【映画化】『翔んで埼玉』の名言・暴言がひどい



『翔んで埼玉』の映画化が決まりました。

なんとこの漫画、1983年に描かれた漫画です。

僕が生まれる前の話で、絵面からもどこか昭和の香りがしてきます。

f:id:hideyoshi1537:20181104103752p:plain


二階堂ふみ、Gackt、伊勢谷友介などをキャストとして2019年2月に実写化が決まった『翔んで埼玉』ですが、この漫画は初っ端からぶっ飛んでます。


f:id:hideyoshi1537:20181104105039j:plain


『翔んで埼玉』の2ページ目では、「埼玉県」が以下のように紹介されています。


**

ご存じない方も多いと思いますが、東京都のとなりに埼玉県という所があります。

聞いたことがない?

無理もありません。何しろ埼玉というのはたいへんな田舎なのです。

どれくらい田舎かというと、

つい10年前までランプといろりで生活していたほどで、最近やっと電気が通うようになりましたが、まだテレビというものが珍しく、

夕食時になると村人が庄屋様の家に集まって見物しています。


県知事閣下はいまだに県民から年貢を取り立てていますし、埼玉から東京へ行くには通行手形が必要なのです。

埼玉県民は皆一生に一度は花の都東京を見学したいと思っていますが、なかなか手形が手に入りません。

運良く手形を手に入れても都内で勝手な行動は許されません。

**


このように埼玉を紹介された後、これでもかというくらい埼玉をディスりまくります。


「三越は東京都民の行く所だ!埼玉県民は西友へ行け!」


のように。

現代のように読者の声が可視化されやすい世の中では、このような漫画を発表することは難しいでしょう。

PTAで問題になり、ツイッターで炎上し、出版社に苦情が届き、埼玉県民が武装蜂起して宝島社を取り囲む事態に発展しかねません。


1980年代は今と比べて、表現に対しておおらかな時代だったのだと思います。


さて、そんな古きよき時代に描かれた『翔んで埼玉』では名言・暴言・珍言が所狭しと並べられています。

どのページも気持ち良いくらい埼玉をディスっており、その徹底ぶりは作者をして「描いている時は錯乱状態になっていた」と言わしめるほどです。


ちなみに作者の魔夜峰央さん曰く、

「埼玉県民から苦情は一件も来ていない。茨城の親戚から苦情が来たくらい」

だそうです。

また、埼玉県知事 上田清司氏は気持ちの良い人物で、『翔んで埼玉』の映画化を祝福し、

「悪名は無名に勝る」

と肯定的なコメントを出しています。


あらすじ

都内の名門高校に麗・麻美というイケメンが転校してきました。

アメリカに留学していた超一流の男で、スポーツ万能、頭脳明晰と非の打ち所のない人物です。

Gacktが演じるキャラですね。


そんな麗が気に食わず、勝負を挑むのが自治会長の白鳳堂百美でした。

二階堂ふみが演じるキャラです。


百美は麗に勝負を挑むもことごとく返り討ちにされ、最後に唇を奪われて恋をします。

ちなみに百美も麗も男です。


麗に一生ついていくと誓った百美でしたが、二人の間には大きな壁が存在することがわかります。

実は麗はあの埼玉県民だったのです。


麗の父親は埼玉県の立場を向上させるために、麗を留学させ、埼玉の臭いを消し、東京都で政治家として活躍させようとしていました。

麗は「埼玉県民だからっていじける必要はない。堂々としていればいい」と主張しますが、都民はそんな埼玉県民を許しません。

麗の目的は、埼玉県民として、虐げられた埼玉県民の立場を向上させ、日本の身分制度を根本から覆すことです。


さて、ここからは漫画で紹介される名言の数々を紹介します。

気持ち良いくらいのディスりで、会話の参考にしたいレベルです。

埼玉なんて言ってるだけで口が埼玉になるわ

麗を連れて校舎を案内する女子学生のセリフ。

もともと埼玉県民だった人間はZ組と呼ばれる物置のような部屋に閉じ込められています。

女性とがその物置を指さして言った言葉が

「埼玉なんて言ってるだけで口が埼玉になるわ」

です。


「あいつらは今でも手形がなけりゃ街を歩けないのよ

生まれも育ちも埼玉だなんて

おお、おぞましい」


そこらへんの草でも食わせておけ!埼玉県民ならそれでも治る!

