後悔しない本の買い方・選び方



先月から1年以上読まなかった本を大量に処分しています。
先月は段ボール4箱分、今月の初めにまた段ボール2箱分、そして今週また、段ボール3箱分の本を詰め込んでいます。

本棚は3つ、カラーボックスは4つ捨てました。
それでもまだ本棚が4つ残っていて、まだそれなりの量の本が部屋にあります。

Amazonの注文履歴を眺めると、自分がどれだけ多くの本を買い漁ってきたのかがよくわかります。
どれだけの本を読まずに放置してきたのかも。


一度本棚から本を取り出して床に並べてみると、3年以上前に買って1ページも読んでいない本や、今年の初めに買ったはずなのに存在を忘れていた本が何冊も見つかりました。


ツイッターで誰かが本をおすすめしているのを見るたびに

「本は最高の自己投資!気になった本は迷わず買え!」

を信念に、一切迷うことなく本を買い続けてきました。
そんな風に何かを期待して買った本で、最後まで読み切ることができたのは1割程度しかありません。

というのも、一冊の本を読んでいる途中で次から次へと別の「欲しい本」が出てきてしまうからです。

「新しい本を買っては1章だけ読む」を繰り返しているうちに、どれも「1章だけしか読まずに放置」してしまいました。

本を買うのは簡単ですが、本を最後まで読むには時間がかかります。

僕はその時間を少なく見積もりすぎていたのです。
そして自分の能力を過信しすぎていたのです。


本を買うのは気持ちが良い行為です。

「この本を読んだら成長できるかも」
「違った自分になれるかも」

と期待して、本棚に並べただけで「頭が良い人」になれた気がします。

これまで何度も何度も衝動的に本を買い、たくさん失敗してきました。

本の衝動買いの失敗に関しては、並ぶ者のないほどの経験を積んでいます。

「積ん読の王」と名乗っても許されるくらいです。


偉い人や賢い人は「良書の選び方」とか「死ぬまでに読んでおきたい名著10冊」みたいなのは教えてくれるかもしれませんが、失敗談は語ってくれません。


頭脳マッチョは「書籍代をケチる奴は馬鹿」と煽って、買った本は全て読みこなせるかのように語りかけてきますが、普通の人は月に何十冊もの本を読み切るのは無理です。

さらに言うと、1回読んだくらいでは本の内容は頭に残りません。
繰り返し読まないと理解も深まらないし、覚えていられないのです。

部屋に来た女の子に引かれるくらい本を買って、多くの本を読まずに捨ててきました。
この記事では、積み重ねた失敗から学んだ「失敗を減らすための知見」を共有したいと思います。

衝動で本を買わない

まずは衝動買いをやめましょう。
今の世の中、広告に見えない広告で溢れてます。

SNSではいつも誰かが面白い本を紹介しているし、雑誌や新聞の中にも様々な本が紹介されています。
煽情的なタイトルの本が多く、タイトルを見ただけで買いたくなります。

僕の経験上、日経新聞の広告やツイッターで誰かがおすすめしているのを見て、Amazonで衝動買いした本はほとんど読み切ることができません。


「なぜ僕はこんなにも本を読めないのか...」と頭を抱えて悩んだのですが、その理由は

「今の自分に必要な情報ではないから」

です。

社会人になるとプライベートの時間が少なくなります。
夜に会社を出る頃にはくたくたに疲れていて、「今、緊急で必要ではない本」を読むほどの意志力は残っていません。

薄いビジネス本なら30分で読み切れますが、文字がびっしり詰まった厚い本はとても一日では読めません。
かといって時間をかけすぎると最初に読んだ内容を忘れてしまいます。

