企業やアフィリエイターから依頼され、ウェブに掲載するための記事を書く人を「ウェブライター」といいます。
技術記事を書いて本を出版する人をテクニカルライターといい、有名人の名前を借りて本を書く人をゴーストライターともいいます。
ホリエモンの著作はほぼ全てがゴーストライターによるものですし、月に何冊も出版している人はだいたいゴーストライターが書いています。
誰かに依頼されて文章を書く人をライターといい、「何文字いくら」で仕事の依頼が来ることが多いです。
「こんな企画があるのでこんな記事を書いてください」
とPR記事を頼まれることもあり、その場合は企画ごとに報酬が支払われます。
ツイッターなどでフォロワーが増えるとウェブサイトの運営者から記事の執筆依頼が来ることもあります。
特に女性アカウントの場合、フォロワー1万人を越えたあたりから恋愛系の記事の執筆依頼が来るようになります。
ツイッター経由で名指しでスカウトされる場合は別として、ウェブライターはクラウドワークスやランサーズなどのクラウドソーシングサービスに登録して、サイト経由で依頼を受けて記事を提出することになります。
特に資格はいりませんが、それゆえに安価なウェブライターが書いたゴミ記事でネットを汚染する「まとめサイト」が社会問題にもなりました。
先日、ツイッターでウェブライターの誤字脱字問題が話題になっていました。
「この恋愛工学生の服が変」との意見を散見致しましたが、実際は彼の雰囲気と合っていたので別に変じゃなかったですよ!→ネット上で話題の「恋愛工学」がよく分からないので工学生に直接メソッドを聞いてみた https://t.co/2hVeOlWYJ5
— シマヅ (@Shimazqe) 2015, 11月 20
酔った上でぶちまけてしまったけど、常々思っていたことなんだよね。ちょっと書ける程度の素人が自身の文章を記事と称することには虫酸が走っていたし、まして誤字脱字がある上にSVOもなっていない文章を公開する人に対しては、「人様に見てもらってるって意識あるのかよ」って思ってました。
— 孝輔 (@kosuke30nanpa) 2015, 11月 17
最も問題なのは語彙の貧しさではなく、誤りを指摘されて「癖なんです」と言ってしまうその精神だね。でもウェブライターさんのレベルは前回でだいたい分かったし今は「そんなもんなんだな」と思ってるから、もう醜態をさらすことはないよ。
— 孝輔 (@kosuke30nanpa) 2015, 11月 20
ウェブ上の記事の質の低さはウェブライターの能力によるものが大きいでしょう。
個人的には語彙力よりも、リサーチ能力の低さの方が気になります。
ですが、ウェブライターに求められるスキルは「美しい文章を書く技術」ではありません。
求められる資質は極論すると一つだけ。
「仕事を依頼した人を儲けさせることができるかどうか」
これだけです。
「儲かるかどうか」が資質とされているがゆえにウェブ上の情報の信頼性が落ちている面もありますが、少なくとも「社会の公器」として正しく美しく気高い文章を書くことは求められていません。
では「儲かる文章」を書くために必要なスキルはなんでしょうか?
