少し前にネットで話題になった「新しい文章力の教室」という本を読んで、僕は自分の文章力の未熟さを恥じた。
「新しい文章力の教室」は、ニュースサイト「コミックナタリー」の新入社員向けのトレーニング向けプログラムを書籍化したもので、本の中には文章のアンチパターンが散りばめられている。
人に伝わり、最後まで読んでもらえる文章を書くにはどうしたらいいか?
この本には、正しくわかりやすい文章を書くためのエッセンスが詰まっている。
冒頭でしれっと書いた「アンチパターンが散りばめられている」という文章に問題があることに気付いた人はいるだろうか?
「アンチパターン」というのは、ソフトウェア開発などで「やってはいけないこと」という意味で使われる。
このような「一般性のない言葉」を説明抜きに使ってはいけない。
たとえば、僕が愛読する恋愛ブログでは以下のような表現が使われている。
渋谷で声かけしたスト値6の女を連れ出し。
バーでサインが出たので物陰でCTして見事ゲット。
僕が読むと「うおお」と胸が熱くなるけれど、一般人に意味不明な文章だろう。
一般的な表現に直すとこうなる。
渋谷でナンパして、そこそこ可愛い子を引っ掛けた。
バーで一緒に飲んでいたら、なんだかいけそうな顔をしていたので、店を出た。
暗いところでお触りしたら相手もその気になって優勝。
たくさんの人に自分の想いを伝えるインフラが整っている恵まれた時代だ。
ツイッターでもいい。
ブログでもいい。
フェイスブックだっていい。
誰でも無料で、自分の言葉で発信することができる。
どうせ伝えるなら、正しい文章を綴りたい。
「文章力の教室」を読みながら、僕は何度も目から鱗が落ちた。
僕がいつも無意識のうちに使ってしまう文章の悪い癖がいくつも紹介されていたからだ。
この記事では、本で紹介されている文章のテクニックのうちいくつかを、僕の失敗を交えて紹介していきたい。
以下、紹介口調でいこう。
伝聞表現、推量表現に逃げるな
・30過ぎて合コンばっか行ってる人
— ヒデヨシ (@cook_hideyoshi) 2017年4月9日
・30過ぎてナンパしてくる人
・30過ぎてツイ廃
どれか一つでも当てはまったら間違いなくポンコツだから、絶対に恋愛対象にしない方がいいと思う。
新卒でベンチャーを選ぶのがいいのか、大企業を選ぶのがいいのかは人それぞれで正解はないんだけど、
— ヒデヨシ (@cook_hideyoshi) 2017年3月10日
「大企業はオワコン!」「これからは個人の時代!」「裁量大きなベンチャー最強!」
みたいに、ネットで大きな声で煽る人に影響受けるような学生は、とりあえず大企業行っといた方が安心だと思う。
伝聞というのは、「~といわれている」「~だそうだ」みたいに、人から聞いたことのように話すこと。
推量とは、 「~のようです」「~と思われる」とか、話し手の予想を語ることです。
推量表現はインターネットでは炎上を避け、他人の悪意を避けるために使われますが、リアルで推量表現を使うと受け手に自信のない印象を与えます。
自信を持って言えることは、断言しましょう。
上の文章であれば、
・30過ぎて合コンばっか行ってる人
・ナンパしてくる人
・30過ぎてツイ廃
どれか一つでも当てはまったらポンコツだから、恋愛対象にするべきではない。
と言い切ってしまうことが大事です。
特にビジネスシーンでは自信のないことは「~らしいです」「と思います」と言いがちですが、やめましょう。
ちなみにブログで断定調を使いすぎると、はてブで炎上します。
体言止めを多用するな
「まぢすか!それわ以外!出会いがないからぢゃないですか!!😂」
— ヒデヨシ (@cook_hideyoshi) 2017年4月16日
とメールを送った26歳。
「それわ」「まぢ」「ぢゃない」「以外」「😂」など、たった2行で5つのツッコミどころを生み出す新手の芸人なのでは。
高校生ならわかるけど、25過ぎたら予測変換できない文章を送るべきではない。
食べてもいないものを批判するのは武士ではない、ということで和民に突撃。
— ヒデヨシ (@cook_hideyoshi) 2017年4月14日
普通に和民うめえぞ。和民をばかにしてはいけない。
俺は今、和民に愛を試されてる。 pic.twitter.com/Ik2JfJSqDE
体言止めとは、文末を名刺や代名詞で終わらせるテクニックです。
体言止めを使うと文章にスピード感が出るのですが、使いすぎると読者に負担を与えます。
というのも、体言止めで省略した部分を読者が無意識のうちに補ってくれているからです。
上のツイートだと、和民に突撃"した"の?(過去形)
和民に突撃"する"の?(未来形)
などを読者が頭の中で瞬時に判断して、補完しています。
このような無意識の補完作業は読者を疲れさせてしまうため、最小限に留めましょう。
指示語を使いすぎてはいけない
カードの年会費をいくら払っても全くモテないことを確信し、アメックスを解約して年会費無料のAmazonカードに変更。
— ヒデヨシ (@cook_hideyoshi) 2016年7月29日
そして昨日ようやくカードが届いたんだけど、これはすごい。ダサさが極まってる。カードが段ボールみたいだ。 pic.twitter.com/4cLJmvpKjc