つまり、本をちゃんと読み切るには、

  • まとまった時間を数日間連続して確保する
  • 机に向かうモチベーションを数日間維持する
  • 難易度が高くても投げ出さない根気強さ

などが求められるわけです。

学生時代なら時間をかけて本を読むことができましたが、社会人が複数の本を読み切るのはとても難しいのです。


衝動買いの例ですが、さっきツイッターを見たらたまたま目に入ったツイートがこちらです。

ちょっと前の僕でしたら、こんな「いまだに名著」「図形的理解のアイデアが満載」などの文言を見た瞬間に迷わず買ってました。
Amazonで秒でポチです。

数学をやって損することはないし、賢くなれそうな気がするからです。
で、買って家に届いたら、「いつかやろう」と本棚にしまって、その後は開きもしないと思います。


なぜか。

今この瞬間の自分にとって必要な本ではないからです。
だから、買っただけで満足してしまう。

本を買ってしまうと、頭の奥の方でずっと「それ、読まなくていいのか?」という小さなプレッシャーがかかり続けます。
残り続けるプレッシャーのせいで気が散ってしまい、集中力が奪われてしまいます。


衝動買いは「後で読む = 一生読まない」の温床です。

「Amazonでポチる」をやめるだけでずいぶん積ん読が減ると思います。

まずは衝動買いをやめてみましょう。

衝動買いはどうやってやめるのか?

衝動は湧き上がった瞬間を叩きます。

とりあえず、すぐに効果が出た対策は「寝かせる戦略」です。

Amazonの「ほしいものリスト」に

「衝動的に買いたくなった物を一ヶ月寝かせる」

というリストを作りました。

衝動買いしそうになったら「一ヶ月寝かせるリスト」に保存しておいて、買わずに待ってください。

一ヶ月経ってもまだ欲しいと思えるかを確認してみてください。

衝動買いは衝動が発生した瞬間を抑えることができれば、冷静になれます。

時間を置いてよく考えましょう。
一ヶ月経ってもまだ欲しい本は、きっと僕たちにとって必要な本です。


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10〜15分、立ち読みする

本は立ち読みしてから買いましょう。
「自分にとって良い本」を判別するためです。

良い本を教えてくれる人はたくさんいます。
でも、

  • 自分にとって良い本
  • 誰かにとって良い本
  • 大勢の人にとって良い本

はそれぞれ違います。

ベストセラーだからといって自分に響くわけでもないし、偉い人がおすすめしていたからといって自分が読みたくなるとは限らない。

だから、立ち読みしましょう。

「自分の狭い知見の中で本を選んでいると知識が広がらない」

と言う人もいると思います。

もっともです。
誰かがおすすめしていた本も、本屋で立ち読みしましょう。
それか図書館に行きましょう。


誰かの意見を参考にするのはいい。
でも、誰かの意見を鵜呑みにして、自分の目を通さずにAmazonや楽天で買ってしまうと、

「人がおすすめしてたけど残念ながら自分には合わない」

と後悔することが多々あります。

それに本屋に行けば興味がある分野の本が並んでいて、色々な本を読み比べることができます。
売れている本もわかります。

買った本を読み切る労力に比べて、本屋に足を運ぶ労力は小さいです。
面倒臭がらずに本屋で立ち読みしてみてください。

僕はこれまで「本屋に行く時間がもったいない。本は迷わずAmazonで買えばいい」と考えていました。

いま冷静に考えると、本屋に行く時間よりも一冊の本を読むために費やす時間の方がずっと大きいです。
また、買った本が読まれずに眠っている時間も相当長いです。

本屋に足を運ぶ労力は無駄ではありません。
むしろ無駄な時間を削減するための努力です。

立ち読みは「助走」です。
買う前に立ち読みして期待感を醸成しておけば、家に本を持ち帰ったときにその勢いのまま読めます。

助走をつけて本を買いましょう。
10〜15分間、立ち読みでも読み続けたくなった本であれば、きっと家に帰ってからも開きたくなります。

著者の知能を評価する

こう書くと偉そうに思われそうですが、著者の知能を批判的に評価して、「読まない理由」を探しながら立ち読みしましょう。
僕も含め、多くの人は「わざわざ本屋に本を買いに行く」となると「買う理由」を探してしまいがちです。

