ちょっとした手術のために5日間ほど入院した。
読者の中に入院経験がある人は少ないかもしれないが、死ぬまでの長い人生で入院を経験する可能性もあるだろう。
「入院確率を年代別に求めてみた」という記事によると、90歳までには90.96%の人が入院するという。
人生100年時代は、ほとんどの人が一度は入院する時代でもある。
そんなみんなのために、「入院中の知見」を共有する人間が一人くらいいてもいいじゃないか。
というわけで、入院中に役に立った暇つぶしと、役に立たなかった暇つぶしを順不同で並べていく。
- パソコンで仕事ができるのは「手術前」だけ
- 缶コーヒーを飲み比べる
- 病院食は究極の楽しみである
- 談話室の漫画
- 小説は持っていっても読まない
- YouTubeは最高の相棒
- 化粧水・洗顔セットは持参したほうが快適
- 外の景色を眺める
- 手術後は能動的に考えるのは難しい
パソコンで仕事ができるのは「手術前」だけ
入院前、僕は意識だけは天よりも高いので、
「病院では一切邪魔が入らない。病院こそが理想の仕事環境だ」
と考えた。
ただでさえ重い入院グッズの中にパソコンを詰め込み、仕事に励もうとしたのだ。
この作戦は手術前に限り、ある程度成功した。
「病室の机の高さが微妙に気に食わない」などの些末な問題はあったが、カーテンで閉じられた空間で存分にパソコン作業ができた。
漫画喫茶よりは快適だ。
しかし残念ながら、手術後は全くパソコンを使わなくなった。
手術後は痛みや発熱などで全く集中できなくなるからだ。
「高い意識を保てるのは手術前まで」というのは覚えておいてほしい。
缶コーヒーを飲み比べる
入院後は自由に外出はできなくなる。
フロアの休憩室と病室、あとはトイレと風呂への往復が全てだ。
そんな生活の中で、僕が見つけた大きな喜びは、
「自動販売機の缶コーヒーを飲み比べること」
であった。
美味しいコーヒーを見つけたとき、僕は小学生が宝物を見つけたみたいに喜んだ。
しかし2日目くらいで全ての缶コーヒーをコンプリートしてしまい、無性にスタバの豆が恋しくなってしまった。
あとコーヒーを飲みすぎるとお腹を下してしまう。
入院中の下痢は辛い。
泣きっ面に蜂。病室で下痢だ。
コーヒーの飲みすぎには気をつけよう。
病院食は究極の楽しみである
入院中の一番の楽しみは「病食」であった。
めちゃくちゃうまい!
間食が封じられた空腹状態で食べる飯ほど美味しいものはない。
腹が減っていないとき食べる高級料理より腹が減ってるときに食べるコンビニの豚汁のほうが確実にうまい
— 朝倉未来 Mikuru Asakura (@MikuruAsakura) February 28, 2020
ということは腹が減っていない時に何かを食べることをやめたら人生の幸福度が上がるかもしれない
腹が減っていないとき食べる高級料理より腹が減ってるときに食べる病院食のほうが確実にうまい。
そして病院の中だと他に刺激がなく、気が散るものが何もない。
目の前のご飯に集中できるのだ。
出された食事に感謝しながら、一口ずつ大切に食べる。
こんなに美味しいものはない。
病院食は人生で一度くらい食べるのも悪くない。
みんな、もし入院する機会があったら、「食事がめちゃくちゃ楽しみで、そして超美味しく感じる」ということは覚えておいてほしい。
談話室の漫画
フロアに唯一の談話室。
知り合いがいるわけでもないので、談話室に行っても一人だ。
一人でボーッと過ごしていると、すごいものを見つけてしまった。
『MAJOR』である。
『MAJOR』とは、知る人ぞ知る伝説の野球漫画。
中学野球で右肩を壊した主人公が修行して、なんと左投げになって高校野球で復活する、という信じられない設定の漫画だ。
その後主人公はメジャーに行って左肩を壊し、今度は伝説のバッターとして復活するなどと、とにかく絶望的な状況からの復活が見ものの漫画だ。
タッチ、H2、ルーキーズ...