腹痛をおこした生徒が医務室に向かおうとしていました。

生徒会長の百美はそんな生徒に対して、

「医務室を利用できるのは東京都民だけだ!出て行け」

と一括し、最後に吐いたセリフがこれです。


「埼玉県民は草を食わせておけば治る」


そんな百美に対して、埼玉の生徒は「あたしたちは牛じゃない...」とぼやきます。

埼玉狩り

都民のための場所に紛れ込んでいる埼玉県民を狩り出すのが「埼玉狩り」です。

かつて豊臣秀吉は刀狩りを実施しましたが、『翔んで埼玉』では埼玉狩りを行います。


都内を歩いていた婦人をひっ捕らえた警察はこう言います。


「ごまかしてもむだだ!

埼玉県民特有のコヤシの匂いがプンプンしてるわ!」


そんな婦人をかばう麗。

警察は麗を罵倒します。


犬以下の埼玉県民をかばいだてするつもりか!」


あくまで埼玉県民を守ろうとする麗に、「きさまも埼玉県民じゃないのか?」と問い詰められます。

やけになった麗は「だったらどうする」と言い返します。


その瞬間────


周りの人間は一斉に距離を取り、麗は気付いてしまうのです。


「やっと理解した。

埼玉と聞いただけで人々がいかに冷たい目で自分を見るか...

まるで不潔な汚水溜めを見るような目つきで...」


埼玉にタクシーはない

『翔んで埼玉』で描かれる埼玉にタクシーは存在しません。

タクシーではなく、牛車か馬車に乗らなければならないのです。

埼玉県民は日の出と共に起き出し、日の入りと共に寝るという習慣から抜けきれていません。

f:id:hideyoshi1537:20181104113346p:plain
『翔んで埼玉』1巻より


茨城は埼玉以下

『翔んで埼玉』で百美が埼玉に訪れるシーンで、埼玉内でムチを打たれている人がいます。

彼らはなんと、茨城県民

『翔んで埼玉』の世界では、


東京>>>(越えられない壁)>>>埼玉>>>茨城


といったヒエラルキーが確立されており、茨城県民を見た百美はこう言います。


「茨城!?茨城というと、埼玉のさらに奥地にあるといわれるあの日本の僻地!?」


茨城に行くためには常磐線と呼ばれるローカル線に乗って三日三晩無人の荒野を走らなければならず、たどり着いた先には人間が住んでいるとは思えない荒廃しきった町並みが広がります。


f:id:hideyoshi1537:20181104112936p:plain
『翔んで埼玉』1巻より


そんなどん底の茨城県民が埼玉に出稼ぎに来て50銭の日当をもらっているのです。


そんな茨城県民を見て、百美は言います。


「下には下があるってことか」


サイタマラリヤ

『翔んで埼玉』では原因不明の奇病が発病します。


サイタマラリヤです。


小型春日部蚊が媒介する埼玉特有の熱病で、強い伝染性を持つ危険な病気です。

サイタマラリヤに羅患した患者が現れたことで、埼玉県民が都内に潜伏していることが発覚してしまいます。


f:id:hideyoshi1537:20181104113846p:plain
『翔んで埼玉』1巻より


サイタマラリヤを保菌した埼玉人を探す警察が、潜伏した埼玉県民をあぶり出すために行ったのが「踏み絵」でした。

f:id:hideyoshi1537:20181104114154p:plain
『翔んで埼玉』1巻より


「踏み絵」は埼玉県知事の写真を踏めるかどうかで埼玉県民かどうかを判別しようとするもの。

麗はどうしても埼玉県知事の写真を踏むことができず、潜伏がバレてしまいます。


警察に取り囲まれるものの、命からがら逃げ出した麗。

埼玉県民居留地に逃げ込み、体制を整え、麗の逆襲が始まる───


といったところで終わるのが『翔んで埼玉』です。

1巻で終わりで完結していません。


映画版では原作では描かれていない「その先」のパートも描かれるそうです。


翔んで埼玉

翔んで埼玉

埼玉ディスは愛情

東京の隣にあるというだけで毎回ディスられる埼玉ですが、実はそれほど田舎ではありません。

大宮駅は綺麗で大きいですし、人口もたくさんいます。

電気も通ってるし、2018年の今ではタクシーにも乗れるようになっています。


都民は埼玉人をディスりがちですが、このディスりはむしろ愛情であるともいえるでしょう。

本気で埼玉をディスるでもなく、その人の人格を否定するわけでもなく、ただ「埼玉に住んでいること」をイジっているだけです。

僕の経験上、埼玉をディスられて本気で怒る埼玉人はただの一人もいませんでした。


埼玉ディスは社会のコンセンサスであり、誰も不快になることなく笑えるネタでもあるのです。

もしかしたらインターネット上では「埼玉ディスは無礼だ!」とキレる人がいるかもしれませんが、そういう人は何に対しても怒り続けているので、スルーして大丈夫です。