エックスサーバー社が立ち上げたオウンドメディア(自社サイト)の内容が「ヒトデブログ」をパクったのではないか、と話題になっている。
ヒトデさんが争いを避けて該当ツイートを削除したので、ここで簡単に要点をまとめると以下のようになる。
- ヒトデさんは元々ブログの運営方法について「ヒトデブログ」を作って発信していた
- ヒトデさんのサイトとほぼ同じようなカテゴリ構造、似たような内容でエックスサーバー社が自社サイトを作り始めていた
- ヒトデさんは「パクられるのはよくあることだけど、広告主に真似されるのは辛い」と心境を吐露
- 本件はエックスサーバー社長を巻き込んで大きな騒ぎとなった
- エックスサーバー社はアフィリエイターがこぞって「エックスサーバーではなくConoHa WINGを推す記事」を投稿していることに強い違和感を覚えていた
ヒトデちゃんの件、あれだけレイアウトもそうだけど記事構成とか見てパクリじゃないって思う人がいるのに割とびっくりしてる(割とマジで)
— けんちゃん (@braveryk7) May 9, 2020
競合と記事が似ないように、あえて競合見無かったり見ても本文わからないように薄目にして読めないようにしてるわいはびっくりだよ
丸パクリとのご指摘があるようですが、
— 小林尚希 (@xserver_koba) May 9, 2020
真っ向から否定させてください。
即時撤回をお願いいたします。
ちなみにヒトデさんのこのツイートはヒトデさんご自身のご意向によるツイートでしょうか?
ヒトデさんの背後にいらっしゃる企業さんのご意向ということはございませんか?
さて、このパクリ騒動。
アフィリエイト界隈では騒ぎになっているが、ごく普通の一般的なブロガーやツイッタラーには
「何がパクリなのかわからない」
という人も多いように見える。
一方で、アフィリエイター側からは
「ありえない。信じられない。良識を疑う」
という意見が多数出ている。
両者の認識の違いはどこから生じているのだろうか?
書きたいことを書くブロガーと、キーワードから書く内容を考えるアフィリエイターの違い
前提として、エックスサーバーはヒトデさんの記事をコピペしてサイトを作っているわけではない。
なので一般的な解釈では「パクリ」とはいえない。
普通にブログを書く人は、僕も含めて「何か書きたいこと」があって、それについてブログを書いて発信している。
だから「書いてある内容」が被っていなければ「パクっている」とは判断しない。
一方でアフィリエイターは書く内容をキーワードから判断する。
ある分野の検索キーワードを集め、そこからサイトの構成を考える。
書きたいことをブログに書くのではなく、書くべき内容をキーワードから判断して埋めていくのがアフィリエイターである。
だから、「キーワードを被せられて、構成が似通ったサイトを作られる」と、アフィリエイターは「パクられた」と感じてしまうのだ。
違法ではないが、モラルがない
アフィリエイトの世界ではキーワードを巡って熾烈な競争が繰り広げられている。
誰かにキーワードを被せられたからといって、文句なんて言えない。
しかしながら、エックスサーバー社はアフィリエイターにとっての「広告主」であり、アフィリエイターとは一蓮托生の仲だったはずだ。
そんな広告主が、自分のサイトとキーワードを被せて、ほぼ同じ設計でサイトを作っているのを発見してしまい、ヒトデさんは
「パクリとは言えないけどピエンと言いたい」
とツイートしていたのだ。
この感覚はアフィリエイトを経験したことがない人にはわかりづらいかもしれない。
たとえば自分がとても美しい女の子と付き合っていたとしよう。
その子はひっきりなしに男から言い寄られている。
自分の知らない男からもしょっちゅうナンパされる。
そんなナンパに対して「ぶち殺すぞ」といちいち怒っても仕方がない。
しかしながら、自分がいつも彼女の話をしていて、彼女とも共通の友人として仲が良かった男友達が突然彼女に告白し、大好きな彼女を寝取られてしまったらどうだろう?