色々な野球漫画を読んできたが、『MAJOR』は入院中に読むのに最も適した野球漫画だと思う。
というのも、主人公が常に逆境に追い込まれるので、入院中の人間が感情移入しやすいからだ。
茂野吾郎を見て「頑張ろう」と思えるのがいい(僕の場合は頑張るほどの入院ではないが)
病院の本棚に『MAJOR』がなくてもいいように、iPadなどのタブレットは持っていったほうがいい。
手術後はとにかくやる気が出ないので、パラパラ眺めるだけで楽しめる漫画はめちゃくちゃありがたい。
ちなみに僕はiPadでワンピースと鬼滅の刃を30巻分くらい読んだ。
小説は持っていっても読まない
入院する時間で小説をじっくり読めると思っていたが、全然読めなかった。
実際のところ、病院の環境は人が集中するようにはできていない。
ベッドの上にずっといると、なんだかんだ眠くなってしまう。
というか、寝てしまう。
看護師の方が定期的に熱や血圧を測りに来てくれるのだが、それはそれで一心不乱に文字を読み込むような状況は作りにくい。
小説を持っていっても最後まで読めない可能性が高いと思う。
漫画の方が集中できる。
YouTubeは最高の相棒
病院の消灯は21時だった。
消灯後にすぐに眠れるわけではない。
なんといっても昼にけっこう寝てしまっているのだ。
そんなとき、僕はスマホでずっとYouTubeを見ていた。
毎日3時間くらい見ていた。
入院中に出会ったのが「朝倉未来のYouTubeチャンネル」だった。
音漏れ厳禁なので、イヤホンは絶対忘れないように。
手術後は特に、「受動的な活動」しかやりたくなくなるので、YouTubeだったり、ネットサーフィンで潰す時間が増えると思う。
好きなYouTubeチャンネルを探してもいい。
通信容量を使いまくるので、Wi-Fiはレンタルしておいた方がいいと思う。
僕は前日に「WiFiレンタル屋さん」を使ってWi-Fiを借りた。
化粧水・洗顔セットは持参したほうが快適
病院に風呂はあるが、化粧水は置かれていない。
シャンプーやボディソープは市販の安いものだけなので、普段まともな物を使っている人はすぐに肌がカサカサになってしまう。
僕はオルビスのスキンケアお試しセットが残っていたので、それを持っていった。
オルビスユーのスキンケアセットは7日分で980円とお得なので、旅行用やお出かけ用にも役に立つ。
もちろん普段使いの化粧水・乳液としてもおすすめしたい。
シャンプーは無印良品の携帯用の詰替ボトルに入れて持参した。
外の景色を眺める
景色から場所が特定されてしまうかもしれないが、まぁ都合が悪いようなものではない。
入院してからは外の景色を眺めることが増えた。
普段会社で働いていると、空の青さを感じる機会は少ないと思う。
オフィスは下を向いてばかりだろうし、上を向いても天井しか見えない。
空は青いのだ。
君は、君たちはこの青空を全身で感じているか?
無機質な天井ばかり見てはいないか?
空を見よう。
東から太陽が昇り、夕暮れで空が赤く染まり、西に沈んでいく。
そんな時間の流れを感じたのは実に10年ぶりであった。
窓から歩いている人を観察するのも面白い。
逆に言えば、「人間観察が面白いと感じるほど、入院中は何もやることがない」ということだ。
手術後は能動的に考えるのは難しい
手術前はけっこう余裕があるが、全身麻酔をくらった後はなんだかボーッとしてしまうし、切ったあとは多少熱が出たりで集中しづらくなる。
受動的な楽しみを用意しておくといい。
ここはやはり、YouTubeと漫画である。
「入院中に勉強しよう」などと考えても、おそらくうまくいかない。
入院すると、普段の机や椅子のありがたみがわかるはずだ。
長期で入院しない限りは、入院中を「癒やしの息抜きタイム」くらいに考えておき、リラックスできるツールを集めておこう。
荷物になるような意識高い道具は持っていかない方が楽だと思う。