バフェットコードさんの紹介で話題になっていた『マネタイズ戦略』を読んでみました。
これめちゃくちゃおもしろいな!
— バフェット・コード (@buffett_code) 2018年12月28日
Netflixの日本攻略作戦はテレビのリモコンにNetflixボタンを埋め込むこと。
そのためメーカーにリモコン製造費の10%を負担することを提案。
リコモン原価は100円→Netflix負担は10円。
2015年のテレビ出荷数は250万。
わずか2,500万円で貴重なリモコンの面が取れた! pic.twitter.com/fj4PeGhsi0
この本は読み進めるとものすごく残念な気持ちになります。
これほど日本語が読みづらい本は初めて見たからです。
テーマも良い。
伝えたい内容も良い。
それなのに文章が微妙すぎて、内容がなかなか頭に入ってこない。
本当に残念な本です。
句読点の打ち方が不自然で、語尾は「〜である」の連続。
文章のつなぎ方がおかしく、前後の文脈がつながらない。
そんな些細なことが気になりすぎて、せっかくの素敵なコンセプトが全然伝わりません。
これは編集者の責任です。
たとえば、19ページの以下の文章。
尖った価値提案をしているにもかかわらず、マネタイズもそれに合わせることで、はじめてイノベーションが実現することがおわかりいただけただろう。
「〜にもかかわらず」のあとは、「うまくいかなかった」のような、マイナスの意味の内容が書かれるのが普通です。
「猛練習したにもかかわらず、失敗した」
みたいに。
あるいは、「関係なしに」という意味で書くならば、
「合否にかかわらず、報告する」
というように、とにかく後ろの文の内容を実施する、という使われ方をします。
「失った価値提案をしているのもかかわらず、はじめてイノベーションが実現する」
だと何がいいたいのかわかりません。
編集者はちゃんと文章を読んだのでしょうか?
次に20ページ冒頭の文章。
マネタイズは新たなビジネスを実現するうえで重要である。
ただし、マネタイズを単独で考えることは危険である。
マネタイズは顧客価値提案を支え、時には価値提案の新たなブレークスルーのために用いられるべきである。
語尾に「〜である」が三回連続で使われています。
名著『新しい文章力の教室』のCHAPTER2 「19. 文末のバリエーションに気を配る」でも紹介されていますが、文末の重複が3回も続くと小学生の作文のような印象を与えてしまいます。
文末表現は文章の印象を左右する重要な要素です。
編集者はちゃんと文章を読んだのでしょうか。
著者の川上さんはせっかく鋭い分析をして、面白い事例をたくさん引っ張ってきてくれているのに、文章が気になって内容が頭に入ってきづらいのは本当にもったいないことだと思います。
新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング できるビジネスシリーズ
- 作者: 唐木元
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川上昌直先生のホームページにあるコラムを読めば、文章が得意でないことはすぐにわかります。
たかがブロガーが調子に乗って有名教授を批判するな!と怒られそうですが、川上先生のコラムをいくつか読めば、僕の言いたいことも伝わるはずです。
どのコラムも日本語が壊滅的におかしいのです。
NETFLIX、Amazonプライムビデオ、HULU、、、この3つの動画サービスに加入しています。映画ビジネスを題材とすることも多いので、オリジナル作品を見たりしながら、またユーザーインターフェースを比較しながら、毎日アクセスしています。
そんな人より多く映画をみているぼくですが、わざわざ映画館に行くことが最近増えています。週1平均です。笑。とくに最近はここしか行ってません。。。
http://masanaokawakami.com/column/business/2018/04/toxicity_imax_theater/
「ここ」の指示語が何を指しているのか、続く文章を読まなければわかりません。
サービス名の固有名詞の綴り(HULU→Huluなど、大文字小文字の区別)にはもっとこだわりましょう。
上記の文章は以下のように書き換えることで、より意味が伝わりやすくなるように思います。
「私はNetflix、Amazonプライム・ビデオ、Huluを利用しています。
映画産業を題材とする研究も多いので、動画配信サービスを作品の鑑賞に利用しているのです。
各サービスのUIの比較もサービス利用の目的の一つです。
このように映画鑑賞にネットを利用することの多い僕ですが、最近は週に一度、映画館に足を運ぶことにしています」
自分の文章が正しいと言う気は全くありません。
ただ川上先生の文章はあまりにも稚拙で、読んでいて本当に苦痛です。
よく調査していて、ちゃんと学ぶことができればきっとものすごくタメになるはずなのに、どうしても日本語が気になってしまう...!
もったいない!
人間には得手不得手があるので、川上先生が無理に文章を書かれる必要はないんです。
今では編集者がゴーストライターになって、著者の思想を伝える書籍がたくさんあります。
僕はゴーストライターを使って似たような本を大量に出版する昨今の風潮はあまり好きではありません。
読者に対する裏切りのように感じていたからです。
しかし川上先生の場合は別です。
先生の素晴らしい研究をもっと世に広めるためには、文章を得意とするライターとタッグを組み、研究成果を「伝わりやすい日本語」に翻訳してもらうべきだと考えます。
先生の負担を減らすことにもつながりますし、読者も先生の研究を理解することに集中できます。
ぜひ先生の研究を、わかりやすい日本語で伝えてほしいです。
別の著書も必ず購入します。