「ブログは毎日更新しろ」は正しいのか



ブログは毎日更新しろ、呼吸するように更新しろ、毎日ブログを書くのは当たり前で、それすらできないでごちゃごちゃ言うな、という強烈な主張は、かつてのプロブロガー界隈でよく見られた。

イケダハヤトさん、マナブさん、タクスズキさん、そしてあだち先生も「毎日の継続」の重要さを説いていた。
あだち先生はプロブロガーというよりアフィリエイターに属するだろうが、一般の方から見たらあまり変わりないだろう。


イケハヤさんに関しては最近は「毎日Youtube更新しろ」になっている気もするが、何かを発信するなら継続する、できれば毎日やるのが原則という主張は変わらない。

一方で、副業で(役員報酬として)年収4000万、アフィリエイト収入としては年数億を稼いでいるmotoさんの「転職アンテナ」は今数えても記事数は21個だけで、更新頻度は正直かなり低めというか、月にひと記事程度だ。

アフィリエイトの場合、Google検索の順位とコンテンツのコンバージョン率で収益が決まってくる。

motoさんのサイトは「転職 おすすめ」というキーワードでGoogle検索1ページ目に表示されていて、さらには昨今の転職市場の活況も追い風となって、莫大な収益を上げ続けているのは間違いないだろう。

motoさんの著書『転職と副業のかけ算』の第4章 本業を活かして稼ぐ「サラリーマンの副業」では、「副業を労働集約型にしてはいけない」と強調されている。

人間がたくさん稼働し続けなければ稼げないやり方は副業には向かないよ、ということだ。
副業サラリーマンは時間が限られているから、自分が手を動かさなくてもお金を稼げる仕組みを作らなければいけない。

限られた時間の中で成果を最大限高めるためにテーマの選定や事前リサーチを徹底し、本業で時間をかけて得た経験を副業に還元していくやり方を推奨している。

oreno-yuigon.hatenablog.com


motoさん方式の副業は「とにかく記事を書きまくれ!毎日だ!いいからやれェ!」というプロブロガーの主張とは毛色が異なっているようにも見える。

とはいえ、motoさんのように少数の記事で大成功するのはやはり難しく、量を積み重ねて経験を得る必要もあるかもしれない。

ここからは僕自身の経験を踏まえ、「ブログの毎日更新」について、メリットとデメリットを考えてみたい。

ブログを毎日更新するメリット

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僕自身、昨年はほぼ毎日ブログを更新し、今年に入ってからややペースは落ちたものの、2日に1回程度の更新頻度は維持している。
自分自身の経験から、毎日更新の良い面を述べていきたい。

習慣化による負荷の軽減

ブログでも筋トレでも英語の学習でも全てに言えることだが、何かを始めるには意志力と労力を要する。
重い腰を上げて記事を書き出すまでが辛く、習慣になっていない場合はつい「今日はやめよう...明日でいいか...」と自分を甘やかしてがちだ。

ジムに行くのが億劫だったり、オンライン英会話の予約ボタンを押せなかったりするのと同じ。

「毎日やる」と決めてしまえば、まず「ブログを書く」という決意をする必要がなくなる。

何を当たり前のことを言っているんだお前は、と呆れられるかもしれないが、

「やるか、やらないかの決断がいらない」

という心理的な負荷軽減効果は想像以上に大きい。

また継続による「慣れ」によって作業中の負荷も小さくなってくる。
ブログを一つ書くのに10の気力を使っていたのが、慣れてくると1くらいしか使わずに書けるようになってくるということだ。
とはいえ、書く時間が劇的に早くなるわけではないのだが。


僕たちは毎日当たり前のように歯を磨いていて、歯を磨かないで寝ると気持ち悪いだろう。
それと同じで、毎日のブログ更新が当たり前になると「やらないで寝ると気持ち悪い」という感覚が芽生えてくる。

起きてから寝るまでの間に「毎日何かを書く作業」を続けるのは、アウトプットの習慣をつける意味でも効果的だ。

試行と改善の繰り返しによる上達

毎日ブログを書くことで、試行回数を増やすことができる。
「とにかく書け」と思考停止して、何も考えずに続けるだけなら疲れるだけで効果は低いが、

「こうしたらもっと良くなる」
「次はこんなことを試してみよう」

と色々と考えながら毎日続ければ、早く上達するだろう。
これもブログに限らず、ほぼ全てに通じる。

「考えながら毎日継続」は上達のコツだ。

検索順位への好影響

不確実な情報だが、毎日更新するとGoogleのインデックスが早くなるとか、評価されやすくなるという説もある。
全く更新されていないサイトのアクセスが下がりやすいのは事実で、サイトの定期的なメンテナンスが必要なのは誰も異論がないだろう。

毎日更新を続けたとしても、内容が薄ければあまり意味はない。
薄めたカルピスのような記事は、Googleにも読者にも評価されないはずだ。

努力や祈りや想いがGoogleに通じるわけではないが、記事に情熱を込める意味はきっとある。

それと毎日発信のポジティブな効果は「読者の継続的な流入」にあると思われる。

誰かにとって有用な記事を毎日発信すると

  • 何度かサイトを訪れた人が再びサイトを見に来てくれる確率が高まる
  • ふと思い出した人がブログ名で検索してくれる
  • 過去記事を指名検索してくれる

などの検索行動につながる可能性が高い。

どのサイトがどのように検索され、どんな人が訪れているかをGoogleは見ているはずなので、毎日更新が結果としてGoogleの評価を高める可能性はある。

やみくもに毎日更新すればいいというわけではなく、誰かが後で検索したくなるような記事を毎日アップすれば、Googleの評価につながりそうだということだ。

SNSの方が検索順位に影響があるのかもしれない

以前物議を醸し出した記事がこちら。
oreno-yuigon.hatenablog.com

ツイッターの評価が検索順位に影響しているのではないか、というもの。
SNSなどの不特定多数の人から「○○の専門家」と認識されて、想起される存在になったら検索順位が上がりやすいのではないかという仮説だ。

