投資をやらない僕でも「cis」というハンドルネームは知っている。
21歳のときに300万円で投資を始め、2018年時点での資産は230億円。日経平均を一人の力で動かせる男。
B.N.F氏と並んで日本最強の個人投資家と呼ばれている人だ。
そんなcis氏が初めて本を書いた。
麻雀ライターの福地誠さんとの縁で、これまでほとんど断ってきた執筆の依頼を受けたのだった。
『一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学』のタイトルの通り、書かれてあるのはテクニックではなく哲学である。
「cis氏の考え方」といってもいい。
繰り返しになるが僕は投資をやらない。
しかし「勝ちまくった男の考え方」は投資以外のビジネスにも活かせるはずだと思い、この本を買った。
ここからはcis本を僕なりに解釈し、吸収できそうな「哲学」を紹介していく。
- 作者: cis
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2018/12/21
- メディア: 単行本
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負けない人間は存在しない
cis氏は高校時代からギャンブルでお金を稼いできた。
高校時代にパチンコで200万。20歳時点で貯金は2000万円になった。
その後2000万円のうち1000万円を競馬で失った。
大学卒業後は一度サラリーマンになるものの、勤め人をずっと続けていけるとも思えず、22歳のときにネット口座に300万円を入れて株式投資をスタート。
そこから負けが続いて講座の残高は104万円にまで減った。
生活費の5万円を除き給料は全て投資に突っ込んでいたため、トータルでの負けは1000万以上だったという。
今では「日経平均を一人で動かす男」と呼ばれるほどの人物でも、最初からずっと勝ち続けていたわけではないのだ。
cis氏の転機は「2ちゃんねるのオフ会」だった。
男性6人、女性2人のオフ会には億を超える額を稼いでいる人もいた。
彼らの投資手法を聞いて、cis氏は自分の投資手法ではダメだと確信した。
「今ある優位性に張る」
将来の会社の業績だとか、割安だとか割高だとかは、自分が勝手に思い込んでいるに過ぎない。
短期の値動きやチャートを見て、今の値動きだけを見るやり方に変えてから、嘘のように連戦連勝となった。
柔軟に自分のやり方を変える
長期トレードで負け続けたcis氏だったが、彼が自分の投資手法に固執していたら、今の資産は築けていなかった。
cis氏は他人の意見を聞き、投資手法を取り入れ、自分のスタイルを変化させてきたからこそ、伝説級のトレーダーとなれたのである。
cis氏の他人から学ぶスタイルは投資に限らず、ゲームや麻雀でも徹底されている。
麻雀で新しくて有効な戦術を使う人がいtら、どういう理由で打牌を切ったのか、その理由を詳しく聞きまくった。
新しい戦術で、数学的に考えても絶対に正しいだろうというようなものは即採用して、カメレオンのごとく打ち筋を変えていったのだ。
「変化を嫌がらないこと」
「他人から素直に学ぶこと」
は、cis氏の大きな強みとなっている。
自己能力と自己認識が乖離している人が負ける
cis氏は書籍の中でたびたび、
「自分を客観視することの大切さ」
に触れている。
「損切り」とは株の用語で、損失が出た銘柄をさっさと売って損を限定させる行為のことだ。
cis氏の損切りは早い。
彼の成功要因の一つは「逃げ足の速さにある」とも言われているくらいだ。
自己能力と自己認識が乖離している人は「損切り」もできない。
「俺が正しいと思って買ったんだから上がるはずだ」
と思い込んで、どんどん損を膨らませていく。
自己能力と自己認識の乖離を意識して、自分を突き放してシビアに見るスキルは成功するためにとても重要だ。
「俺ほどのいい男なんだからこの女を落とせるに違いない」
と夜のお店に通って女にお金を溶かし続けるキモいおっさんや、
「俺ほどの優秀な人間なんだから、成功するに違いない」
と思い込んで成功の見込みのない事業に金を突っ込む起業家。
損失を膨らませ過ぎてしまう人間の多くは、自信過剰であり、自己能力を客観視する能力に欠けているのだ。
成功するのは頭のネジが外れた人
cis氏は「損するのが怖い」という心理を制御しなければ相場で勝つのは難しい、と述べている。
損失を避けるのは人間の本能である。
人間は1000円を手に入れたときよりも、1000円を失ったときの方が辛くなるようにできている。
その本能のせいで、投資をしても「ちょっとの勝ちですぐに利益を確定し、負けている投資でも損を確定させることができない」という行動を選択してしまう。
そのような心理を制御することが、相場で勝つためのコツであるとcis氏は主張する。
「損するのが怖い」という遺伝子レベルで組み込まれた本能を制御するには、頭のネジを外し、脳をバグらせる必要がある。
孫正義のようなすごい起業家も頭のネジを何本も外して、リスクを取ったからこそ成功したのだろう。
関連記事:孫正義の大学時代がチートすぎる件
「損することへの恐怖」を克服することはすなわち、リスクを受け入れることでもあるのだ。
多くの人がこの本能を克服できないからこそ、チャンスが広がっている。
楽しくて仕方ないことをやろう
「無限に努力していれば、たいていの人には勝てるようになる」
というのは『一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学』の179ページに書かれた見出しのタイトルである。
努力とリターンのスパイラルは存在する
勉強すれば勝つ。
勝つと気分がいいからさらに勉強する。
すると、ますます上達して、さらに勝つ。
これは勝負事に限らず、かなり幅広く見られる法則だと思う。
「好きな分野で努力を続けていれば、何年後化にはたいていの人には勝てるようになるものじゃないかとも思う」というcis氏の主張には同意する。
ただし、好きでもなく、自ら進んで研究したいと思えるような対象でないと、何年やっても上達はしない。
嫌々会社に通って毎日仕事をしても決して一流になれないし、毎日惰性で料理を作っても一流シェフにはなれない。
その道で成功するためには、
「自分が好きな分野で」
「自ら動いて研究し」
「努力を何年も続ける」
必要があるのだ。
ただのお勉強でもいけない。
受験勉強のように苦痛を感じるものを何年も続けても結局花開くことはないだろう。
自分が夢中になれて、毎日学びたくて仕方なくなるようなものを努力の対象とするのがいい。
そしてその努力の対象を商品として売ったり、お金に変えられるならば、それで食っていける。
cis氏にとってそれは投資だった。
僕たちにとって、それは何だろうか?
関連記事:人生100年時代は「好きなことで生きていくしかない」という現実を考える
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