「起業して生き残る確率の低さ」に惑わされてはいけない



軽く検索してみたところ、起業して10年残るのは3〜5%。
1年で30%が消え、5年で85%が消えるのだそうです。

このような話を持ち出して、

「起業してもほとんどの人はうまくいかない。だから余計なことはせずにやめておけ」

と多くの人が言います。

生き残る確率はとても低そうに見えるし、とても難易度が高そうに見えます。

一旦起業の話は横において、他の「確率」を見てみましょう。

僕は学生の頃、2ヶ月くらい勉強して簿記2級を取ったのですが、簿記2級の合格率は平均して20%くらいです。
同じく学生の頃に取った「応用情報技術者」なる試験の合格率も20%です。

起業して1年後に生き残る確率よりも低そうですが、難易度が高いかと言われると、全然高くないですよね。
なんでこんなに合格率が低いかというと、受験者の中にやる気のない人がたくさん混じっているからです。

申し込んでみたものやる気がなくなって受験しなかった人や、たいして勉強しないで受けるだけ受けて帰った人もたくさんいると思います。
そういう人が合格率を下げているのです。

みんなが知ってる超難関資格、公認会計士の合格率は約10%です。
みんな知らないIT系の資格、システムアーキテクトの合格率も約10%です。

「合格率が10%だからシステムアーキテクトの難易度が公認会計士並に難しいのだ!」などと言うと、少しITをかじったことのある人だったら失笑するでしょう。合格したことのある人が話を聞いても「公認会計士と比べないでくれよう」と苦笑いすると思います。

なぜ合格率が低いのかというと、全然試験勉強もしないで受けている人が多いからです。
受からなくても失うものはなく、業務の片手間のスキルアップで受けている人がメインだからです。

一方で公認会計士試験を本気でもないのに受ける人は多少はいるかもしれませんが、システムアーキテクトに比べると圧倒的に少なく、多くの人は人生を賭けて受験しているはずです。

金融庁の調査によると受験者の70%程度は学生であり、学生の時間の全てを投入して勉強し、試験に臨んでいます。

落ちて何も失わない社会人が片手間で受けるIT系の試験と本気度が違うのは当然です。

同じ合格率だからといって、受験者の本気度が同じとは限らず、当然試験の難易度が同じでもないわけです。

「やる気のない人」がどれくらい確率を下げているかは「合格率」からはわからないんですよね。

同じように、起業に関しても「本気でやってない人」が一定数含まれているはずなので、

「1年で30%、5年で85%が消えるよ」

と言われても、その難易度の高さを測る指標にはならないのです。

「どれくらい成功するのか」を本当に知りたければ、自分の時間を全て投入して、友人と会いもせず、無駄遣いもせず、人生を賭けて本気で挑戦した人がどれくらい生き残っているのかを調べたいところですが、「起業した人のやる気」までは「生き残る確率」からは見えません。

起業に限らず、「合格率」とか「成功率」は様々な場面で語られますが、「人のやる気」はまちまちで、「本気の人だけの成功率」は統計からはよくわからず調べられてもいないので、「成功率が低いから」は本気で何かにチャレンジしたい人を止める理由にはならないのです。


とまあ、僕が突然こんなことを語りだしたのは与沢翼さんの『ブチ抜く力』を読んでいたからです。
第2章「ビジネスの法則」で与沢さんが大学時代に参加したベンチャービジネスコンテストの話が紹介されています。

ベンチャービジネスコンテストに参加した5000名のうち、与沢さんが知る限りでは起業して生き残っているのは数名だけだそうです。
他の5000名弱が才能がなかったのかというと、当然そうではないと与沢さんは述べています。

才能がある人でも「起業」という正解の用意されていない世界に放り出されるのを恐れ、商社や大手メーカー、金融機関のような誰もが「すごいね」と言いそうな有名企業に就職していったのではないかと。

それでその項の最後に、起業の成功率は1割と言われているけど、そんなに低くないよ、本気でやった人の半分くらいはうまくいくというのが私の本音です、と語っています。

「確率で考えたらもはや何も挑戦できなくなる。
やる気のない人が混じった数値に惑わされてはいけない」

ということです。


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ブチ抜く力

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