「ブログで稼ぐ」だったらヒトデさん、転職だったらmotoさんなどがわかりやすい例だろう。

この仮説が正しいとしたら、ブログを毎日更新するよりも、ソーシャル上での専門性&立ち位置を上げていった方が急がば回れで効果が高いのかもしれない。

Googleは公式では「SNSのリンクは検索の評価に関係ない」などと発表していたが、

「ソーシャルの専門性と権威性は検索順位に影響を及ぼす」

は、あながち誤った仮説でもないと思っている。

毎日更新のデメリット

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毎日更新は良いことがたくさんありそうだが、もちろん毎日更新すれば必ず幸せになれるというわけでもない。
実際、毎日のブログ更新で失ったものもたくさんあった。

毎日少なくない時間を投入することになる

当たり前すぎる話だが、いくら強調しても足りないくらい重要なことだ。

毎日のブログ更新の負荷はものすごく大きい。

上の方で「習慣化すると、やらないことが気持ち悪くなる」と書いた。
逆に言えば、毎日更新を自分に課すと、ブログの更新なしでは気持ちよく眠れないということだ。

僕の場合は一つの記事を書くのに推敲も含めて2時間程度かかっている。
毎日更新するということは、一日に使える時間が2時間少なくなるということでもある。

記事を書くために取材したり、本を読んだりする時間も含めると2時間以上になるだろう。

「アウトプットの2時間」は脳の負荷も高く、ブログ更新後は他の何かをやる気が失われてしまう。

結局、ブログを毎日更新していた昨年は、プログラミングや英語の勉強が疎かになってしまった。

毎日2時間を他のことに使えば、別の何かを身に付けることができたかもしれない。

僕たちの人生は自分の才能と、時間の密度と、どういう風に時間を使うかで決まってくる。

限りある時間を「ブログ」に使うのか、その他の何かに使うのかはよく考えた方がいい。
ブログに時間を使うことで、「手に入れられるはずだった何か」を失っている可能性はあるということだ。

余談だが、僕はブログを書くために人と会う時間をかなり削った。
遊びもやめた。酒も飲みに行かなくなった。そして友達が少なくなった。
残業も徹底的に削減し、会社でちょっと気まずくなった。

「文章が書けること」自体の価値は高くない

プロブロガーは社会経験が乏しいので、「ブログを書ければ社会に通じる」みたいなことを言う人もいるが、

「ウェブの物書き」

の価値はそれほど高くない。参入障壁が低く、専門性がなくても誰でもできてしまうからだ。
もちろんブログで本気で稼ぐにはSEOの知識、HTML・CSSの知識、サイト構造の知識などが必要となる。

しかしそれらの知識がなくても「ブログを書いてアップすること」自体は誰でもできる。
多数の人気ツイッタラーが恋愛メディアに寄稿しているが、彼ら彼女らにSEOの専門知識があるわけではないだろう。

物書きの参入障壁は低く、供給過多になりがちだ。

僕自身、毎日ブログを書いてきて、人よりも真剣に文章に向き合ってきたという自負はある。

それでも、

「物書きの価値はそれほど高くない」

と言わざるを得ないのは、上述したように参入障壁が低くプレイヤーが多数ひしめいているからだ。

村上春樹がウェブで何かを書くことには凄まじい価値があるが、自分自身がブランドとなっていない人が物を書いても差別化は難しい。

物書きのスキルを磨いても、転職活動などでは評価につながらないし、つながったとしても高給にはならないだろう。
ライターはアルバイトでも雇えてしまうからだ。

つまり、磨いた文章スキルは自分のサイトで換金するしかなく、将来の雇用の保証にはならないのは辛いところだ。
何か別の専門性と発信力をかけ合わせるのが現実的なリスクヘッジとなるだろう。

不確実性が高すぎる

「ブログで稼ぐブーム」は急速に縮小しつつあるように見える。
そもそもブログを継続するには地味に根性が必要で、会社員生活を続けられない、勉強も嫌いで仕方ない、みたいな脱社畜属性の人には向いてない。

そしてせっかく毎日更新してページビューが集まったとしても、Googleの検索アルゴリズムの変動によって一気に収支が落ち込んだりもする。

またアフィリエイトも不確実な要素が多い。

アフィリエイトリンクを経由して成果が発生しても、理由もわからず「非承認」とされることも多く(本当に多い)、自分の生活の柱とするのはあまりにも心もとないだろう。

つまり、労力に対して得られるものが少なくなる可能性も高いということだ。


まとめると、「毎日更新」は習慣化や上達の意味で効果はある。
しかしその習慣化の対象を「ブログ」にするか、他の何かにするかはよく考えた方がいい。
毎日更新しても報われないことは割とある。好きなら毎日やるのもいい。


個人的には、市場で評価されやすい何か(例:プログラミング、英語など)を毎日継続して、そこで得られた知見をブログなどの媒体を通じて発信するのが最もリスクが低く、費用対効果が高いやり方ではないかと思っている。


記事を更新した後、藤沢数希さんの何気ないツイートが印象に残った。
「専門性×SNS力」の掛け合わせはやはり強いのだろう。


oreno-yuigon.hatenablog.com