エクストリームサラリーマン vs 脱社畜のカリスマのプロレスを見て思ったこと



何があったの?

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箇条書きで端的に紹介します。

まずはサウザーさんの主張から。

  • Voicy常に上位にいるサウザーさん
  • サウザーさんは勤め人(会社員)をやるだけではなく「自分の商品を持て」と主張
  • 給料は労働の経費。勤め人だけでお金を貯めるのは難しい
  • 勤め人は時に不条理に晒されることもある

voicy.jp


そんなサウザーさんの主張に対して、田端信太郎さんが発信したVoicyの内容はこんな感じ。

  • 勤め人disは視野が狭い
  • 勤め人がみんな辛いわけではない
  • 勤め人を楽しんでいる人もいる
  • 勤め人はダメ、株はダメと決めつけてはいけない
  • 反例は「俺」

voicy.jp


Voicyで脱社畜のカリスマとして多くの人の心を掴むサウザーさん。

そんなサウザーさんに対し、エクストリームサラリーマンの立場から田端さんが反論し、ツイッターで大きな議論を呼びました。

ツイッターで「サウザー 田端」と検索すると、多くの人の意見を覗くことができます。


両者のファンである僕も大変興味深く観戦していました。

本当に色々と考えさせられるプロレスだったので、感想を記事にまとめます。

世の中みんな人それぞれ。じゃあ誰をターゲットにするか?

ツイッターだけを見ると「田端 vs サウザー」すなわち


「勤め人 vs 自由人」


の二項対立が目につく。


しかし田端さんのVoicyを注意深く聴くと、彼は


「世の中には色んな人がいる。

サウザーさんの意見には8割は賛成だが、視野が狭い部分もある」


と言っていて、サウザーさんの主張を全て否定しているわけではないことがわかる。


世の中には色んな人がいるのだ。


僕の肌感覚で勝手に述べよう。

  • 勤め人すげえ楽しいよ!
  • この会社で成し遂げたいことがあるんだ!
  • サラリーマンはモテる!商社に入ったら彼女ができた!

のように、勤め人をとてもポジティブに考えている人が3割程度。

  • 勤め人は楽しいと思いたい。
  • 勤め人をやっていてよかったと思っていたい
  • 勤め人の安定は何にも代えがたい

のように、勤め人である自分をポジティブに捉えたいと願う人が3割程度。

  • 自由が効かない勤め人は辛い。
  • 成果が自分のモノにならない勤め人はクソ。
  • アホが作ったアホなルールに縛られて、無駄なことばかりやってる勤め人はオワコン

のように、意識高い系で勤め人を否定する人が2割程度。


最後に、

  • 上司がクソで辛い。
  • 残業多すぎて辛い。
  • パワハラ、セクハラがキツくて会社に行きたくない

と、環境に押しつぶされそうな勤め人が2割程度と考えている。


田端さん、サウザーさんも世の中には様々な人がいることは当然わかった上で、Voicyの声を届けたいターゲット層を慎重に選んでいる。

万人向けに発信しても誰にも響かない。


田端さんは


「会社楽しい!会社を舞台に活躍できる!」


と、勤め人ポジティブ層をターゲットにしていて、


サウザーさんは


「会社にいても埒が明かない。もっと自由に。

もっと好きなことをやって生きていくのが人生だ」


という勤め人ネガティブ層をターゲットにしている。


両者のターゲットが明確に異なっているからこそ、この論争は面白いのだ。



「反例は俺」の強さ

  • 勤め人をディスるのは視野が狭い。
  • 勤め人を楽しんでいる人もいる。

と田端さんは述べた。


その後に彼はこう言ったのだ。


「この俺が、嫌々電車に乗って、会社に行ってると思うか?」



これは強い。

言うまでもなく、田端信太郎さんは勤め人としても最も成功した部類の人間である。

上位0.01〜0.1%のサラリーマンだ。


そんな人に

「勤め人ってdisられるけど、俺は楽しいよ」

と言われたら、成功していない側としては


ぐぬぬ...


と口をつぐまざるを得ないのだ。


立場は違えど、これはホリエモンやイケハヤ氏と同じ論法である。

成功した起業家が、

  • さっさと会社辞めて起業しろよ!
  • 自由に生きたらいいじゃん!