以下の3つです。
- 話題になりやすい題材を選ぶ引き出し
- SEOに強い記事作り
- 読んだ人が商品を買いたくなるようなセールス・ライティングのスキル
ページビューを稼げるライターに価値がある
ウェブにはページビューという絶対の指標があります。
個人が趣味でやっているブログなら、ページビューを気にする必要はありません。
しかしプロのライターとしてウェブに文章を残すなら、どんなに誤字脱字のない綺麗な文章でも、ページビューにならなければ何の意味もないのです。
もちろん「てにをは」を直し、間違った言葉遣いを修正し、読みやすい記事を提供することは大切ではありますが、それはウェブに文章を上げる上では実に些末な問題です。
職業意識の高い編集者や新聞記者の方が読むと驚くかもしれませんが、ネットで売れている記事のほとんどはめちゃくちゃな日本語で書かれています。
月間1億ページビューある2ちゃんまとめサイトの文章の半分は「www」でしょう。
それでも1億ページビューあれば月間で1000万円以上の収益になります。
ウェブではページビューこそが金になり、広告になり、ビジネスの拡大につながります。
「ページビュー至上主義」こそが諸悪の根源でもあり、絶対正義でもあるのです。
その意味で、ページビューを稼げる記事を上げることこそが、プロのウェブライターの仕事です。
文章の善し悪しではありません。
なんやかんやで今月PVトップ2。ありがとうございます
https://t.co/le1Q7cjwcA
— トイアンナ@『ビッチ大全』12月発売予定 (@10anj10) 2015, 11月 17
話題になったシマヅさんの恋愛工学の記事は、ウェブに上げる記事としてはプロの仕事そのものだと僕は思います。
誰が見ても一目で不細工とわかる人物をチョイスし、「恋愛工学生」に対する世間のイメージ(=非モテが調子に乗ってる)に見事に応える構成に仕上げています。
対談内容も「不細工が偉そうにディスってくる」というネット民が反応しやすいフックを盛り込み、大きな話題を呼んでいました。
これがイケメンで当たり障りのない人物を選んでいたらどうなったでしょう。
ネットでは大した話題にもならず、「恋愛工学生にもまともな人はいるんだね」程度で終わっていたと思います。
公募の体をとって事前に伏線を張り、皆の興味を駆り立て、「案の定の人物」を登場させるセンスもいい。
【急募】恋愛工学生がいる飲み会とはどんなものか、について記事にします。なので、11月の第1週目に、取材に協力してくれる恋愛工学生の方、メンションかbioに書いてあるメールアドレス宛てに連絡ください。よろしくお願いします!!!!
— シマヅ (@Shimazqe) 2015, 10月 27
企画して、狙い通りにバズらせたのはプロの仕事です。
ネットでウケる文章は、上品な文章ではなく、下品でくだらなくツッコミどころがある文章です。
そしてプロの仕事とは、マーケットで求められているものを求められている形で提供することです。
SEOの勉強をしよう
ツイッターで一時的にバズっても、アクセスは次第に消えていきます。
ネットの話題は旬が短く、3日も持たないものがほとんどです。
ネットのバズにはサイトやライターの認知度を高める効果があります。
しかしながら、息の長いアクセス数を稼ぐにはどうしても「検索による流入」に期待するしかありません。
検索からの流入を増やすには適当に記事を書き散らすだけでなく、検索エンジン対策の知識が必要です。
王道を行くなら『Google AdSense マネタイズの教科書』を読みましょう。
【感想】『Google AdSenseマネタイズの教科書』が神本である5つの理由
楽しく学ぶのであれば、『沈黙のウェブライティング』もおすすめです。
沈黙のWebライティング —Webマーケッター ボーンの激闘—〈SEOのためのライティング教本〉
- 作者:松尾 茂起
- 出版社/メーカー: エムディエヌコーポレーション
- 発売日: 2016/11/01
- メディア: 単行本
文章を上達させる方法
文章を上達させるコツはものすごくシンプルで、「たくさん読んで、たくさん書くこと」です。
書かずに文章力を向上させるのは不可能ですが、インプットなしに書きまくれば文章が上達するわけでもありません。
- まず文章を書いてアウトプットする
- 心に響く文章を読み、真似をする
- 文章のルールを学ぶ
- 語彙力を身に付ける
- 自分が書いた文章を見直して修正していく
のように、インプットとアウトプットを交互にこなしていく必要があります。
何より大事なのは継続です。
1年間毎日何かの文章を書き続ければ、必ず文章は上達します。
「他の人に比べて上手になる」という意味ではなく、「1年前の自分に比べてうまくなる」という意味です。
ブログのアウトプットを1年以上継続できる人はほとんどいません。
99%の人は3日坊主で終わります。上達する前にやめてしまいます。
少しずつでもいいので続けましょう。
ちなみに自分の経験上、何かしらの報酬があった方が継続のモチベーションが上がりやすいです。
はじめはクラウドソーシングサービスなどを利用して、「どういうサイトが稼いでいるのか」「世の中のサイトはどうやってSEO対策をしているのか」を学ぶのもいい作戦だと思います。
文章の勉強をする際に参考になった本:ナタリーの「新しい文章力の教室」を読んで、自分の文章の未熟さを反省した。