は災難続きだった。

「菜々子をデートに誘え」と命じられ、OKをもらったかと思いきや、


「盗んだ体操着を中に着たままデートしろ」


と命じられる。


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どう考えても頭がおかしい。

ツイッターで他人を不快にさせるリプライを飛ばすことを生きがいとしているオジサンのようだ。


この仲村(ナチュラル・ボーン・メンヘラ)は、主人公が困っていたり、苦しんでいるところを見るのが好きなのだ。

そして悲しいことに、DTと自意識をこじらせた主人公にもまた、仲村のメンヘラが伝染していく。


さて、春日は仲村(メンヘラ)に命じられるままに菜々子をデートに誘い、なぜか快諾された。

体操着を着たまま菜々子とデートした春日は、そのデートの最後に告白する。


「オレ...

わ...わたくしと

純粋にプラトニックなお付き合いをしてください」


菜々子は学年一の美女であり、優等生でもあった。


彼女の地獄もここから始まる。


「はい。

私で...よかったら...」


なんと、勘違いDTの春日とお付き合いしてしまうのだ。

メンヘラは伝染する

憧れだった菜々子と付き合えた春日に幸せな日々が待っているかと言うと、そんなはずがない。

やばいメンヘラ女である仲村が付きまとってくるからだ。


ある日仲村は、体操着を脅しの道具に使い、春日を夜の校舎に呼び出し、学校をめちゃくちゃにした。

墨汁を撒き散らし、黒板に「体操着を盗んだ薄汚い男が私です」みたいなメッセージを書き散らし、全ての机を蹴り飛ばした。


そのときに、春日は目覚めてしまったのだ。


こじらせたDTが「解放のカタルシス」的なものを感じてしまい、彼もメンヘラとして覚醒したのである。

そこからはメンヘラの女王仲村を神のように崇拝するようになり、メンヘラに奴隷扱いされる自分の境遇に快感を覚えるようになった。

頭おかしい。

一人の変人が、また別の変人(モンスター)を生み出してしまったのである。


とばっちりを受けたのは春日と付き合っていた菜々子である。

春日の様子がおかしくなっていくことに違和感を覚えつつも、一度好きになってしまったら離れることができない。

菜々子は完全に恋愛感情のトリガーを引かれてしまっていたのだ。


世の中には二種類のメンヘラがいる。

先天的なメンヘラと、後天的なメンヘラである。

春日や菜々子は後天的に覚醒したメンヘラであった。


好きな男がメンヘラだったりサイコパスである場合、普通の女の子がメンヘラ化してしまうことは割とある。

菜々子はその典型例で、この物語で一番不幸なキャラクターであるともいえる。


付き合っている菜々子ではなく、仲村を追いかける春日。

そんな春日に対して、


「どうして私じゃダメなの...?」


とメンヘラ化していく菜々子は見ていて苦しかった。

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もう春日と関わってはいけない...と僕は何度も心の中で叫んだが、そんな願いは届かない。

ダメ男にトリガーを引かれている女にいくら「やめておけ」といったところで止まらないのはリアルでも同じである。


結局菜々子もおかしくなって、春日と仲村の秘密基地みたいな掘っ立て小屋に火を付け、鑑別所に入ってしまう。


『惡の華』は「中学編」と「高校編」があるが、中学編の最後は仲村と春日が二人で公衆の面前で自殺を図るシーンで終わる。

メンヘラが極まった瞬間だった。


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惡の華 コミック 全11巻完結セット (少年マガジンコミックス)

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頭のおかしい人に関わってはいけない

世の中にはやばい人がいる。

普通に生きていればやばい人とはほとんど関わらずに済むので、その危険性はあまり意識されないかもしれない。

だが絶対に油断してはいけない。

メンヘラはどこか遠い国の別の世界に住んでいるわけではなく、僕たちのすぐ近くで生きているのだ。


「やばい人」が顕在化したのがツイッターのようなウェブの世界だろう。

あるツイッタラーの友人は炎上を経験した際に、


「リアルの世界でこんなに暴言を吐かれたことなんてなかった」


とこぼしていた。

リアルの世界では学歴や採用面接、あるいは無意識の選別によって、ある程度人間関係にフィルタがかかっているのだ。

ネットでは人間関係のフィルタがかからないため、やばい人の攻撃をノーガードで喰らってしまう。


『惡の華』の仲村を見てもわかるが、やばい人は他人を攻撃し、不幸にすることで快感を得るやばい性癖を持つ。

こういう人とは絶対に関わってはいけない。

弱みを握られても決して従ってはいけない。


「体操着を盗んだところを見た?それがどうした。体操着の収集は俺の趣味だ、何人たりとも邪魔はさせない」

くらい言ったほうがまだ良かった。

やばい人と深く関わってしまうことは、体操着を盗むよりもずっと危険なことなのである。


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