前日にクラブで惨敗したものの、気分は悪くなかった。
18時。
俺は再び天神の街に立った。
残された時間は12時間だ。
福岡に何かしらの爪痕を残したいと思っていた。
立つ鳥跡を濁さずと言うが、俺は白いフンを残してやろうと思った。
天神パルコ前から今日のストーリーが始まる。
「こんばんは!お疲れさま!」
ガンシカ。
明るく声をかけたつもりだったが、反応は悪かった。
「その服めっちゃオシャレやん」
エセ関西弁で話しかける。
ガンシカ。
「天神にキレイすぎるお姉さんがいると聞いて〜」
ガンシカ。
「どこぞのファッションモデルみたいですね」
ガンシカ。
なんだ?
なんだこの反応の悪さは。
前日の好反応が嘘のようだった。
たまに話しても、そっけなく、受け入れてくれるような様子が全然なかった。
夕方は反応が悪いんだろうか。
それとも、俺に問題があったんだろうか。
たまたまなのか。
色々と考えながら、西通りで女友達を見つけた。
「よぉ、久しぶり!」
親不孝通りにあるスポーツバーで軽くお酒を飲みに行く。
ナンパをしていたなんて言わない。
近況を報告しあい、
「昔はあんなこともあったね」
と話す。
家の前まで送り、お別れした。
別れ際、
「もうちょっと一緒にいよう。行かないで」
と言われたが、
「ごめんて。また会えるから大丈夫だよ」
と言って、立ち去った。
彼女はまだ俺に好意を持ってくれているんだろうか。
ありがとう。
親不孝通りを再び歩く。
時刻は21時になっていた。
リュックを背負った女の子がゆっくり歩いている。
「あ、そのリュック!」
女の子が振り返る。
「俺も似たようなやつ持ってたんですよ!カッコイイですよね」
大学生のときにこんなリュックを使っていたことがある。
もうずっと昔の話だ。
リュックの子がクスっと笑う。
「飲んでたんですか?」
「うん、これから花見に行くところ」
距離が近い。
「これは即系だ」
と直感的に思った。
見た目は?
まずまずだ。
スタイルは?
デブではない。
いけるか?
いこう。いつ行くの?今でしょ。
この子に勝負をかけよう。
並行トークを続ける。
たまたま共通の話題があり、一気に盛り上がる。
5分歩く頃には、相手から腕を絡ませてきていた。
ナンパをしていると、こういうこともあるのだ。
このまま宿泊先のホテルに行こう。
まっすぐホテルに向かう。
クソ、遠い。
10分間、話を途切れさせること無く歩いた。
恋愛歴を聞くと、ワンナイトのような恋愛も何度かしたことがあるらしい。
「ついていっちゃうけど、それからうまくいくことってないよね〜」
なんて笑いながら話していた。
彼氏とは最近別れたばかりとのこと。
やっぱり、ナンパはタイミングが大切だ。
ホテルから50mの場所にきた。
「もう少しゆっくり話そう」
「わたし花見行かなきゃ」
「花見までもう少し時間あるじゃんw15分だけな」
「えーホテルは行かないよー」
形式的なものに聞こえた。
ホテルの入り口に来てしまうと、やっぱりそのままついてきた。
家でもホテルでも、その場所の前まで来ると、案外入ってしまうものだ。
部屋に入ると、そのままハグをした。
頭を撫でて、イチャイチャして、いざというときに生理になった。
なんて日だ!
それでも彼女はすごく楽しそうにしていた。
「また絶対会おうね」
そういって、彼女はタクシーに乗り、花見に向かっていった。
彼女からは今でもLINEがくる。
良い出会いとなった。
★福岡でのナンパ奮闘記★