ネットでは常に何かに怒っている人がいて、文句をつける対象を探し続けている人がいる。
その人達は誰かの言葉の粗を探し、気に食わないものを見つけると反射的に攻撃することが癖になっている。
ツイッターはかつてなく炎上しやすい環境になっていて、そこには色々と理由はあるけれど、以下のような流れが生まれやすくなっていることが上げられる。
「炎上の旗手」のようなアカウントが炎上対象を見つける
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「炎上の旗手」の周りには炎上を待ち望む民が集合しているので、餌を見つけたピラニアのように生き生きとかじり始める
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「怒っている人を見て一緒に叩きたくなる人」が集まる
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結果、大炎上となる
最近はとにかく「ネット言説の許容レベル」が下がっていて、発言に気をつけないとすぐに炎上する。
しかしもし炎上してしまっても、ほとんどの炎は二日後には沈静化するのでそれほど気にしなくてもいい。
炎上が大きな問題となるのは多くの場合、炎上の後始末に失敗したときだ。
それを防ぐためにできる一番手っ取り早い手段は「さっさと謝ること」である。
言い訳をしたり戦ったりすると、問題が大きくなる。
文句をつけられた人との1対1の戦いではなく、炎上の背後にはたくさんの「人を殴りたい人」が控えていることを忘れてはいけない。
...と、ここまで読んでお気付きかと思うが、僕がこういう記事を書くときはたいてい自分が炎上したときである。
関連記事:ツイッターで他人に怒られたときの対処方法
呑気に何も気付かずにサウザーさんのツイートをリツイートしてたら、自分自身がフルボッコにされていた。
「攻撃してくる人は暇な人」
— サウザー (@Fist_of_Phoenix) 2019年1月5日
とは、元ローソンの社長で今は確かサントリーの社長をしている新浪剛史さんのお言葉である。
自分の仕事が充実しており、自分やチームの成長を感じ、将来の展望にワクワクしながら生きている人は、毎日が忙しくて他人を攻撃してる暇なんか無いって事だな。肝に銘じておけ。
フォローされている人以外からの通知を切っているので、「場外から叩きにきた人」の声はエゴサしないと気付けないのだ。
今回の炎上は、不用意に発した福岡女子の話題に便乗したツイートである(リプされた方に「迷惑だから消しなさい」と指導をいただいたのでツイ消し済み)
TLに「福岡の女の子は最強」と流れてきたけど、全く異論がない。その通りだ。
— ヒデヨシ (@cook_hideyoshi) 2019年1月4日
・かわいい
・性格良い
・方言に癒される
・古き良き時代の女
・東京みたいに金や企業名にガメつくない
・ご両親が九州ならではの男尊女卑的なパターンが多いせいか、なぜか優しい子が多い
・ただしモテるのは強いヤンキー
失敗も人生の一部なので、読者の方には僕と一緒に学んでほしい。
実はこのツイートを発信する直前、眠い目をこすりながら僕は2分くらい迷っていた。
「男尊女卑」という単語を入れると絶対に炎上するな、と。
「男尊女卑」の元は僕が実際に福岡の女の子と会話していたときに、
「福岡の女の子は亭主関白な家庭で育ってるから尽くす子多いよ!私おすすめだよ!」
みたいなことを笑いながら話していたのが記憶の奥にあって、ツイッターの福岡美女の話題によってその記憶が掘り起こされたことがきっかけである。
今思えば「亭主関白」という単語を使えばよかったと悔やまれて仕方がないが、過ぎたことは仕方がない。
それで、最初にふと頭に浮かんだのは、
「九州の女の子は男尊女卑的な家庭で育ったことが原因なのか、付き合ったら尽くしてくれる子が多い」
という文章だった。
まぁ福岡の子との会話をほぼそのまま文章にしたものだが、こんな文章を書くと100%炎上する。
「炎上しないライン」を狙ってどれくらい表現を丸くしたらニュアンスが伝わりつつ、怒られないかを苦慮した結果、
「ご両親が九州ならではの男尊女卑的なパターンが多いせいか、なぜか優しい子が多い」
という表現に落ち着いたのである。
そしてその目算は甘かったと言わざるを得ない。
ツイート後12時間くらいは炎上せずに通常航海していたものの、拡散したタイミングでキレる系のアカウントの人々に捕捉され、
気付いたらbioに「フェミ」と書いてあるアカウントとか、いつも誇り高く誰かと戦ってる感じのアカウントの人にめっちゃ怒られてしまっていた。
それほど悪気はなかったものの、他人を怒らせてしまったことを反省はしている。
ネットで「ジェンダー」に触れるときは表現に注意し、その上で「男が上、女が下」みたいなニュアンスの用語は使わないように気をつけなければならないのだ。