買い物はそれ自体が気持ちの良い行為ですし、本を買えばそれだけで賢くなれそうな気がするからです。

でも実は、本の中には「とりあえず出しとけ」みたいなノリで書かれたものがたくさんあります。

タイトルは魅力的だけど、開いてみたら中身がスカスカだった本。
著者の主張の論理が意味不明な本。
独りよがりな本。
編集者が著者の名前だけ借りて適当に書いた本。


中身がない本は実はめちゃくちゃたくさんあります。

昔は「本になってるくらいだから大丈夫だろ」と思ってました。
本は編集者が労力をかけて編集している。だから店に並んだ本は信用できるって。

それ、間違ってます。

編集者がいても薄い本は薄いです。
有名人の名前を借りて、適当なライターに書かせた本が大量にあります。

こういう駄本はAmazonの立ち読み機能だけでは見極められません。

本屋に行って、自分の目で判断するしかありません。

「こいつ、もしかしたら阿呆なのか...」

と少しでも違和感を覚えるような本は買わない方がいいです。

以前は本を書く人はみんな立派で、賢く、すごい人だと思っていましたが、長年失敗し続けていると、

「書籍の形になっているからといって、正しい内容とは限らない」

と感じるようになります。

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時の洗礼を待つ

ネットの情報と違い、本は早く買ったからといって得することはあまりありません。

書籍の形になっている時点で速報性はありません。
なので、発売日に速攻で買って読む必要はほとんどないです。

(ブログをやっている人なら早めにレビュー記事を書けばGoogleの検索順位は上がりやすいですが、漫画以外は検索ボリュームは少ないです)

ファーストペンギンにならないようにしましょう。

良い本は時の洗礼に耐えます。

時間が経っても色褪せない本を買えば、失敗は少なくなるでしょう。

Amazonレビューが三角形になっているものを買う

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上の図の通りですが、良い本のレビューは三角形になる傾向があります。
もちろんレビューを鵜呑みにせずに立ち読みはした方がいいです。

しかし自分の経験上、三角形レビューがついた本のヒット率はかなり高くなっています。

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凹型レビューの本は警戒しましょう。
良いレビューを書いているのは信者だけ、というパターンがけっこうあります。

凹型では悪い方のレビューをよく読んでみてください。
辛辣なレビューほど、その本の実態をよく表しています。

ただし「表紙が汚れていた」「配送が遅れた」みたいな内容に関係ないレビューは当然無視してください。

レッドブル本は買わない

「30分で読めるビジネス書」が流行っています。
読んでその場でスッキリするけど、明日の自分が良くなるわけではない。

僕はビジネス本中毒になっていました。

「自由に生きろ!」
「人生の主役は君だ!」

みたいなビジネス本をたくさん読んで、気持ちよくなってました。

そういう本を読むのは間違いではありませんが、買うほどでもありません。
本屋で立ち読みしましょう。

家の本棚に30分で読める本を置いておく必要はありません。


合わない著者を見極める

「この人の本は合わないな」と感じた経験を忘れずにいましょう。
合わないと思った著者の本は、別の本でも合わないことが非常に多いです。

僕の場合は野口悠紀雄先生の本で「合わない」と感じることが多かったです。

『戦後経済史』を読んで、戦後の経済の歴史を学べるかと思いきや自分語りばかりで、

「この人の自分語りには興味ねえよ」

と本の購入を後悔していました。

懲りずに別の本を読んでもやっぱりイマイチ心に響かず、合わない人の本は「タイトル買い」を控えた方がいいのだと学びました。

もちろん、僕が合わなかったからといって他の人にも合わないわけではありません。
自分の感性を大切にしてください。

第一印象で共感できない本はどうせ読まない

誰かがおすすめしてようと、歴史に名を残した名著だろうと、自分に合わない本は結局読みません。
どんなに素晴らしい本だろうと、どんなに素晴らしいレビューがついていようと、自分に響かない本を苦しみながら無理やり読んでも頭に残りません。

