ツイッターのデマ情報に振り回されず、自分の仕事に集中する



ネットで発信する多くの人が専門家になる時期がある。

東日本大震災のときは原子力の専門家が増えた。
小保方晴子さんの論文捏造事件のときはSTAP細胞の専門家が増えた。
そして今回の新型コロナ問題ではコロナの専門家だらけになっている。

世間の関心が大きくなればなるほど専門家の数は増え、世間が関心を持つ期間が長くなればなるほど普通の人が「なんちゃって専門家」に変わっていく。

新しく知った内容は誰かに話したくなるものだし、知識が増えたら一言物申したくなってくるからだ。


「専門家」といっても長い時間をかけて専門知識を身に付けたわけではない。

それぞれの人が、自分なりの情報ソースからなんらかの知識を得て、その知識を元に自分の意見を発信しているのだ。

もちろん発信された全ての情報がガセというわけではない。
一部の情報は正しいだろうし、専門家(っぽい人)が発信した内容をベースにしているのかもしれない。

ただ残念ながら、テレビに出ている人がその分野の専門家とは限らないし、ツイッターでフォロワーが多い人が正しいわけでもない。

たくさんリツイートされたツイートが真理でもないし、専門家の意見が全て正しいかもわからない。

全ての人が好き放題ネットで自分の見解を発表し、その中で刺激的な内容ばかりが拡散され、情報を受け取りすぎた脳がキャパを超えてしまう。

特に注意が必要なのは、能動的に取りに行った情報だ。

ツイッターで自分がフォローした人が発する情報や、自分で検索して見つけた情報は、「正しい情報」だと判断してしまいがちだ。
勝手に流れてくる情報と違って、自分からアクションを起こして取ってきた情報だからだ。


フォロワーから流れてくる情報にも注意しなければならない。
どんなに気を付けていても、私たちは目に入った情報・耳にした情報に少なからず影響を受けてしまう。

ネットのインフルエンサーから近所のおばちゃんまで、全ての人が評論家になっている時期は心にバリアを張っておこう。
全ての情報をいちいち受け止めて考えていると、次々と流れてくる情報に頭がパンクしてしまい、何がなんだかわからなくなってしまう。

かといって、全ての情報を閉ざして情報鎖国するには世の中が不安定すぎる。

大量の情報が錯綜している中、私たちはどう行動すべきなのだろうか?

一億総評論家時代にあえて情報源を絞り、心の平穏を得る

情報収集用にツイッターアカウントを作り、タイムラインで新型コロナの情報を追った。
刻一刻と状況が変わっていくパンデミックの最中では、おそらくツイッターが情報源としては最も早い。

タイムライン上で識者同士が論争を始めたり、政府を批判する声が流れてきたり、東京ロックダウンをネタにした面白ツイートが流れてきたりと忙しない。

目を疑うような衝撃的な映像もツイッターでいち早く流れてきて、ワイドショーが後追いするイメージだ。

イタリア バーリ市長「家でプレイステーションをしてろ!」
イタリア バーリ市長「家でプレイステーションをしてろ!」


トレンドには新型コロナ関連のニュースが並び、壊れるほど追いかけても3分の1も追いつかない。

「現実は小説よりも奇なり」というが、今回のパンデミックは小説どころか、アクション映画を超えるほどショッキングな映像が次々と流れてくる。


カンパニア州のデ・ルカ知事「卒業パーティーをやっている者がいるという知らせを受けた」
カンパニア州のデ・ルカ知事「卒業パーティーをやっている者がいるという知らせを受けた」

カンパニア州のデ・ルカ知事「火炎放射器を持った国家治安警察隊を送る」
カンパニア州のデ・ルカ知事「火炎放射器を持った国家治安警察隊を送る」


世界に比べて危機感が足りない日本人の映像も流れてきた。
ホラー映画で真っ先にやられるタイプの人だろう。


日本人「なるときは なると思います」
日本人「なるときは なると思います」


踊れば新型コロナも吹っ飛びます
踊れば新型コロナも吹っ飛びます


こんな感じで異様な雰囲気のタイムラインを見ていると心が落ち着かなくなって、言いようのない不安に襲われてしまう。

不安になっているから余計にタイムラインを追いかけたくなってしまう。


マジで世の中大丈夫なのかよ...