関連記事:ネットの文章が誤解されやすい理由と、イメージコントロールの大切さについて
それで、読者の方に一緒に考えてほしいのは「発信したい内容」と「炎上リスク」のバランスについてだ。
炎上リスクを100%避けるには、耳障りの良いことだけを呟くしかない。
「仕事を頑張ったら報われた」
「愛は地球を救う」
「月が綺麗ですね」
など。
あるいは、「オピニオンツイート(意見を発信する)」を封じて、「面白ツイート」だけに絞るのも良い。
しかし面白ツイートに絞るにはセンスが必要で、僕にはそのセンスが全く足りない。
ツイートの種類を思いつきで分類すると以下のようになる。
- オピニオン
- 面白
- 役に立つ系
- 恋愛ネタ
- 報告
- ビジネス
- ディス
- 画像(テレビ・漫画など)
- ただのつぶやき
そのうち炎上するのはオピニオン系のツイートである。
一部の人は不特定多数に向けて発信した内容を「自分事」として捉えてしまう習性があるので、そこで「失礼だ!」と怒ってしまうのだ。
こんな風に自分が日本人のくせに
— ヒデヨシ (@cook_hideyoshi) 2018年12月1日
「日本の男はクソ。外人は最高♡」
みたいに言ってる女の顔はだいたい『モアナと伝説の海』の主人公に似てるし、日本では全然モテずにまともな男に相手されなかった可哀想な人 pic.twitter.com/gkPPghlDRj
上のツイートもオピニオン系のツイートで、「自分がディスられている」と感じた人に怒られてしまったのだ。
ちなみに怒っている人は何を言っても怒る。
怒り続ける。
ネットで怒っていた人がもしこの記事を見つけたとしたら、おそらく記事の一部をスクショし、
「何もわかってなくてウケる。そういうことじゃねえんだよww」
とツイートし、仲間からのファボを満喫するに違いない。
お前は一体何と戦っているんだ...。
ネットで炎上しやすいネタ
ネットで炎上するネタは決まったパターンがある。
- 男女ネタ
- 学歴ネタ
- 年収ネタ
- 社畜ネタ
- ブラック企業ネタ
- 痛客ネタ
- 韓国ネタ
- 中国ネタ
などである。
炎上しそうなネタについて発信するときは、
- 表現を丸くする
- 表現をぼやかす
- 使う単語を無難なものに入れ替える
などのテクニックが使えるが、これをやりすぎるとツイート自体のトゲがなくなり全く面白くないものになってしまう。
インターネットの炎上許容度が下がると、必然的に許される表現の幅が狭くなってしまうのだ。
昔はテレビやCMで表現に何か問題があったときでもお茶の間でごくごく一部の人が怒るだけで済んでいた。
しかし、今はインターネットで誰もが発信できる時代だ。
インターネットは怒りを増幅させてしまうのである。
インターネットで怒っている人の半分以上は、誰かが怒っているのを見て怒りを誘発されている。
無意識に誰かの怒りに乗せられてしまっているのだ。
それが自分にとって何の得にもならなくてもだ。
炎上しやすい環境の中では、個人の発信者としては、
「炎上リスク」
「予測できる炎上規模」
「自分が許容できるリスク」
などと「自分が発信したい内容」を天秤にかけて、表現を工夫していくしかない。
ちなみに最も炎上しやすいウェブサービスはツイッターで、理由は手間を掛けずに人を殴るのに便利だからである。
ツイッターで炎上したものと同じ内容が雑誌に書かれていてもまず炎上しないし、書籍が炎上するケースはさらに少ない。
多くの炎上はツイッター上で行われて、ツイッター上で完結しているのだ。
基本的には炎上してもそんなに大きな問題にはなるのは稀なので、あまり気にしないでやってほしい。
少なくとも僕の実生活にはさほど悪影響は出ていない。
ちょっとドキドキしたくらいだ。
外から他人に汚い言葉を投げてくるタイプの人は、一度糞を投げたらスッキリして次の攻撃対象を探し続ける。
彼ら彼女らが求めているのは、「気軽な憂さ晴らし」であり、「同種の怒れる人々からの承認」であり、「自分の正義を行使して他人を屈服させること」なのだ。
彼ら彼女らが承認され続けるためには、回遊魚のようにネットの海を周り続け、怒り続けなければならない。
餌を見つけるやいなや、対象に噛みつくインターネットピラニアに消滅させられることを避けたい人は、これまで書いてきたように以下の3点に気をつければいい。
- 可燃性のネタ選択の注意
- 表現の工夫
- 炎上後の対処
自分の発信が炎上するかどうかを予測するのは非常に簡単で、慣れれば誰でもできる。
予測の精度は徐々に高めていけるので、炎上をなんとしても避けたい場合は「自分の表現の危険度」の上限を低く設定して、表現を丸くすればいい。
予測と表現のすり合わせに失敗したら今回の僕のように炎上するが、予測した上でツイートしていれば致命傷は避けることができる。