それはもしかしたら「今の自分」に合わないだけかもしれないので、時間が経ってからもう一度立ち読みしてみるのがいいでしょう。

「今の自分」が共感できない本を時間を捻出して読み切るのは、忙しい社会人には正直辛いと思います。

「これは必読や!」と意気込んで買った本の大半がただの飾りになってしまいます。
読み切ることができたら絶対にタメになるとわかっていても、読まないのです。

感性が合うレビュワーを参考にする

「この人がおすすめする本は自分に合ってる!」と共感できる人を見つけましょう。
本選びの参考になります。

ツイッターでは面白そうな本を紹介している人がたくさんいます。
誰かがおすすめする本にいちいち反応していたら時間がいくらあっても足りません。

ある人が褒めちぎっていた本を読んでも全く響かなかった場合は、自分とその人の感性は合わないということです。

感性が合わない人のおすすめ本はいちいち買わないようにしましょう。
どんなにリツイートされていても、どんなにファボがついていても、「自分に合うか合わないか」の方が大事です。

あとは、自分に合っているレビュワーが勧めていたとしても、本屋で批判的に立ち読みするのは忘れないでください。

1ヶ月以内に読まない本は買わない

繰り返しになりますが、「今、自分が読みたい本」を買いましょう。
「来月読むかもしれない本」は来月また本屋に行って買えばいいです。

今日、家に帰ってすぐに開きたい本だけを買います。

本棚に大量に本を置きすぎると、「全部読むのは無理や」と脳が諦めモードになって、やる気がなくなります。

今読みたい本を買う、繰り返し読む、読んだ本はアウトプットする。

そして必要がなくなったら実家に送ったり、サマリーポケットに預けたり、Amazonで売ってしまってもいいように思います。
欲しい本がいつの間にか絶版になって後悔することもあるのですが、

「読まない本を部屋に置いておくコスト」

も地味に高いのです。

本が大量に並んでいるとそれだけで気が散ります。
余計な物はできるだけ減らし、目に入らないようにした方が集中力は高まります。

本に限らず、物はできるだけ減らした方がいいと思います。

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出版頻度が多すぎる著者は避ける

出版頻度が多すぎる著者は警戒しましょう。

「名前だけ貸して自分が書いていないパターン」
「同じ内容の使い回し」

が露骨に増えます。

本を書くのは簡単なことではありません。
自分の主張の根拠を調べ、内容を精査し、読者にわかりやすい形で伝えるために文章を推敲する。

どう考えても時間と手間がかかる作業です。
1ヶ月に2、3冊ものペースで出版している人が、まともな内容の本を書き続けるのは難しいのではないでしょうか。

煽情的なタイトルだったり、様々な分野に手を広げすぎている人にも警戒が必要です。
人間、全ての分野で専門家になれるわけではないからです。

手間と時間をかけた本が必ずしも良書になるわけではありません。
評価されるのは中身だからです。

とはいえ、手間も時間もかけずに乱発した本が良書である可能性もかなり低いです。
最初の一冊を繰り返し読んでおけば十分でしょう。

内容が薄い本を乱発する人に注意

プログラミング本コーナーを眺めると、掌田津耶乃さんという方の本が大量に並んでいます。
「プログラミング」と一言で言っても、内容は多岐に渡ります。

プログラミング言語も様々ですし、プログラミング言語の中にも様々なフレームワークがあります。
その他にもデータベースだったりクラウドだったりと学ばなければならない技術は幅が広く、それぞれの分野に専門家がいます。

その専門をまたがって、ありとあらゆる分野の本を速攻で出版するのが掌田津耶乃さんです。

彼は今流行っているフレームワークだったりキャッチーな技術に関する本を誰よりも早く出版しているのですが、ほぼ全てが駄本です。
ネットに転がっているリファレンスをまとめた程度の本です。

内容が薄くなるのは当然で、「あれもこれも一流」になんてなれません。

この方は昔からずっと同じスタンスで出版し続けてきていて、自分も何度も何度もこの人の本を買って後悔してきました。

銭ゲバ的な本の出し方をする人には注意してください。

プログラミングに限らず、バズワードを入れときゃ売れるだろ、みたいなスタンスで本を書く人には警戒が必要です。
最近であれば、AIとか仮想通貨、ブロックチェーンみたいな単語が入った本を、その道の専門家でない人が書いている場合には注意してください。

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