やばすぎだろ...

みたいな、焦りばかりがこみ上げてきて、だからといって何かできるわけでもない。


「感染症の怖いところは、ウイルスに感染してない者まで、心がやられてしまうことだ」
「このいまいましい病気め、かかってない連中まで心は感染している」

と、カミュが『ペスト』で描いたように、感染してなくても心にダメージを負ってしまう。


最近は脳のリソースの多くを「コロナ」が占めているなと感じながら、ふと思った。

「リアルタイムで情報を得て、何か意味あるんだろうか?」

と。

ツイッターは不安な心に巣食う麻薬だ。

色々な人の意見を見て、何かをわかった気になって、安心したくてツイッターを見て、また不安になる。

リアルタイムでニュースを追いかけまくるのを、やめよう。

自分が許容できる限界まで情報ソースを絞ろう。

僕はLINEニュースを見るのをやめ、ツイッターのタイムラインを避けた。

ワイドショーは見ずに、情報ソースを「新聞」と「ごく少数の発信者」に絞った。

(「ごく少数の発信者」を誰にするかは自分で決めるのがいいと思う)

それで全然困っていないし、相変わらず不安ではあるけれど、特に問題は起きていない。

ちなみに「極めて少数の発信者」が紹介していた動画はわかりやすかった。
だからといって、これが正しいかどうかの判断は難しいのだが。


The Coronavirus Explained & What You Should Do

インターネット断ちしたいときは意志力よりも強制力

現在のように不安で落ち着かない時期は、自分の意志で情報を断つのは難しい。
ほとんど意識せず、なんとなくネットニュースを探したり、ツイッターを見てしまいたくなってしまうからだ。

どうしてもネットから離れたいときは、僕はfreedomというアプリを使っている。

freedomは決められた時間の間、強制的にインターネット通信を遮断できるアプリだ。
スマホもPCも、WindowsもMacも全ての通信を制限できる。

僕はSNSやメールを制限して、作業中や勉強中はノイズを入れないようにしている。

まぁ、僕ほどネットに依存しやすい人も少ないと思うので、普通の人はスマホから物理的な距離を置くくらいでいいのかもしれない。

いずれにしても、つい気になってネットを開いてしまって不安な気持ちになっている人は、強制的にネットから離れる仕組みを作るのがいいと思う。

恋人のスマホを勝手に見ても良いことがないように、世間が不安でいっぱいになっているときにネットニュースに触れても良いことはあまりない。

それよりは自分ができることに集中したほうがいい。

freedomが気になる人は以下の記事で使い方を詳細に説明しているので、チェックしてほしい。

自分ができることに集中する

「ツイッターから離れた方がいい」などと書いておきながらツイッターの話が多くて申し訳ない。

ネットで「Lillianさん」と呼ばれるすごい人がいる。

東大医学部を出て医者として働いた後、(おそらく31歳で)エンジニアにキャリアチェンジして、今Googleで働いている超人だ。

彼女の生き様は見習いたい点がものすごく多い。

医学の元専門家でありながら新型コロナ騒動に言及することもせず、淡々と、いや飄々と、ものすごい量のインプットを積み重ねている。

それも毎日、楽しそうに。

元々の頭の作りが違うにせよ、本当にすごい人だなあと思う。

何がすごいかというと、世間がどんなに騒がしくなっても、ずーーっと前からやってることが何ひとつ変わらないのだ。

とんでもないペースで、だからといって成果を誇るわけでもなく、淡々と学び続けている。その姿はどこか孤高の職人のようにも見える。




当ブログの読者の方も、心が落ち着かなくなったらLillianさんを見にいってほしい。

たぶんこの人は世界がどうなっても楽しそうに学び続けているような気がする。


自分ができることに集中する。
自分がやるべきことに集中する。

シンプルだけど、有事にこれができる人はマジで強いな、と思った。

(余談ながら、Lillianさんが当ブログの記事を引用してくれていた)