と言えば、それは正しく見えるし反論しようがない。


年間1億稼ぐブロガーが

  • 会社員はオワコン
  • 自分で好きなことやって生きていくといいよ


なんて言うと、それはそれで反論できないのだ。


「成功例は俺」


いや、たしかにその通りなんだけど...ぐぬぅ...となる。


持たざる者としては何も言えない。

成功者の眩しい輝きに目を細めることしかできない。


勤め人は偉くなれば自由も効くし、楽しい


正直、勤め人は恵まれている。

失敗してもクビになることはめったにないし、制約の中でチャンスを掴みにいくことだってできる。


「育成のため」と言ってたくさんのお金を使ってくれるし、周りの人が良ければ嫌なことばかりではない。


さらに言えば、勤め人は結果を残せば残すほど自由が増える。

また、立場が上がれば上がるほど、楽しい仕事が舞い込んでくる可能性も上がる。


人間一人でできる仕事には限りがあるので、

会社を舞台にして大きなチャレンジができる人にとっては、会社は最高の遊び場であるに違いない。


一方で、会社には「偉くない人」「まだ偉くなっていない人」がたくさんいるという事実も忘れてはいけない。



ツイッターで偉い人が


「多くの部下を率いたことがない人間がサラリーマンをdisるのは薄っぺらい」


と言っていた。


しかし、部下がたくさんいて仕事の自由が効くような楽しい立場にいる人が、


「サラリーマン楽しいぜぇ!」


と主張するのもまた世界が違う話で、

部下もなくクソのような上司に罵られ、辛い毎日を送る人には響かないだろう。



田端信太郎さんはいつもすごく楽しそうだ。

大成功したビジネスマン像を惜しむことなく発信してくれる。


なんて自由なんだろう。

なんて楽しそうなんだろう。


とても夢のある姿だと思う。

しかし、田端さんがツイッターで炎上している裏で、

日の目を見ることなくせっせと上司の活躍の舞台を整えている部下もいるのだ。


もしかしたら、私たちの目には映らない彼の部下の中には


「俺が寝ないで頑張ってるのにツイッターで炎上しやがって...」


と恨み節を吐いていた人もいたかもしれない。

完全に邪推だが。



サウザーさんはそういう見えない有象無象の勤め人の声を代弁してくれている。


だから、有象無象の勤め人としてサウザーVoicy聴くと、一種のカタルシスを感じることができるのだ。



勤め人の成功は運の要素が圧倒的に大きい。限られた選択の機会が重要


勤め人で成功するかしないかは運の要素が大きい。

すごろくみたいに人の人生を勝手に巻き戻すことのできる神様がいたとして。


今、成功しているビジネスマンが新人からやり直しになって、もう一度同じくらい成功できる人は少ないだろう。

サラリーマンの成功は運の要素が大きすぎて、再現性がまるでないのだ。

  • 最初にどんなチームに配属されるか
  • どんな上司に当たるか
  • 部下に恵まれるか
  • 取引先に恵まれるか
  • 今担当している仕事が時代にマッチしているか


など、運に左右される要素が多い。

特に勤め人の初期段階では「自分で選べない何か」によって仕事が決まる部分が大きい。

上司や仕事を自分で好きに選べる人は少数だろう。


大いなる力で川の流れが定められてしまう。

その川の中でどっちに泳ぐか選択するのが勤め人ができる最大限の努力である。


だから、限りある選択の機会では慎重にならなければいけない。


どの川で泳ぐか。
すなわち、どの会社で仕事をするか。


泳ぐ川を変えるか。
すなわち、転職するか。


一つ一つの選択に正解はなく、何が正解かは泳いでみないとわからないのが現実だろう。

勤め人で成功した人の多くはとても運の良い人である。

かといって大成功した起業家は完全に実力かと言えば、そういうわけでもないと思うけど。


とにかく人生、運は大切だ。


運の要素を減らすには試行回数を増やすしかない

運に左右される要素を減らすためには、試行回数を増やすしかない。

試行回数を増やして色んなチャレンジを試みれば、最終的にはその人の実力に収束するはずだ。


この記事で触れている田端信太郎さんも絶妙なタイミングで転職を繰り返している。


初めに入社したNTTデータに今も勤めていたとしたら、今の田端信太郎さんは存在しないだろう。


彼も人生の要所要所で


「実力が発揮できる会社(リクルート)」

「これから伸びる会社(ライブドア)」


に転職し、キャリアを積み重ねていったのだ。

NTTデータの安定を捨て、勇気を出して(?)飛び出してチャレンジを続けてきたことで、

稀代のメディアメーカーとしての田端信太郎が出来上がったのである。


ちなみに田端さんの勤め人の歴史は教訓に充ちている。


リクルートでは社内の新規事業提案制度「RING」に応募し、チャレンジの機会を勝ち取っている。

ライブドア事件後、沈みゆくライブドアにあえて残り、執行役員に就任。

もしライブドア事件が起こらずに、ホリエモンが現役でライブドアがどんどん大きくなり続けていたら、今の田端さんの立場はなかったかもしれない。


ここから得られる教訓は、成功する人は要所要所で大きな逆張りを仕掛け、そこで成果を上げているということだ。

一人ひとりと人材が去っていく中で、チャンスを活かし、自分の名刺となる仕事を残していったのである。



自分の名前が前面に出るか出ないか


田端信太郎さんの転職には大きな特徴がある。


「自分の名前に信用が溜まっていく場所を選んでいる」

という点だ。


「企業名よりも自分の名刺になるような仕事を作れるかどうかが大事」


とたびたび主張するのはそのためだろう。


リクルートで『R25』の創刊に携わり、ライブドアではライブドアニュースを統括。

「BLOGOS」、「MarketHack」などの新規メディアを立ち上げ、その後は「WIRED」などのウェブ化を進める...


など、見れば見るほど輝かしいキャリアだ。

立派な名刺を作り続けてきた男である。


いや、本当にすごいな。

toyokeizai.net


実績という名刺があれば、人はその人を信用する。

信用があれば、また新しい仕事が舞い込んでくる。


自分の名前に実績が溜まっていく職場を選び、自分に信用を貯めていくのが田端さん流のキャリアの歩み方だろう。


ポジションを取れる人はカッコいい


「勤め人 vs 脱社畜」論争を遠目で見ながら、


「ポジションを取れる人はカッコイイな」


と思った。


田端さんはポジションを取っていない人間はdisらない。

サウザーさんが名指しで反論されたのは、彼が舞台に上がっているからである。


何者でもない人間はポジションを取ることもできない。


自分のポジションを取って舞台の上で論戦する人たちがキラキラしてカッコイイなと思う一方で、

舞台の外でブログを書くことくらいしかできない自分は、なんだか情けないなと思ってしまうのだった。


世の中の成功した人全てに共通する特徴は「応募」していること