情報商材屋の悪質な手口。ネットの怪しい高額商材はなぜ売れるのか



インターネットに怪しい情報商材屋が増えています。

きっかけはnoteの流行でしょう。

noteは「クリエイターを支援する」という理念の元、直接課金ができるシステムを作り上げてきました。
クリエイターが音声、動画、テキスト、写真(画像)をnote上で直接販売し、note以外の流通業者を中抜きされることなく、クリエイターのもとに直接お金が入る仕組みになっています。

印税率が10%程度で、本を書いても著者に10%程度しか印税が入ってこない書籍に比べ、noteは手数料が15%なので、85%弱が著作者の取り分になります(出金には手数料がかかるらしいです)

クリエイターにとっては素晴らしい仕組みでしょう。

しかしその課金の手軽さから、情報商材屋が大量に参入してきました。

情報商材屋にとって一番難しいのはターゲットのクレジットカード情報を登録させることです。

noteの場合は一度クレジットカード情報を入力すれば後はクリックひとつで課金できてしまうので、情報商材を買わせるハードルが大変低くなっています。

これまで優秀で優良なクリエイターによってnoteの信用が築かれてきたため、我々消費者はnoteを信用してクレジットカード情報を登録しています。

そのプラットフォームに便乗した怪しい情報商材屋が「俺の秘密の情報を買えばお前も金持ちになれる!」と情報弱者を煽り、金を巻き上げていったのです。

最初に断っておきますが、怪しい情報商材と優良な情報商材を見極めるのはとても難しいです。

特にnoteは雑誌の袋とじと同じで、立ち読みができません。


ツイッターで流れてくるのはポジティブな情報ばかりなので、正常なレビュー機能が働きません。

「アマゾンで全てのレビューがステマ」みたいな状況がまかり通っているのです。


恥ずかしながら、僕自身なんでも信じてしまうし乗せられてしまうしで、変な情報商材に簡単に引っかかってしまっています。

それでも何度もクソ情報に騙されると学習できます。
「これはさすがに怪しいかな」と思える情報商材の特徴はなんとなくわかるようになってきました。


そもそも僕自身が怪しげな存在なので、怪しい人はなんとなくわかるのです。

悪は悪を見抜くというやつですね。

この記事では情弱の極みに立ち情報商材屋に踊らされ続けてきた僕の知見を共有します。

本当に楽して儲かる情報があるなら誰にも言わない

手垢がつくほど色々な人に言われてきた言葉ではありますが、本当に楽して稼げるビジネスがあるなら誰にも教えません。

当たり前すぎるほど当たり前なんですが、「誰かに儲ける方法を教える」ということは、「ライバルを増やす」ということです。

富は無限には存在しないので基本的にはパイの奪い合いとなります。

どうして自分だけが知っているはずの秘密の富の源泉を誰かに教えて、取り分を減らすような真似をするのでしょう。

慈善行為ではなく、お金を受け取って富の秘密を教えるのはなぜ?

答えは、「楽して儲ける方法はない」からです。

本当に儲かる裏技的な手法は、必ずオフラインで共有されます。
秘密を守れるごく一部の人たちだけに共有されます。

ネットで公開されている「あなたも稼げる系」の情報商材は存在自体が矛盾しているのです。


世界最高の投資家ウォーレン・バフェットは

「ポーカーをやり始めて20分たっても、まだ誰がカモかわからない人は自分がカモなのだ」

と言いました。

いつの間にか自分がカモになっていないか、冷静になって考えてみましょう。

抽象的かつ自己啓発的

f:id:hideyoshi1537:20190411133544p:plain

情報商材屋のわかりやすい特徴は、その発信内容に具体的な体験の記述が全く無いところでしょう。

「思考は現実化する」
「GIVEこそが大事。ギバーであれ」
「これからの世の中(時代)はこうなる」

みたいな、自己啓発本に書かれている内容を10分の1くらいに薄めた内容をツイッターで連発している人には警戒しましょう。

具体性のないふわっとした発言を見抜くためには、あえて自己啓発本を何冊も読んでみるのがいいと思います。

僕は自己啓発本を読みまくってきたので、情報商材屋が自己啓発っぽいことを語っていると出典がわかります。

いま世の中に出回っている自己啓発本のほとんどは、デール・カーネギーの『人を動かす』などの古典的な自己啓発本に書かれている内容の焼き回しです。

歴史の洗礼を受けてなお読み継がれている古典は大変価値のあるものだと思いますが、書店で平積みにされている一夜漬けの栄養ドリンク的な自己啓発本は読んでも残るものはあまりありません。