さすがに「ぴえん」と泣きたくなるのではなかろうか。
ヒトデさんの心境はたぶんこれである。
ヒトデさんはキーワードを寝取られた彼氏だ。ピエンと泣きたくもなる気持ちはわかる。
エックスサーバー社がやっていることは違法ではないが、モラルがない。
(逆に言えば、「ヒトデさんがConoHaちゃんと浮気したので元カノのエックス・サバ美がリベンジポ○ノに走った」という解釈もありえる)
ConoHa WINGへの乗り換えへの危機感
エックスサーバー社は「ある企業がアフィリエイターを買収して、エックスサーバーからの乗り換えを促している」と主張していた。
「ある企業」は「ConoHa WING」のことだろう。
A8.netやafb社など、アフィリエイトの案件を紹介しているサイトを「ASP」という。
ASPは登録サイトがどんなキーワードで閲覧されているかを計測していて、あるキーワードで上位が取れているサイトには「特別単価」を提案する。
「特別単価」というのは「あなたには特別な報酬を支払いますよ」というもので、「ワードプレス 始め方」で最上位に来ていたヒトデさんにはひっきりなしに特別単価のお誘いが来ていたものと思われる。
だから、エックスサーバー社の社長は、ConoHa WINGが札束でヒトデさんをぶっ叩いて、エックスサーバーからConoHaに乗り換えるように促したのではないか、と主張しているのだ。
僕はその主張を読みながら、勘違いも大概にしたまえ、と思った。
エックスサーバーよりもConoHa WINGの方が圧倒的に使いやすいのだ。
「エックスサーバーに慣れているから」とか「ウェブにたくさん情報があるから」などのエックスサーバーを利用するメリットを吹き飛ばすくらい、使いやすさに圧倒的な差がある。
ConoHa WINGの方がエックスサーバーよりも256倍くらい使いやすい。
エックスサーバーの社長はまずそこを真摯に認めるべきだろう。
エックスサーバーはユーザーインターフェースがクソ
ヒトデさんがConoHaにいくらの特別単価を積まれたのかは全くわからないが、エックスサーバーよりもConoHa WINGの方が使いやすいのは明らかである。
そしてヒトデブログを少し読めば、ヒトデさんがユーザーファーストを徹底しているのはわかるだろう。
媚びを売っているわけではなく、ヨイショしているのでもなく、ヒトデブログがマジでわかりやすいので、半分嫉妬しながら褒めている。
読みながら何度も
「これは勝てないなあ」
「こうやって作ればユーザーが満足するコンテンツが作れるのか」
「でもここまで詳しくわかりやすく書く熱意は俺にはないなあ」
とため息をついたものだ。
僕もアフィリエイトで飯を食ってるので、当然掲載する広告の単価は気にします
— ☆←ヒトデ@ブロガー (@hitodeblog) May 9, 2020
ただ、単価を理由に推す案件を変えたり、読者に不利な選択を押し付けるような真似は絶対にしません。単純に信頼されなくなるからです
間違いをしてしまう事もありますが、出来るだけ真摯に向き合っています
ConoHa WINGから特別単価など提示されておらず、レンタルサーバー関連の収益が「永遠のゼロ」の僕がフラットな目線で評価すると、エックスサーバーはUIがクソすぎる。
アダルトなイメージが強いmixhostでさえ、エックスサーバーより圧倒的に使いやすくてわかりやすかった。
「お名前.com + エックスサーバー」
の組み合わせが最適だったのは一昔前の話で、エックスサーバーを選んでいたのは他に良い選択肢がなかったからだ。
業界の最大手であることに慢心して、UX(ユーザー体験)改善を怠ったエックスサーバーに人々が愛想をつかすのは当然だろう。
エックスサーバー社の社長およびCTOは、騙されたと思って一度、ConoHa WINGでWordPressサイトを作ってみてほしい。
実際に使ってみて、自社が選ばれない理由がわからないなら、外部からUX担当者を招聘して、もう一度ゼロベースでユーザビリティについて議論し直してみてほしい。
実際に触れてみたら、使いやすさの違いがわかるはずだ。
僕は正直、ConoHa WINGのわかりやすさに感動した。
エックスサーバーはこの騒動を機に、古びたユーザーインターフェースを現代風に刷新してみてはいかがだろうか。
余談だが、ヒトデさん本人がもしこの記事を見る機会があったなら、ヒトデさんの記事に
「ドメイン管理の移行」
についても追記してほしい。
ネームサーバーの変更だけでなく、ドメインの管理もConoHaでやりたいのだ。
理由はお名前.comやエックスドメインでドメインを管理するよりも、ConoHa WINGでドメインも含めて一元管理したほうが圧倒的に楽だから。
- WHOIS代行を一時的に解除する
- ドメイン移管ロックを解除する
- 移管申請を行う
の手順でお名前.comやエックスドメインからConoHaにドメインを移行できる。
実際に作業してみたけど全然難しくなかった。
ヒトデさんにはドメイン移行のわかりやすいガイドラインを作ってほしいし、ConoHa WINGは「ドメイン」でもアフィリエイト案件作ったほうがいいんでないかな?
同じGMOとはいえ、ドメインの管理をお名前.comにしてサーバーをConoHa WINGにするのは面倒くさいでしょ。
※エックスサーバーからConoHaに移行する手順を紹介した記事(ヒトデブログ)
→【40枚の画像で解説】エックスサーバーからConoHa WINGへの移行方法完全ガイド!
オウンドメディアに被せられる場合はキーワードの見直しも必要
違法ではないがモラルがない、と書いたが、いまのGoogleは企業サイトを上位に置く傾向があり、オウンドメディアとキーワードが被ると個人が対抗するのは厳しいように思える。
他人事のように書いてしまって申し訳ないが、「ワードプレス 始め方」や「脱毛」、「美容品」なども広告主が自らメディアを作り始めており、そうすると「公式が競合」となるため、キーワードからの流入は減ってしまうことが予想される。
このような状況が加速した場合の回避策は正直思いつかないが、キーワードのガチンコバトルを避けて、複数のキーワード(複合キーワード)を狙ったり、SNSからの流入を増やすのが王道となるのだろうか。
いずれにしても、リアルでの認知が高い人や企業が優遇される現状では、アフィリエイターが専業としてビジネスを続けるのは大変厳しいように感じている。
下の記事でも書いたように、ネットで夢を見るのは状況が変わるまで様子見で、いまはリアルでの仕事を頑張る時期なのだろう。