「学生時代を思い出して懐かしがるのは構わないが、
あの時は良かったな、オアシスだったな、と逃げるようなことは絶対に考えるな。
そういう人生を送るなよ」
僕が20歳の頃に読んだ『砂漠』という小説で、学長が学生に贈った言葉です。
学生時代を思い出して「あの時は良かったな」と逃げるような人生を送ってはいけない。
この言葉は僕の中に深く刻まれて、人生哲学のようになっていました。
この台詞を読んでから僕はずっと、
「学生時代が良かったなんて考えてはいけない」
と思って生きてきました。
「今が一番楽しい」
そう言える人生を送らなければいけないんだって。
小説を読んでから10年以上の時が経ち、そろそろ学長の呪いも解けてもいい頃。
いま改めて学生時代を思い出してみると、こんなことを言うと意識高い人に殺されるかもしれませんが、
学生時代ってやっぱり最高じゃないですか?
平日も休日もなく、好きなときに好きなことをやってよかったあの頃。
通勤電車もなく、好きな時間に寝て、好きな時間に起きて、好きな本を読んで、横には彼女がいて。
貧乏だったけど楽しかった。
年収は今の10分の1で、部屋の面積も4分の1だったけど、幸せだったんだ。
そこに自由があったから。
でもこの感情は、もしかしたらただの無いものねだりなのかも?
実際に経験してみないと、あの頃が本当に良かったのかなんてわからない!
というわけで、せっかく有給が取れたので、あの頃のニートのような生活を再体験してみました。
平日の六本木に行ってみた
尾崎豊が盗んだバイクで走り出したのは15の夜でしたが、
30過ぎたおっさんが、なけなしの金で買った自転車で、
行く先もわからぬまま走り出して辿り着いたのが六本木でした。
誰にも縛られたくないと逃げ込んだ六本木けやき坂
そのふもとにあるのが、六本木に行ったことがある人なら誰もが見たことのあるスターバックスです。
僕は何度も何度もこのスターバックスを見たことがあるのに、中に入ったのは今日が初めてでした。
めちゃくちゃ綺麗です。
平日でも中はほぼ満席で、なんとなくですが、時間がゆっくりと流れているような気がしました。
スタバでソイラテを飲みながら優雅に本を読む素晴らしいひと時。
そんな素敵な時間を過ごすつもりが、自転車による長旅に疲れて眠くなってきたので、
ソイラテを飲み終わったらすぐに店を出ました。
平日に時間があるってこういう生活なのかな?
自由って何なんだろうか?
帰り道、自転車をこぎながら、
「自由って何だろうか?」
と考えました。
僕たちが「自由である」と感じるためには、3種類の「自由」を手に入れなければいけません。
一つ目は、お金の自由です。
僕たちはお金がなければ生きていくことができません。
家に住むことも、食べることも、服を買うこともできません。
だから、しんどくても生きるためにお金を稼がなければいけません。
二つ目は、時間の自由です。
お金があったとしても、時間の自由がなければ「自由」を実感することは難しいでしょう。
「好きなときに、好きなことをする」と「生きていくお金を稼ぐ」を両立させるのはとても難しい。
会社に行って、給料を頂いて、お金はあるはずなのにどこか不自由を感じるのは、僕たちに時間がないからです。
「働かない生活をすればいい」というわけではなく、
「好きなように時間を使う選択肢がないこと」に不自由を感じているのだと思います。
三つ目は、心の自由です。
お金と時間に自由があっても、心が自由じゃない場合もあります。
いつも締切に追われていたり、やらなければいけないことで頭がいっぱいのときは、自由な状態とは言い難いと思います。
こうやって見てみると、自分の力で生活しなければならない大人が「自由」を勝ち得るのは、とても難しいなぁというのが正直なところです。
仕事はもっと楽しいはず
仕事をしながら感じる「息苦しさ」の原因は何かと考えると、
一つは「自由がないこと」が挙げられると思います。
決まった時間に出勤し、会社にはたくさんのルールがあって、自分以外の人に自分の行動の決定権を委ねてしまう状況は、自由とは言い難いでしょう。
最近、懸賞金が15億ベリーになったルフィのこの言葉は、会社員にもよく当てはまるのではないでしょうか。
「何でもかんでもお前は手の中に閉じ込めて」
「どいつもこいつも操ろうとするから」
「おれは息がつまりそうだ!」
とはいえ、会社員として生きていく以上、ルールを守り、(好き勝手行動するのではなく)会社にとって最も合理的に動くことは当然です。
「好きなことで生きていく」
という甘美な響きの裏側には、自分でリスクを背負って生きる覚悟があるわけです。
そのリスクを放棄した以上、ある程度の制約は甘んじて受け入れなければいけません。
ただ、多くの会社員がどこかイライラしていて、不満そうに見えるのは、
「自分でやることを自分で決められない」
という制約が原因の一つなのかなと思います。
「人間関係を自分で選べない」が一番大きいかもしれませんが。
逆に言えば、会社員であろうと、自分から積極的に動いて、自分で仕事を創っていけば、もっと楽しく働けるのかもしれません。
幻冬舎の箕輪さんとかゾゾの田端さんはいつも楽しそうですよね。
大学生の頃の生活は最高だったとしても、今はもう大人になってしまいました。
今いる環境で頑張っていくしかないのです。
置かれた場所で咲きなさい、とはまさにそのことなんですね。
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