書店に並んでいる平積みの本と同じように、情報商材屋のふわっとした意識高い言葉にも価値がありません。

具体的な体験を語る人を信じましょう。

責任感がなく簡単にやめる

「人生が変わる」
「僕についてくれば金が稼げる」

などと語るわりに、サロンを始めては畳み、会員を集めては解散する、みたいなのを繰り返している人がいます。

本来であればサロンの運営は大変なコミットが必要で、自分の時間の多くを投入しなければ他人を育てることなどできないはずです。
強制力がある会社でさえ、適切にマネジメントしないと人は動かないのです。

サロンの運営者的には、

「サロンを開設しておけばメンバーがコンテンツを作ってくれて、自分はプラットフォームの宣伝と管理だけやっておけばいい楽な商売だ」

とか思っているのかもしれません。


でもそういうサロンは長くは続きません。


2015年ごろから星の数ほどサロンが誕生してきましたが、続いているのはごく一部でしょう。

サロンの運営が悪だとは言いません。

サロンの中には参加者同士が積極的に交流し、新たな価値を生み出し、それを良い成長につなげているものもあります。
でも僕が見る限り、そういうサロンは必ず、オーナーが相当な力を入れて運営にコミットしています。オーナーがしっかりとサロンを育てようとしています。

ダメなサロンはオーナーが投げやりです。
サロンに対する思いやりとか愛情がなく、運営を参加者に丸投げしています。

「僕のサロンに入れたんだからいいでしょ」
「私のサロンに所属できたら満足でしょ」

という奢りが見えます。

そういうサロンは1年も保たずに過疎化してきて、人がいなくなり、オーナーのやる気がさらに無くなるという悪循環に陥っています。
サロンに参加する前に、オーナーの熱意を調べましょう。

良いサロンは必ずオーナーが本気です。
人間のリソースは有限なので、あれもこれもやっている人はサロンの運営が疎かになりがちです。
オーナーの関心がちゃんとサロンに残っているかを探ってみるのがよいでしょう。

本より良い情報はあまりない

「お金系の情報商材屋は『お金の稼ぎ方』を販売してお金を稼いでいる」

というのはよく言われることですが、情報商材に書いてあるような内容は市販の本にも書いてあることが多いです。

特にアフィリエイター界隈では「私しか知らない特別なSEOの方法」みたいなnoteがかなり高額な価格で売られていますが、まずは市販されている本を1万円くらいで手当たり次第に買ってからでも遅くありません。

代官山などのTSUTAYAが併設されているスタバに行けば、TSUTAYAの本をじっくり立ち読みすることもできます。
noteを買うのは市販の書籍を覗いてからでも遅くありません。

著者が長期間の労力をかけ、編集者が念入りにチェックした書籍の方が、一人でサクッと書いたnoteよりも価値が高くなる確率は高いです。

書籍に比べて情報商材的なものに価値があるとすれば、それは情報そのものではなく、

「著者と直接会える」
「著者の声が聞ける」

機会にあると思います。

「情報だけ売って稼ぐ」という情報商材屋のビジネスとは基本的に対立する考え方ですが、結果を残している人に直接会ったときに受ける衝撃は圧倒的です。腹の底からモチベーションが湧いてきます。

人に直接会って話を聞くことで、脳のリミッターが外れるのです。

「尊敬する人を直接見て衝撃を受ける」
「なりたい人の声を聞いて刺激を受ける」

こればかりは書籍やウェブではどうにもなりません。

動画で見てもダメです。動画を通じて見ているのは人ではなく映像だからです。自分の目で、直接、動いている人を見るのが大事です。

サロンに入るなら、情報を買うのではなく、「憧れの人に会える機会」を買うつもりで入るのがよいでしょう。

その人がオフレコでポロッと話してくれる雑談や滲み出る価値観の欠片にnoteの価格以上の価値があります。

情報は自分で試す

SEOの方法でもブログで稼ぐ方法でも転売でも何でもいいのですが、noteで情報を買うだけではなく、自分で試すことがとても大事です。
特に会社員は普段全然時間がないので、情報をストックするだけストックして実践がおろそかにしてしまいがちです。

情報商材に限らないのですが、

情報を得る→実践する→フィードバックを得る

のループを回していかないと何も身に付きません。

一番面倒なのが実践で、一番効果があるのも実践です。

残念ながら時間がないと後回しにされがちなのも実践です。

限定販売に踊らされない

「ノウハウをあまり広めたくない」という意味でnoteを限定販売するのはわかりますが、往々にして値付けが強気です。
限定販売にして、10部ごとに値段を釣り上げていく手法は情報商材界隈では当たり前のようになってきており、またその方が売れるのも事実です。

