銀座コリドー街の300BAR(スリーハンドレッドバー)に一人で突撃してきた



出会いが溢れる大人のバー「333トリプルスリー」で美女に全く相手にされず、泣きながら店を飛び出した後に向かったのは悪名高きコリドー街であった。


コリドーが「大人の出会いの場」として紹介され始めたのは3年ほど前からだったと思う。


「300BAR」は普段出会いのない社会人が気軽に異性と交流できるバーとして人気を博した。

銀座は東京駅や勝どき、日本橋から近いため、忙しい商社マンや証券マンが仕事帰りにフラッと寄って飲んで帰るにはとても都合が良かった。


元々就活生の間で絶大な人気を誇る商社である。


「商社に内定をもらえる人は神」


というのは、就活を頑張っていた学生たちの間では共通認識だった。


コリドーの出会いスポット化によって、すごい商社マン、すなわちとの出会いが以前よりも生まれやすくなったという面もあるだろう。


「六本木のクラブに行くのは怖いけど300BARなら気軽に入れる」

という子も多い。


カジュアルにハイスペックな男と出会いたい女の子にとって、コリドーはとても都合が良い出会いの場だった。

同様に、ハイスペ好きな女子と出会いたい商社マンにとっても、コリドーはとても都合が良い出会いの場であったに違いない。


「出会いがほしいけど、クラブほど怪しいところには行きたくない」


そんな潜在的な需要の受け皿となったのがコリドーである。


「Three Hundred Bar」のホームページによると、300BARは1992年から存在していたらしいが、できた当時からこれほどの出会いの場だったのだろうか。

歴史を調べたかったが、インターネットで検索すると

「300BAR 持ち帰り」

などの結果ばかりが出てきて具合が悪くなったのでやめた。


商社マンと付き合うことがステータスとなり、ツイッターなどで自慢されるようになったのはここ数年の話のように思う。


コリドーの出会いスポット化によって、商社マンとの出会いが以前より生まれやすくなり、その結果、


「憧れの商社マン」


と付き合えた子たちが「商社くん♡」とツイッターに投稿し始めた...と考えるのは下衆の勘繰りだろうか。


そんな商社男ブームに伴って出現したのは、


「名刺を偽造する偽商社マン」


である。


女の子と飲むと、


「コリドーに職場を偽る男が現れた」


という話をたびたび聞くことがある。


商社マンのふりをする男。

Google社員のふりをする男。

挙句の果てに図々しくもゴールドマン・サックスの社員のふりをする男もいるという。


社名を偽ることでモテを創出し、夜のコリドーの一夜限りの勝者となる。


そんな名刺偽造男を見破るために、


「名刺を二枚もらう」


という対策も生まれているらしい。


騙し合い、暴き合いの先に愛が生まれる。

コリドー街ではそんな人間ドラマが連日連夜、生まれている。

そのドラマの一部となるべく、僕は300BARに身を投じた。


22時頃のコリドーは酔っ払ったサラリーマンで溢れかえっていて、まともに歩道を歩けないような状態であった。
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コリドーの300BARは新橋側、俺のフレンチの横にある。
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黄色い看板が出ているので歩いていたらすぐわかるだろう。

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銀座5丁目にも300BARがあるが、どちらかというとコリドーの方が混んでいることが多い。



300BARについた。

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この緑の絨毯を越え、僕は新たな闘いに身を投じる。

二度と333のような失敗はするまいと心に誓う。


平常心だ。

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明鏡止水。

邪念を捨て、ただただ目の前のお酒を楽しむ心を。

俺に力を...!

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一歩一歩、階段を降りる。
リングに向かうボクサーみたいに。


バーの入口で300円のチケットを3枚購入する。

これが試合開始のゴングだ。

中に入ってあたりを見回すと、育ちの良さそうなサラリーマンがギュウギュウに詰め込まれていた。


小学生のときに

「押しくらまんじゅう押されて泣くな」

という遊びをやっていたが、あの時以上に押しくらまんじゅう状態であった。

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この瞬間、ハッと我に返り、重大な危機に直面していることに気付く。


小便が漏れそうなのである。


333で飲んだビールが漏れそうだ。


僕はとにかくトイレが近いため、定期的にトイレに行かないと膀胱が破裂してしまうのだ。

前にもこんなことがあったような...。

そうだ、恵比寿のパブリックスタンドに突入した日だ。

あの日も店に入るやいなや、トイレに駆け込んだ。

oreno-yuigon.hatenablog.com



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ギュウギュウに詰め込まれたサラリーマンたちを押しのけ、トイレに向かう。


5分くらいトイレの順番を待っていたのだろうか。

ふと、目の前で女の子がトイレ待ちしていることに気付いた。


「トイレ、なかなか入れないですね」


...!!

自然に言えた...!!!


これだ。このナチュラルさが大事なんだ。


「ですよね〜」


女の子が微笑んだ。掴みは上々だ。

次だ。次の言葉で心を掴むんだ。





「もう、漏れそうッス」






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「.........」



「.........」



「ハハハ」


「ハハハ」


「トイレ、空きましたね」


「そうですね」


「では」


「それでは」



.........。




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.........。



気を取り直して用を足し、晴れ晴れとした気持ちでトイレを出ると、先ほど話した女の子は消えていた。


しかし捨てる神あれば拾う神あり。


目の前にまた、トイレ待ちをしている女の子がいた。


ウケを狙うからスベるんだ。

大事なのは差別化ではなく、普通に会話することだ。

普通の会話から、突破口を見つけるんだ。


自らへの戒めとして、普通のコミュニケーションに徹することを誓った。


「こんばんは」


「こんばんは」


返事が来た...!


「すごい混んでますね」

「そうですね」


普通だ。普通の会話ができている!


普通の会話の例として、ツイッターで偽医者として活躍する「Tisin先生」を思い浮かべていた。



彼のように、普通に呟けばいいんだ。


「楽しそうにしてますね」

「今日、飲みすぎちゃって」


「月が綺麗ですね」

「いや、月見えないし」


普通に話すことができた。

こうすればよかったのか。


最初からホームランを狙うのではなく、当たり障りのない会話でヒットの糸口を掴む。

この方法を


Tisinメソッド


と名付けた。


5分ほど会話して、連絡先を交換した後、突然盗賊のような男が現れ、女の子が連れ去られてしまったが、僕は満足だった。


奪い合いの中に身を投じるよりも、自分の成長を喜び、前を向いて歩きたい。


BARの中はお祭りのようになっていた。

無数の男女が出会いを楽しんでいるようにも見えた。

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LINEの連絡先が一つ増えて満足した僕は、300BARを立ち去った。


何より久しぶりの冒険に疲れ果てていた。


333トリプルスリーと300BARをハシゴした感想は、

  • 333は若干クラブ寄りで、出会いの玄人向け
  • 300BARは男の比率が高いが、初心者に優しい
  • どちらのバーに行っても、変なことを言うと無視される
  • 結局出会いは自分次第


といったところだろうか。

この記事がコリドーに出会いを探しに行く勇者たちの参考になれば嬉しい。