140文字では「使いすぎ」を表現できないのですが、指示語は極力減らしましょう。
「そして昨日ようやくカードが届いたんだけど、これはすごい。」というツイートでは、「年会費無料」がすごいのか、「カードが届いたこと」がすごいのか、「Amazonカードがすごい」のか、読者がいちいち判断しなければいけません。
これ、それ、あれ、どれのことを「こそあど言葉」といいますが、具体的な言葉に置き換えましょう。
上の例だと、「昨日ようやく届いたAmazonカードがすごい」と言い換えるといいですね。
ちなみに、「上の例」も指示語です。「ツイートの例だと」にしないと、読者に負担をかけてしまいます。要注意です。
トートロジーは子供っぽい
「トートロジー」は「文章力の教室」を読んで初めて知った言葉です。
同じ言葉を反復させる修辞技法のことを言います。
ツイッターで適当な具体例を持ってくることができなかったので、ここで例文を作ります。
「そのおっぱいは、マシュマロのように柔らかく、雲のように白いおっぱいだった」
このように、主語と述語が同じ文章のことを「トートロジー」といいます。
トートロジーを使うと当たり前ポエムっぽくなってしまうんですよね。
ツイッターで話題の「あたりまえポエム」早速購入したんだけど、これはすごい!
— ヒデヨシ (@cook_hideyoshi) 2017年4月12日
俺さんのスタンプと組み合わせることで汎用的なLINE構文ができてしまった。
ちなみにLINEのスクショはヒデヨシの一人グループで素振りしたもの。 pic.twitter.com/8YbEoUFvRU
当たり前ポエムを作ると、当たり前なポエムになってしまうよ、みたいな。
読者に違和感を与えないためにも、気をつけましょう。
文頭一語目の読点はアホっぽい
前にゴールドジムに通ってたことがあるんだけど、あそこは別世界だった。
— ヒデヨシ (@cook_hideyoshi) 2017年2月10日
学歴も職業も年収も関係なく、純粋に筋力だけで序列が生まれる世界。
そこには嫉妬やマウンティングは存在せず、鍛え抜かれた筋肉への敬意と尊敬で空間が満たされていた。そして、強い人は皆、優しかった。
エクセルシオールを愛し続けて数年経つのですが、今も変わらず快適で、本を読んだり勉強したい人にはイチオシのカフェです。
— ヒデヨシ (@cook_hideyoshi) 2016年10月15日
そして、数あるエクセルシオールの中でも最強なのが、汐留のソフトバンクが入ってるビルのエクセルシオールで、朝からゆっくりしたい人には超オススメです。 pic.twitter.com/9WEnFuMQie
「文頭一語目の句読点アホ説」を知ったとき、僕は正直ショックでした。
というのも、「そして、」とか「さらに、」で一語目から句読点を打つのは僕の昔からの癖だったからです。
短い間隔で、句読点を、連続で、打つと、とても、アホそうに見えるので、語呂・字面・意味の3つの見地で読み直しながら文章を吟味する必要があります。
丸かっこで捕捉しすぎるのは文章構成力が低いということ
丸かっこは便利です。
後ろにつけると、言いたいことをさりげなく捕捉してくれるからです。
たとえば、クラブでLINEを交換した女の子に
「昨日はありがとうね!(本当は一緒に帰りたかった)」
なんて送ったとしましょう。ヒデヨシにありがちな例文です。
本人はメタ言及っぽい雰囲気を出してるつもりのこの丸かっこがキモい。
男ならかっこに頼らずに伝えましょう。
「昨日はありがとう。
一緒に連れて帰りたかった」
と堂々と伝えるのです。そしてブロックされた。
例を挙げていくとキリがないのですが、この記事で紹介したものは「新しい文章力の教室」で紹介されているテクニックのごく一部です。
一度読んでおくと、ツイッターやブログで文章を書くときに、
「あれ、今もしかして、伝わりづらい表現使っているのでは?」
と気付くことが多くなります。
大人になると文章を誰かに添削してもらう機会はあまりありません。
正しい文章の書き方を自分で学び、書くたびに自ら矯正していかないと、いつまでたっても文章が改善しません。
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「新しい文章力の教室」を読むと、文章を書きながらここは「文節レベルの重複はNGの法則」に引っかかってる!と気付くことができるわけです。
「文節レベルの重複」というのは
「機会はあまりありません。」
「いつまでたっても文章が改善しません。」
のように、語尾が重複するのは幼稚な印象を与えてしまう、という法則です。
昔、スラムダンクという伝説のバスケ漫画で、赤城キャプテンが言いました。
「正しいフォームでシュート練習しなければ、いつまで経っても上達しない」
「新しい文章力の教室」は、文章の正しいフォームを教えてくれる、文章界の安西先生のように感じました。
新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング (できるビジネス)
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