最近は手法も多様化してきており、一日限定で無料で公開し、評判が集まったところで有料化、あるいは限定化するパターンも見られるようになりました。

良く言えば賢く、悪く言えば姑息なやり口ですが、買う側としては一旦冷静になりましょう。
買わなくてもそんなに損することもないし、買ったからといって人生は変わりません。

10部限定でその人に会えるとかだったら高い金を出す価値はあると思いますが、10部限定の情報に人生を変えるほどのパワーはありません。

全く意味のない余談ですが、10部限定で小倉優香ちゃんに会えるとかだったら僕は迷わず5万円くらい出します。

人は「楽に稼げる」に抗えない

最初は真摯に情報発信していた人も、情報商材で楽に稼げることがわかってしまうとだんだんと呪いにかかってきてしまいます。
「楽をしたい」という呪いです。

ネットでも書籍でもサロンでも同じですが、情報の販売はその人の評判によってレバレッジがかかるため、少ない労力で仕上げたものに高い値段がつきます。

最初の作品は情熱を込めて作っていた人でも

「自分の評判を武器にすれば楽にお金が稼げる」

と気付いてしまうと、楽な道から帰ってこれなくなります。

そうやって粗悪な商品を信者に販売し、荒稼ぎして、少しずつファンを減らしていきます。

いわゆるネット芸人の焼畑農業的商売です。

焼畑はインターネットに限りません。

本の著者でも出版に慣れてくるとだんだんと手抜きするようになって、四作目、五作目からは同じような内容を繰り返し出版するようになる...というのは、20年前のカツマー全盛時代から繰り返されてきました。

最近ではゴーストライターに本を書かせて、有名人の名前だけ借りて売っている本が大量に出ています。

「この人、なんか出版のペース早いんちゃうか?」と思ったら、著者が「手抜きの呪い」にかかっていないか疑ってみましょう。

手抜きの呪いにかかってそうな人の情報にお金を出すのは控えましょう。

嘘を完璧に見抜くのは難しい

2019年1月に「脱社畜正田圭事件」が起こりました。
脱社畜サロンを運営していた正田圭さんの経歴がおかしいんちゃうか?とネットで大騒ぎになった事件です。

僕は以前、正田圭さんの本を紹介する記事を書いたこともあり、正直複雑な気持ちで界隈の騒ぎを眺めていました。


情けない関連記事:正田圭さんの「サクッと起業してサクッと売却する」が会社員の僕にグッと響いた


正田圭さんの事業規模については疑惑が残っていますが、

「会社を作って売却する」

というやり方があると知ることができたのはよかったと思います。

インターネットや書籍の経歴は自己申告なので、最初から疑ってかかると全てが信用できなくなってしまいます。
特に匿名アカウントだと何が真実なのかわからないため、嘘を完璧に見抜くのは難しいのです。

それでは、できるだけ騙されることなく嘘を見抜くためにどこに着目すればいいのかと言うと、

「その人の発言が論理的に正しいと思えるかどうか」

ではないでしょうか。

「なぜそうなのか」
「どうしてそう考えているのか」

をちゃんと説明できているのが大事です。ビジネスでも同じですね。

あとは、継続的に発信しているかどうかも大事です。
継続によって信用が溜まってきている人はそもそも嘘をつくインセンティブが高くありません。

嘘のコストは非常に高く、積み重ねた信用が一気に崩れてしまうリスクもあるからです。

なので、

「その人が長期間ネットで徳を積んできているか」

に着目すれば、失敗は少なくなると思います。
僕が語ってもあまり説得力ないですが。

それでもお金儲けは悪ではない

情報商材の印象が悪いせいで、「お金儲けが悪い」という印象が広まっている懸念があります。
お金儲けは悪ではありません。

情報に相応の対価を払うことは間違ったことではないですし、僕たちだって普段、新聞や雑誌をお金を出して買っています。

値段の付け方や売り方がおかしくなっているから批判が出るのであって、課金そのものが悪いわけではないのです。

情報を売る側が一番に考えるべき点は

「買った人のお得感」

なのではないでしょうか。

この情報を買ってよかった。
この値段でこれだけの情報を知ることができてよかった。

そう思えるものを適正な価格で提供すれば、情報商材への批判など出るはずがないし、仮に批判が出たとしてもそれはただの嫉妬であって、お得感を感じた消費者がちゃんと反論してくれます。

結局、「良いものを作って相手を喜ばせること」が大事だということです。