日経新聞の書評で「<インターネット>の次に来るもの」という本が紹介されていたので興味を持って速攻で購入してみました。
タイトルからめっちゃ期待して読んでみたんですが、残念ながらわかりづらい(笑)
翻訳が直訳気味で、書いてあることも冗長なので、何が言いたいのかイマイチ伝わらない。
だからといって。
ここで本の悪口を言っても読者のためにならないので、本のコンセプトを汲み取って、自分の言葉でまとめてみようと思いました。
中で書かれていることはわかりづらく、正確に理解することは難しいですが、本のコンセプトは役に立ちそうだからです。
未来のビジネスを考える上でのヒントが詰まっているように感じました。
本書で提示されている12個の概念のうち、面白そうなもの、ビジネスにつながりそうなものをピックアップして少しずつまとめてみます。
長いので2~3つの記事に分けて書く予定です。
SHARING(シェアリング)
シェアリング・エコノミーという言葉が出てきたのはここ数年の間ですが、最近ではカーシェアや部屋のシェア(Airbnb)、タクシーのシェア(Uber)のようなサービスが世の中を席巻しております。
2016年9月19日の日経新聞5面には「楽天、駐車場シェアに参入」という記事が載っていました。
ビルや住宅のオーナーが空いている駐車スペースを1時間単位で貸し出してサイトに掲載。
買い物などに使いたい人がスマホで予約して使えるようにする、というサービスです。
本には、今のネットで起こっている現象は以下の4つであると書かれています。
1.シェア
2.協力
3.コラボレーション
4.集産主義
本ではこんなことが書かれています。
◆ ◆ ◆
Instagramには3億以上のアクティブユーザーが投稿しており、wikipediaでは13万人が非常に活発なユーザーとして編集作業を行っている。
Youtubeは毎月10億人以上のユーザーが利用していますが、彼らはテレビと競合する映像を制作している労働力ともいえる。
Facebookは地球上最大の国で、この国はコンテンツを投稿し続ける無給の労働によって支えられている。
無給で働く彼らは、お金の代わりに信用や地位や評判を得ている。
個人のつながりから生じるコミュニケーションや関係性の価値によって、報酬が支払われている。
オープンソースに貢献する技術者達が無給で貢献する理由は、「学んで新しい技術を身につけるため」
インターネットは経済原理に動かされているというより、ギフトを共有することによって動いているのだ。
Google、Facebook、Twitterはシェアの価値を再発見することで発展した。
リンクという形でシェアされた情報を元にWebページをランク付けすることで、ユーザーに価値ある検索結果を提供したGoogle。
Facebookは「友達のつながり」を共有するように人々に促した。
Twitterも140文字の情報をシェアすることで、ゆるい知り合い関係を作れるようになった。
情報が溢れる中、シェアされてくる有用な情報に絞ってアプローチすることに価値がある。
あらゆる創作物が無料でシェアされる中、クリエーターを支えるのはクラウドファンディングという全く別の形のシェアだった。
創作物をシェアし、信用を得て、資金はクラウドファンディングから得るというような、そんなシェアリングエコノミーが作られている。
オープンなプロセスで、オープンな物づくりが進んでいく。
◆ ◆ ◆
本には書かれていないことだけど、プロセスがオープンになり、情報がシェアされる世の中では、「個人の信用」こそが武器になるのだと思います。
FILTERING(フィルタリング)
この章はわかりやすかったので、本の内容をまとめます。
人類が創り上げた全ての曲の数は1億8000万になるというが、通常のMP3で圧縮した場合、人類が創り上げた音楽のデータ送料は20テラバイトのハードディスクに収容できてしまう。
20テラバイトのハードディスクは現在2,000ドル(200,000万円くらい)で買えてしまう。
5年後には、その値段は60ドルになって、ポケットに入るサイズになるだろう。
全人類の音楽全てをポケットに入れることができるようになる。
これは音楽だけではなく、デジタル化できる全てのものに起こることである。
その結果、無数の選択肢が生まれる。
数え切れない量のデータが山積みになって、自分を楽しませる方法がすごい勢いで拡大していく。
過去24時間で発明されたものを全部チェックするだけで1年以上かかってしまう。
つまり、もう選択肢全てを吟味することは出来ないのである。
そのため、我々はあらゆる種類のフィルターを使うことになる。
・ゲートキーパー
権威や親など。悪いものをブロックしてくれる
・仲介者
出版社や音楽レーベル。
・キュレーター
全ての本が図書館に置かれるわけではないように、キュレーターが入れるべきものを決める。
・ブランド
同じようなものが並んでいる時は、自分が知っているブランドを選ぶ。
・友人
信頼できる友人によるオススメのお店とか。
その他は以下のようなフィルターがある。
・政府
・文化的環境
・自分自身
Amazonのレコメンドエンジンのように、無数の選択肢から最適なものを提示するものに価値が生まれてくる。
ちなみに僕は最近歯医者に行ってきたんだけど、歯医者は無数にあって、どの歯医者がいいのかさっぱりわからなかった。
行ってからイマイチだと気付いた歯医者もあって、結局治療が終わるまで何件か歯医者をはしごすることになった。
自分の症状と性格、希望する診察スタイルなどをinputにして、最適な歯医者をレコメンドしてくれるようなサービスがあったらどんなに良いものかと思った。
無数の人々が無数にコンテンツを発信する現在では、
「多数の選択肢から最適なものをフィルタリングする」
というフィルターに価値が生まれている。
そのフィルタのinputとなるビッグデータは機械学習などによる分析と相性が良く、人々に正確かつ的確で、よりパーソナライズされた情報を提供するフィルターエンジンが大きなビジネスを生み出すのではないだろうか。
長くなったので、続きは別の記事で書きます。
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